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バッテリー化が進む造園・林業・農機製品
充電式の園芸機器は、低騒音で複雑も不要で本体の保管も楽な使い勝手の良い製品として注目されています。女性やシニアの方でも扱いやすいことから、家庭向けのライトユーザーに向けた新たな需要も生まれつつあり、現在の園芸機器業界で注目を集めている製品です。
この記事では、草刈機・バリカン・チェンソーなどの複数の園芸機器を販売しバッテリーを使いまわせる充電式園芸工具シリーズを展開しているメーカーをピックアップして紹介します。
充電式の園芸機器が急速に普及した背景
従来の園芸工具は主にエンジンを動力源にしており、取り回しの良さや長い稼働時間などで家庭菜園用途から農機市場までほぼ全ての製品がエンジン搭載品でした。
2011年に排ガスを規制する「排ガス自主規制」が施行され、それまでに使われていたエンジンの販売が自粛する流れになり、排ガス規制の影響で同排気量の製品でもコスト増と出力が低下する状態になっていました。
メーカーは排ガス規制に対応できる新型のエンジンや、排ガスを減らす4サイクルエンジンを開発する動きもありましたが、近年はコストと実用性の問題・リチウムイオンバッテリー機器開発の容易化によって電動化へ開発がシフトするようになり、ここ数年で複数の園芸機器メーカーがリチウムイオンバッテリーを搭載する園芸機器の開発を進めています。
現在、エンジンからの乗り換え需要とバッテリー化によって、新たな園芸機器市場が形成されています。
園芸製品は「プロ向け」「家庭向け」のグレードで展開
園芸機器は対象ユーザーでグレードが分けられていて、ざっくり分類すると「プロ向け」と「家庭向け」の2つのグレードに分けられます。
プロ向けの園芸機器は、設備管理・造園業・農業などのプロユーザーが使用する製品で、大容量のバッテリーと高い耐久性・高出力モーター搭載の快適な作業性を備えているのが特徴です。性能が高く価格も高くなります。
家庭向けの園芸機器は、庭のメンテナンスや草木の軽い剪定作業などを行うライトユーザーを対象にした製品です。コンパクトなバッテリーと小型で取り回しに優れ、ホームセンターなどを中心に販売され低価格なのが特徴です。
電動工具メーカーの園芸機器は電動工具と共通の高性能バッテリーを使用するため、プロ向け・家庭向けのカテゴリ分けが曖昧で、どちらでも使用できる中間帯の製品を数多く展開しています。一方、エンジン工具を主力としていた農機系メーカーの充電式製品はプロ向け・家庭向けで対象ユーザーを明確に分けているのが特徴です。
プロ向け用途だと充電式は性能不足な面も
近年の環境運動や排ガス規制の流れでバッテリー化が進んでいる園芸機器ですが、バッテリー性能の限界から、高い出力や長い稼働時間を必要とするプロ向けの園芸機器では未だエンジン式が主流です。
チェンソー伐木作業などのプロユースでは、高いモーター出力や長い稼働時間・外気温が氷点下でも安定して使用できる性能が求められます。リチウムイオンバッテリーは低温時の取り扱いが難しく、出力や稼働時間でもエンジンを超える能力を持ちません。現在のリチウムイオンバッテリー搭載の充電式園芸機器は、高性能な製品でもエンジンの排気量換算で25~30cc相当の実用性が限界です。
それでも家庭向けや高出力を必要としないプロ向け用途では十分な作業性を持つため、今後の園芸機器市場は、エンジン式から充電式への移行と家庭への浸透に向けた製品開発が中心に進んでいくと予想されます。
主な園芸機器
刈払機
野草などを刈り取る作業機械で、やぶや山林の下草刈りや畔(あぜ)の草刈りなどに使われる。機構が簡単で日常の手入れも容易で、倒れた草でも刈れる特徴を持つ。
ヘッジトリマ
生垣や樹木の剪定に使用する刈り込み機。2枚の刃が鋏のように高速で擦れ合うことで切断を行う。サイズや用途によって「バリカン」とも呼ばれる
チェンソー
多数の小さな刃がついたソーチェーンを回転させて切断する工具。樹木の切り倒しや玉切り・薪作りなどに使用する。充電式では未だ出力・作業量不足な面も
芝刈機
芝生が長くなったときにその草丈を短く刈り込むための機械。低い草丈の芝生を安定的に維持するために使われる。近年プロ向けモデルの充電式化が進んでいる製品。ロボット化も注目
洗浄機
屋外の清掃や・他の園芸機器の泥落としなどに
ブロワ
落ち葉・砂の吹き飛ばしに使用。バキュームやサッチ機能を搭載した業務用モデルも
充電式園芸機器でトップシェアを走る「マキタ」
充電式の園芸機器が広く普及する前からOPE(Outdoor Power Equipment)の拡販を続け、充電式園芸用機器のリーディングカンパニーに成長したメーカーこそ電動工具でおなじみ「マキタ」です。
電動工具と共通のリチウムイオンバッテリーを使用する18Vの園芸機器シリーズで広いラインナップを持ち、造園・農業・林業ユーザーから幅広い信頼を得ている国内トップメーカーです。
電動工具と合わせた製品展開数が多いのも加え、マキタ営業網を生かした取扱店舗数の多さと修理アフターサービスも魅力です。充電式の園芸製品を使うのであればマキタを選べば間違いないと断言できるほどの高い信頼性があります。
