
電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2025年3月13日に充電式グリスガン GP180Dの使用中止と部品無償交換を呼び掛けた。2021年4月から発売しているGP180Dはホース先端部分を曲げて狭い場所にグリスを注入する作業を繰り返すことで、ホースの先端付近に穴が開きグリスが噴出する恐れがあることが分かった。
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充電式グリスガン GP180Dがリコール、使用中止と部品交換を実施
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、2025年3月13日に充電式グリスガン GP180Dの使用中止と部品無償交換の実施を発表しました。

2021年4月から2025年1月までに出荷された、『充電式グリスガン GP180D』 及び『フレキシブルホース600/1200』おいて、ホース先端部分を曲げて狭い場所にグリスを注入する作業を繰り返すことで、ホースの先端付近に穴が開き、グリスが噴出する恐れがあるとしています。
該当する製品を使用の方は使用を今すぐ中止し、2025年3月末よりの実施を予定しているグリス噴出防止対応ホースの交換するよう呼び掛けています。
GP180D リコール製品の概要
販売仕様 | GP180DZ | GP180DRG |
---|---|---|
JANコード | 088381 88715 | 088381 88714 |
販売期間 | 2021年4月~2025年1月 | |
販売台数 | 19,082台 |
リコール実施に踏み切ったのは海外の製品事故が要因か
本件に関してマキタでは使用中止と部品交換と表現しているものの、経済産業省のリコール情報サイトにも情報が掲載されているため、今回の部品交換は名実ともに製品リコール案件となります。
マキタは「ホースの先端付近に穴が開き、グリスが噴出する恐れのある」と表現していますが、経済産業省のリコール情報では「海外で使用中にホースが破裂し指に怪我をする事象が発生」とあるため、今回のリコールは製品破損に対する不具合対応的な話ではなく、海外地域で人身傷害事案が発生したことを要因としているようです。

マキタに限った話ではありませんが、リコールは人身傷害や発火、規格不適合などによって実施されることが多く、単純な製品不具合に対してリコールを行うことはあまり多くありません。そういう意味で、今回のリコールは想定され得る通常使用の中で怪我を負う可能性があることからリコールに至ったものと考えられます。
ちなみに、本記事公開の2025年3月17日時点でマキタ公式ページからGP180Dの製品ページやオンライン取扱説明書も消えており、今回のリコール案件によって本製品は販売中止になったものと想定されます。リコールの対応方法が製品回収ではなく交換部品であるため、在庫品の部品交換完了後に新製品として再販売するものと予想しています。
ただし個人的な所感として、いきなりマキタ公式サイト上の製品ページを消してしまうのはリコール対応として良い運用ではないと思っています。
販売中止として製品ページを非公開にする必要性は理解しますが、もう少しユーザーがリコールを周知できるようにした方がよいとも思っています。例えば、Google検索などでは製品名で検索すると未だに製品ページや各ショップの販売ページが上位に表示されてしまうため、そのまま製品ページを消すのではなく、製品ページの内容をリコールページのリンクに書き換えたり、301リダイレクトでリコールページに飛ぶようにするのが良いやり方ではないかなと思っています。
実際は営業マンが販売店やユーザーに直接周知することでリコール対応は進むのでしょうが、ネット購買ユーザーも一定数存在している事情を考慮すれば、ネットの情報をより広く周知させるためにメーカー公式サイトとしての運用を行うのが正しいやり方ではないかなと考えています。