
電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2025年12月に18Vシリーズの自動車用充電器 DC18SJを発売する。USB Type-Cポートを備え、USB PD 60Wからの給電を受け14.4V/18Vバッテリの充電に対応する。本体標準小売価格は15,000円(税別)
目次
マキタ 自動車用充電器 DC18SJ
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、18Vシリーズの自動車用充電器 DC18SJを発売しました。

DC18SJは、USB Type-C端子を備えシガーソケットアダプタの接続によって14.4V/18Vバッテリを充電できる自動車用充電器です。
マキタ従来の車載充電器 DC18SEは12-24Vの入力仕様しかありませんでしたが、DC18SJはUSB PD対応によって幅広い電源で動作できるようになり、シガーソケットUSB PDアダプタだけではなく一般的なUSB PD充電器でも動作できるようになりました。
充電電流は、PD 60W接続時で2.1A、PD 80Wで3.0A、PD100Wで3.5Aの仕様を備えています。また、この製品は充電専用のアダプタとなっていて、装着したバッテリから他の機器へ給電する動作には対応していません。
販売仕様は、ケーブル・シガーソケットアダプタが付属するJPADC18SJ、充電アダプタ単体としてはA-79859で販売します。

- JPADC18SJ ケーブル・シガーソケットアダプタ付属 希望小売価格15,000円(税抜)
DC18SJ 製品仕様
| 製品名 | A-79859 |
|---|---|
| 外観 | ![]() |
| USBコネクタ | USB Type-C×1 |
| パワーロール | UFP(Sink) |
| 充電電流 | PD 60W : 14.4V-18V,2.1A PD 80W : 14.4V-18V,3A PD 100W : 14.4V-18V,3.5A |
| 対応バッテリ | 14.4V/18V |
| 重量 | 0.13kg |
| 寸法 | 117×72×43mm |
| 本体価格 | 8,500円(税別) |
| 販売年月 | 2025年12月 |
製品の特徴
「USB PDで充電できる小型充電器」

DC18SJは、USB Type-C端子を備えた14.4V/18Vバッテリ用の小型充電アダプタです。
付属のシガーソケットUSB PDアダプタを接続することで、車のシガーソケットからマキタ14.4V/18Vバッテリを充電できます。
また、USB Type-Cコネクタ仕様なので、USB PD充電器やPDモバイルバッテリーから受電してマキタバッテリーに充電させることも可能です。
給電と受電を切り替えられるDRP(Dual Role Power)は非搭載

引用:DC18SJ international Manual | Makita Europe N.V.
この充電アダプタはバッテリへの充電動作のみ対応しており、バッテリからUSBコネクタに給電を行う動作には対応していません。
サードパーティのマキタUSB PDアダプタやHiKOKI UC18DAのように、電動工具用バッテリーをモバイルバッテリーのようには使用できないので注意が必要です。
USB PD 60W未満のUSB PDソースでは充電しない

UC18SJの特異的な動作として、USB PD 60W未満の充電器を接続してもバッテリ充電が行われない点に注意が必要です。
例えば、従来のUSB Aによる5VやUSB PD 45WなどのUSB機器を接続しても、充電非対応の警告LEDが点灯するだけで充電は行われません。
また、一部のUSB PD機器は本体の発熱によって出力制限を行う製品もありますが、出力制限の影響によって最大出力が60Wを下回ると充電が止まってしまうものと考えられます。

引用:DC18SJ international Manual | Makita Europe N.V.
一番期待されていた部分を削ぎ落してしまったUSB PDアダプタ
さて、今回のマキタUSB PDアダプタは期待していた製品でしたが、USB PDの機能である給電と受電を入れ替えるDual Role Powerを省いた残念な仕様のアダプタとなっています。
コストを抑えて充電だけの仕様で車載充電器とするなら、無理してUSB PDに対応させる必要もなく、普通に昇降圧DCDCコンだけの2A充電器とした方が価格も抑えられたと考えられます。
技術的な側面としても、USB PD PPSのみに対応する充電アダプタとしたのであればコスト削減のために先端技術をいち早く取り込んだものとして評価もできますが、60W(20V-3A)未満では充電を行わないとする仕様にしたのは、コンセプトに不器用さを感じてしまいます。と言うより、市場には温度制限で30Wまで出力制限を行うUSB PD 100W充電器も存在しているため、動作の最低ラインを60Wとしたのは製品仕様的に欠陥だと考えています。
正直なところ、市場動向やUSB PDの技術仕様を考えれば、USB PD搭載のアダプタにおいてユーザーが望んでいたのは、モバイルバッテリーのような充電と放電が行えるアダプタだったのではないでしょうか。
仮に放電機能を搭載したことで製品価格が跳ね上がったとしても、充放電機能の付いたUSB PDアダプタであればDC18SJの数倍ものユーザーが購入していたと想定しています。そういう意味で、マキタは目先の価格設定や製品企画層の安易な妥協によって、USB PD搭載アダプタに期待していたユーザーに対して失望を禁じ得ない製品に仕上げてしまった印象があります。
また、以前HiKOKI USB対応充電器 UC18DAを解説した際に「車載対応である点をカタログでアピールした方が良い」とは言ったものの、これはあくまでも車載充電器としても活用できる点も書き加えるべきと言った話であり、USBの汎用性よりも車載充電器の方向を前面に押し出したマキタの方針についてはなんとも斜め上です。
加えて、小型充電器として販売するとしても、販売実績や充電時間で活用が難しい自動車用とするよりもUSB充電対応である点を前面に押し出して、家電専門店のマキタクリーナーの関連商材として売り出した方が一般家庭向けに売上を挙げられたのではないかと思っています。
かなり辛辣な物言いとなりますが、「充電製品の総合サプライヤー」を掲げて製品展開を行うのであれば、慣れ親しんだ市場に向けて漠然とした製品開発を行うだけではなく、他市場や技術傾向を把握した上で、長期的な展望の元で売上拡大を実現できるような戦略を練ってもらいたいところです。
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