家庭向けとしては高価格、プロ向けとしては発展途上と、良くも悪くもオールラウンダーな製品ラインナップが特徴です。
しかし、マキタ電動工具シリーズとのバッテリー互換性や18V+18Vシリーズの36V動作など、製品ラインナップに広い互換性を持つため、いろいろな作業を行う場合ならマキタ一択です。
家庭向け充電式園芸製品の手軽さが魅力「RYOBI」
電動工具でおなじみのRYOBIですが、RYOBIブランドのガーデン機器は家庭向け製品の展開が中心で、ホームセンターに強い販売ルートを持っているのが特徴です。
家庭用ガーデン機器で十分な製品ラインナップを揃え、ホームセンターでの取り扱い店舗数の多さやプロ向け工具メーカーとしての品質の高さなどで、家庭向けの充電式園芸機器ではトップクラスのシェアを持つ安定のメーカーです。
18V充電式のガーデン機器シリーズのバッテリーは、RYOBI・KYOCERAのプロ向け18V電動工具シリーズとも互換性があり、DIYなどでも活用できる隠れた優良シリーズです。
マルチボルトでコンパクト高出力「HiKOKI(日立工機)」
国内トップ2メーカーとして展開しているのが「HiKOKI」ブランド(旧日立工機)です。プロ向け電動工具が主力のメーカーですが、コードレスの園芸機器も展開しています。
主力のマルチボルトバッテリーによるコンパクトな高出力バッテリーと電動工具シリーズとの互換性が強みで、マルチボルト電動工具のバッテリーをそのまま園芸機器用のバッテリーとして使用できるのが大きな魅力です。体積比では最大容量のBSL36B18バッテリーもあり、急速充電による充電の速さなど使用感で優れた製品を展開しているメーカーです。
家庭向けの園芸シリーズ(F)に関しては、製品単体の販売価格が安いのが特徴ですが、他のメーカーの製品と比較すると製品ラインナップに乏しく、10.8Vや14.4Vは主力の18Vやマルチボルト36Vに対応していないため、製品ラインナップに少し難のある製品展開となっています。
低価格充電式園芸シリーズ「EARTH MAN」
電動工具や手工具で幅広く扱う株式会社高儀が展開する電動工具ブランド「EARTH MAN」では、充電式の園芸機器も販売しています。
取扱店舗がECサイト主体のため、製品情報が不足していてわかりにくい点もありますが、18V電動工具シリーズとの互換性もあり、園芸機器本体の価格も安いオススメのメーカーです。
国内最強電圧の充電式園芸機器「ECHO」
株式会社やまびこの農業用管理機械ブランドが「ECHO」です。
充電式の園芸機器では、国内最大の50.4Vバッテリー(14直)を搭載する高出力電動工具シリーズを展開し、プロ向けの充電式園芸工具シリーズとしてトップクラスの性能を持った製品を展開しています。
プロの現場で使用できる十分な性能を持ち、エンジン搭載の園芸機器にも劣らない粘り強さを発揮します。
耐久性と全天候対応のプロユース「Husqvarna」
スウェーデンの農林・造園機器メーカーが「ハスクバーナ」です。日本ではエンジン園芸機器を主力に展開を進めていましたが、この数年でプロ向けの充電式製品の拡充を進めています。
ハスクバーナの充電式園芸機器はプロ向けに特化した製品した製品シリーズを展開しているのが特徴で、園芸製品ラインナップは勿論のこと、バッテリーも36V/9.4Aの大容量バッテリーを販売、さらに全天候にも対応とプロユースに特化した製品展開を進めています。
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低価格で幅広いラインナップ「KOSHIN」
農業・船舶・ポンプなど様々な製品の製造・販売を手掛けている株式会社工進が展開している充電式園芸機器シリーズがスマートコーシンシリーズです。
スマートコーシンシリーズは家庭向け充電式園芸機器シリーズの中でも製品ラインナップが豊富なのが特徴で、販売価格も安くコストパフォーマンスに優れているシリーズです。
コーシンは新製品開発にも積極的で、最新モデルの充電式草刈機 SGR-1820は女性やシニア層にも配慮した軽い・カンタン・疲れにくい”ラク”を追求したモデルで、新たなユーザー獲得を様々な方法で進めているメーカーです。
家庭向けに36V高出力製品を展開しているのも特徴で、ライトユースからガーデン手入れまで幅広い用途で活用できます。
家庭向けからプロまで幅広く展開「STIHL」
世界トップシェアの林業・園芸機器メーカーの「STIHL」も充電式園芸機器を展開しています。STIHLはドイツに本社を置くチェンソーのトップメーカーです。
STIHLの充電式製品は、カジュアルユーザー向けの「ASシステム」、内蔵バッテリの手軽なシリーズ「AIライン」、大中小規模ガーデンをお手入れできる「AKシステム」、プロフェッショナル向けの「APシステム」シリーズの4種を展開し、園芸機器を使う全てのユーザーが満足できる綿密な製品展開を行っています。
STIHLの製品は工具取扱店やホームセンターで販売しておらず、トレーニングを実施した正規販売店のみ取り扱い販売を行っています。販売だけではなく1泊レンタルサービスにも対応するので、世界トップクラスのメーカーに興味のある方は一度STIHLショップに足を運んでみてはいかがでしょうか。