電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2021年1月に18V/14.4V対応の充電式インパクトドライバ TD172D/TD162Dを発売する。ヘッド部のスリム化により壁寄せ10.5°の業界最小隅打ち性能を実現。
目次
マキタの18V新型インパクトドライバ TD172D
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、2021年1月に18V対応の充電式インパクトドライバ TD172Dを発売する。
TD172Dはヘッド部のコンパクトスリム化によって壁際や狭所での取り回しを向上し、隅打ち時の傾き業界最小の10. 5°を実現。機能面では「ライトモード」の搭載や「新・ワンタチビットスリーブ」を採用し、使い勝手を高めている。
18VモデルのTD172Dのほか、14.4VモデルのTD162Dも同時発売。
カラー展開はTD172で青・黒・オーセンティックレッド・フレッシュイエロー・オーセンティックパープルの5色展開。TD162Dは青・黒の2色で展開される。
販売仕様はバッテリ・充電器付属のDRGX仕様と本体のみのDZ仕様で販売。
- TD172DRGX バッテリ(BL1860B)2 本、充電器(DC18RF)、ケース付 68,100円(税別)
- TD172DZ 本体のみ 23,200円(税別)
- TD162DRGX バッテリ(BL1460B)2 本、充電器(DC18RF)、ケース付 64,100円(税別)
- TD162DZ 本体のみ 21,900円(税別)
TD172D製品仕様 (前機種TD171D比較)
製品名 | TD172D | TD171D |
外観 | ||
能力 | 小ねじ:M4~M8 普通ボルト:M5~M16 高力ボルト:M5~M14 コーススレッド:22~125mm |
小ねじ:M4~M8 普通ボルト:M5~M16 高力ボルト:M5~M14 コーススレッド:22~125mm |
最大締付トルク | 180N・m | |
無負荷回転数 | 0~3,600min-1 | |
打撃数 | 0~3,800min-1 | |
1充電作業量 | 木ネジφ5.4×90mm:約550本 木ネジφ4.3×65mm:約960本 小ネジM8×16mm:約5,280本 |
|
重量 | 1.5kg | |
寸法 | 114×81×236mm | 116×79×236mm |
カラー | 青・黒・赤・黄・紫 | 青・黒・白・赤・茶 |
発売日 | 2021年1月 | 2018年1月 |
製品の特徴「ヘッド部のスリム化で優れた隅打ち性能を実現」
TD172Dで採用した新型構造によってヘッド部を極限までスリム化、隅打ち時の傾き角度は業界最小の10.5度を実現。(ビット長さ65mm、壁際10mmから離れた位置にあるネジ締め作業時の壁からビットまでの角度)
壁際や天井際での作業でも、インパクトを限界までネジ頭に寄せて打ち込めるのでカムアウトを低減します。
全長もTD171Dから2mm短くなっており、全長114mmと短縮化しています。
アンビル周りを一新 新・ワンタッチビットスリーブ
マキタインパクトのスリーブを引かなくてもビットを差し込めるワンタッチスリーブを一新。ビットを差し込む際にかかる荷重を従来機より50%低減させた「新・ワンタッチスリーブ」を採用。従来モデル以上にスムーズなビット装着と不意のビット抜けを低減。
ビットを保持するアンビルも約25%剛性アップし、過酷な作業下でも確実な耐久性を実現。
新たにライトモードを搭載
正逆転切替レバーを中立状態のままトリガを引くと、ライトが点灯する「ライトモード」を搭載。ライトモードでは1時間の間連続点灯します。
暗い作業現場でもLEDライトや簡易照明として使用できます。LED数は従来モデルのTD172と同じ2灯式。
新たにフレッシュイエローが加わり5色カラー展開
TD172Dでは、新色のフレッシュイエローとオーセンティックパープルがカラーバリエーションに加わり、青・黒・赤・黄・紫の計5色が展開。
従来の定番カラーだったホワイトは廃止となりました。
5色のカラーバンパ ハウジングと合わせて25通りのカラー装飾
5色展開のハウジングカラーに合わせ、別販売品の5色カラーバンパを装着することで、好みに合わせた25通りのカラー装飾が可能。
※カラーバンパはTD172D/TD162D専用
バッテリ4本収納 新・プラスチックケース
従来と同等のケースサイズながら、バッテリを4本収納できる「新・プラスチックケース」が付属。バッテリーは4本収納できますが、バッテリー付属のDRGX仕様で付属するバッテリーは2個なので注意。
18V工具と18V×2本工具を同時に持ち運んで作業するシーンなどで活躍できます。
ケース本体は防じん・防水保護等級IP65に適合。(小物入れ収納部を除く)
TD171Dのマイナーチェンジモデル、存在感は少し薄め
TD172の最大の特徴はヘッド部スリム化の傾き10.5°の隅打ち対応ですが、隅打ちの作業自体はビットアクセサリのL字アダプタやフレキシブルシャフトなどでも対応できるため、「TD172Dを使用しなければ作業できない」と感じるシーンはほとんどないでしょう。
性能面では40VmaxのTD001Gがリードしており、ヘッド部分の小型化も相まって18Vシリーズのインパクトはフラッグシップからミドルクラスにクラスダウンしたイメージを受けます。
そのほかの変更点に関しても、TD170DからTD171Dにモデルチェンジした時のような使い勝手に関する改善は少なく、ライトモードはマックスのインパクトドライバに搭載しているランタンモード、カラーバンパはHiKOKI 俺のインパクトキャンペーンの影響を受けたとみられ、インパクトそのものの性能・機能向上よりも他社のインパクトを意識した機能追加が目立ちます。
充電式インパクトドライバの進歩はリチウムイオンバッテリー・ブラシレスモータ・防水機能の搭載によってユーザー要求のほとんどが満たされており、この先も大きな進歩は難しいと予想しています。
HiKOKIのWH36DCにも搭載された各機能や構造に代表されるように、今後のインパクトドライバは、実際の使用から離れた部分の付加価値重視の製品開発にシフトして行くでしょう。
TD172は「マキタの新型18Vインパクト」なビッグネームの製品ですが、実使用的な変更・改良点は少なく、コンセプトとしては内装作業寄りになり、製品そのものの評価としては「TD171からヘッド部を改良したマイナーチェンジモデル」に留まります。
ハンマの変更による締付フィーリングの違いは少し気になる部分ですが、最大締付トルクがTD171Dの据置であること、ヘッド上部のスリム化がハウジング構造に依存している点を考慮すると、フィーリングにも大きな違いは無いと予想しています。
今使っているインパクトドライバに不満が無ければ、そのまま使い続けても作業に大きな違いは無いでしょう。