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高精度トルク管理を実現した電動トルクレンチ、Milwaukee 「M12 Fuel Motorized Digital Torque Wrench」を発売へ

高精度トルク管理を実現した電動トルクレンチ、Milwaukee 「M12 Fuel Motorized Digital Torque Wrench」を発売へ

欧米地域を中心に販売する電動工具ブランド「Milwaukee」は、今秋に10.8VリチウムイオンバッテリーのM12 Fuelシリーズの新製品”M12 Fuel Motorized Digital Torque Wrench”を発売する。

電動工具にトルク管理機能を切望するユーザーは多かったが、今回、プロユーザー向けの電動工具として、Milwaukeeが初めてトルク管理機能を搭載した電動トルクレンチを市場に投入する。

ユーザー待望の「トルク管理搭載」電動トルクレンチ

欧米を中心に展開する電動工具ブランド「Milwaukee」は、この秋にデジタルインジケータ内蔵の電動トルクレンチ“M12 Fuel Motorized Digital Torque Wrench”を発売する。

このトルクレンチは、電動ラチェットレンチにデジタルインジケータを搭載した製品で、ボルトの素早い締め付け高精度トルク管理を両立させた電動工具だ。

このトルクレンチは産業用トルクレンチに近い機能も搭載しており「締付トルクのプリセット」「Bluetoothで作業レポート出力」と、従来の高精度トルク管理作業を一変させる可能性を秘める電動工具となっている。

1/2″(200N・m) と 3/8″(135N・m) の2バリエーション展開

M12 FUEL Digital Torque Wrenchは1/2″(最大200N・m) と 3/8″(最大135N・m) の2仕様で展開される。

大まかな製品仕様としては、先端の回転数は最大100rpmで、ラチェットの1回当たりの角度は約4.5°となる。

このM12 FUEL Digital Torque Wrenchはモーターを搭載した電動トルクレンチだが、最終的なトルク管理は手締めで行う。搭載されたディスプレイには現在の締め付けトルクが表示され、プリセットした値に到達すると、本体のLEDと内部のバイブレータで指定トルクの到達を通知してくれる。

手締めを行う点は通常のトルクレンチと変わらないが、トルク管理の作業全般で手工具が不要になり、電動工具の持ち替えも不要になるのは作業的に大きなメリットとなるだろう。

トルク管理の煩雑さを一気に解消する

産業用グレードの全自動トルクレンチと同じ機能を備えたトルクレンチが、電気工事や車の整備工場でも使えるようになった事で、高精度トルク管理を必要とする作業に、革命と言えるほどの大きなインパクトを与える可能性がある。

その理由として挙げられるのは、従来のトルク管理作業の煩雑さだ。通常、ボルト止め作業でトルク管理を行う場合には「1, 電動ドライバで借り締め」「2, トルクレンチで本締め」の2つの手順を踏む必要がある。

一般的に、インパクトやドライバドリルのカタログスペックで示される締め付けトルクは、条件次第で簡単に変化してしまうため、一般的な電動工具だけによるトルク管理は行えない。そのため、電動工具の締め付けは仮締めまでとなり、最終的なトルク管理にはトルクレンチを使用するのが一般的なトルク管理手順となる。

このようなトルク管理作業の煩雑さを、1つのボディに全て納めたのがMilwaukeeのM12 FUEL Digital Torque Wrenchと言える。

トレーサビリティを最大限に生かすONE-KEY

M12 FUEL Digital Torque Wrenchの強みを最大限に生かす機能こそ、MilwaukeeのBluetooth連携機能「ONE-KEY」だ。M12 FUEL Digital Torque WrenchにおけるONE-KEYでは、本体の設定や作業レポートの出力機能などを搭載する。

高精度トルク管理を行うデジタルトルクレンチは、各種設定の操作が複雑になっており、電動工具としては異例とも言えるディスプレイと多数の操作ボタンが搭載されている。

また、最近ではトレーサビリティも重視されており、実際の現場では作業内容のレポートの記録を行う現場も多い。品質の観点としては作業記録を残すのは必須となるが、数百ものボルト締結に対して、全てレポートを記録するのは作業者にとって大きな負担となるだろう。

これらの操作管理をスマホ上で行う機能として”ONE-KEY”が活用されている。スマホ上でのトルク設定のプリセットや、レポートの出力機能など、Bluetoothを活用した機能が発揮されるだろう。

電気工事の現場に求められる、高精度トルク管理

今回のMilwaukee のカタログ写真を見た感じだと、M12 FUEL Digital Torque Wrenchは電気関係へ向けた現場向け工具と言った印象だ。

影響されたのは、恐らく米国の電気設備に関する企画を策定する米国電気工事規程(NEC)の「電気的障害の約90%が、接続部で発生している」とのレポート(NEC 2017 110.14(D)だろう。このレポートにより、米国では変圧器、スイッチ、パネルなどの電気的接続が必要な工事には、トルクレンチでのトルク管理が必要になった。

MilwaukeeはこのM12 Fuel Motorized Digital Torque Wrenchを使用する事で、トルク管理作業の生産性を最大50%向上できるとアピールしている。特に、トルク管理に必要となる工具が1つになり、持ち換えの手間がなくなる点は作業者にとっての負担も大きく減るだろう。

この電気工事に関するトルク管理は米国市場の話だが、日本であっても高精度トルク管理が必要となる現場は多い。身近な例を挙げれば、太陽光パネルの施工データセンター工事など、今や、高精度トルク管理とトレーサビリティの確保は安全性、効率化、品質保証と言った観点から外すことはできないと言える。

ユーザーが切望した電動工具、ネックは価格だが

ある意味、今回のようなデジタルインジケータ内蔵の電動ラチェットは、ボルトの締結作業を行う電動工具ユーザー全てが望んでいた製品だろう。

トルク管理が可能な電動工具は存在しないわけではなかったが、高精度トルク管理が可能な製品になると、産業用グレードの製品やマキタの特注品など、非常に高価な極一部の製品に限られており、一般ユーザーが使用する事はほとんど無いジャンルの製品だった。

今回のMilwaukeeの製品は、高精度トルク管理を行う製品として非常に汎用性が高く、現場向け工具として幅広く活用できる仕様としてリリースした点が称賛に価すべき点だ。

ネックとなるのは販売価格であり、製品単体の販売価格は約$600と締結工具としては高価な製品になっている。

しかし、キャリブレーション(校正)対応し、Bluetoothのレポート機能を搭載。更に、これまで産業向けグレードでしか販売される事のなかった、電動トルクレンチが一般の販路で入手できるようになった点を考えれば、このトルクレンチは極めて安価な製品とも考えられる。

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