電動ドライバーに使うビットは用途に応じて様々な種類があります。その中でも一番使われるプラスビットの種類や特徴について解説します。
目次
ビットとは?
通常のドライバーといえば手で回す手回しドライバーですが、電動ドライバーの場合には先っぽを交換できるビットという先端工具を使います。
ビットは様々なメーカーから販売されていますが、代表的なメーカーはベッセルとAnex(兼古製作所)です。特に、ベッセルは日本産ドライバーのトップブランドであり、日本国内のシェア約60%を占めます。
ビットにもいくつか種類がありますが、インパクトドライバーなどでよく使われる太さ6.35mmのビットが最も代表的です。
その中でも最もよく使われるビットは+形状のビットです。(プラス頭のネジは誰でも見たことがあると思います)
電化製品や組み立て家具などにはほとんどプラスネジが使われています、木ネジなどはプラスネジがもっとも多用されており、金属のねじ止めにもプラスネジはよく使われます。
プラスビットのサイズは?
よく使われるプラスビットのサイズには3種類あります。(厳密にはもう何種類かありますが)
サイズの呼び方はそれぞれ小さいほうから#1, #2, #3と言われています。この中で最も使われるのは#2のサイズです、ほとんどのプラスネジは#2のプラスビットに嵌合するので、困ったら#2のサイズを一本用意しとけばOKです。
小さいサイズのプラスビットでも大きい径のネジを回すことはできますが、十字溝からビットが外れてネジ頭がつぶれる原因になるので注意しましょう。
ビットは消耗品です
手回しドライバーなら一本いいものを買えば長く使う事が出来ますが、ドライバービットというものは過酷な条件下で使われることもあり、どんなに丁寧に使っていても、ある程度使い込めば確実に壊れてしまいます。
せっかくネジ締めがすぐできる電動工具があるのにビットがなくなってしまっては作業の効率が上がりません。プロ用途でもDIYでも予備のビットは何本か用意しておきましょう。
プラスビットの種類にはどんなものがある?
プラスビットには先端のサイズの他、ビットが折れにくい加工がしてあったり先端に加工を施して滑りにくくしている加工がしてあったりと、様々な種類があります。
片頭ビット
ビットの片方にプラスがあり、のこりの片方を電動ドライバーに取り付けるタイプのビットです。
プラスビットでこの形状のビットは殆ど目にすることはありませんが(後述の段付ビットを除く)。六角・トルクス等の特殊穴ビットは片頭ビットであることが多いです。
ちなみに片頭ビットは電動ドライバーに取り付ける側の面が大きいため噛み込んで外れなくなるという事が少ないそうです。(あまり経験したことはありませんが)
両頭ビット
もっとも一般的なビットです。両端にプラスがあり、どちら側からも電動ドライバーに差し込むことができます。
片方が折れても残った片方側に差し替えれば使え、まとめ売りで販売されていることも多く単価も安いことから非常にコストパフォーマンスに優れています。
ちなみに、両頭ビットの欠けた側を電動ドライバーのソケットに差し込むと奥に入りすぎてしまい、スチールボールと噛み込んでビットが抜けなくなることがあります(最近のインパクトはあまり起こらなくなりましたが)。噛み込んだ場合分解修理が必要になるので注意しましょう。
段付ビット
片頭ビットに分類される段付きビットですが、両頭ビットにはない様々なメリットがあります。
段付きビットは細く見えるため、一見するとすぐ割れたり欠けたりしそうですが、負荷がかかった時にビットがねじれる事によって余計な衝撃を吸収するため(トーション効果)通常のビットよりも先端の耐久性が高くなっています。
また、ビットの軸が丸形状なのでダボ穴などにねじを締めるときに材料を傷つけることがありません。化粧板や家具などには是非とも使いたいビットです。
トーションビット
両頭ビットの中心部を細くしたのがトーションビットです。
先の段付ビットと同じく、トーション効果によって先端部の耐久性が向上しているビットです。
耐久性が向上しているトーションビットですが、トーション効果によってインパクトのパワーがうまく伝わらなくなるため締め付けスピードが遅くなる・細い部分が曲がりやすい等の欠点があります。
スリムビット(スレンダービット)
ビットの先端を段付き形状にして、両頭にしたものがスリムビットです。(会社によってはスレンダービットとも呼ばれます)
スレンダービットの先端の細くなった部分にもトーション効果があり耐久性は向上しています。スリムネジなどによく使われるビットですが、通常のネジにも使えて耐久性が高いため幅広いネジに使う事ができます。
スレンダービットの中にはトーションビットと同じ構造を入れているものもあります。ある意味最強の全部乗せビットです。
スレンダーのビットはよく噛み込みが起こるため個人的にはあまり使いません。
おすすめプラスビット5選
プラスビットは最も使われるビットのため各社様々な形状のビットを販売しており、現在でも新形状のビットや新材質を取り入れたものが開発されています。
その中でもおすすめのビットや気になるビットなどを紹介します。
ベッセル 両頭コンビビット
ベッセルの産業用プラスビットです。通常の両頭ビットですがベッセルの安定した品質でありながらも安く購入できるため気兼ねなく使いつぶしができます。
普通のビットですが、無難に最も使いやすいビットです。
しかし、固い材料や長い木ネジを締めるときなどは10本もいかずに欠けてしまうためトーションビットに変えたほうがいいでしょう。
ANEX 龍靭ビット
ANEX(兼古製作所)のトーションビットです。比較的高価なビットですがデザインが特徴的で耐久性も良く、ホームセンターならどこでも売っているので入手性も優れているビットです。
龍靭ビットはトーション部のブラスチックでビットの判別ができるようになっており、工具箱に入れていてもすぐ必要なビットが取り出せるのがgoodです。
ベッセル サキスポビット
2015年にベッセルから発売したサキスポビット。ベッセルの最上位モデルのビットです。
一時期、キャラクター押しのスーパーヒーローズビットとして展開していましたが、最近はキャラ路線をやめて性能アピール重視に変わったようです。
少し脱線してしまいましたが、とにかく目につくビットです。パッケージも独特ですし、ビット本体も珍しい色に加えブラスト処理、さらにレーザー刻印など至れり尽くせりです。
ベッセル マグナムビット(段付)
2012年にベッセルから発売したマグナムビットです。
ビットの差し込み部付近にスプリングがついているのが特徴で、このばねの作用によりビットを取り外すとき勝手に外れてくれるので少しだけビット交換が楽になります。
マグナムビットの段付は非常に使いやすく、トーション効果が強いので先端の耐久性が異常に高い(気がします)です。難点を挙げるとすれば取扱店が少ないことでしょうか。
ベッセル クッションビット
ビット回転時の軸ブレを抑えてくれるクッションビットです。
このビットは、差し込み部にクッションが取り付けられており、このクッションがアンビルとビットを押さえつけてくれることによってビット回転時の振れを劇的に少なくしてくれます。
少しの軸ブレでも気になる方やビットのカムアウトが許されない化粧材の締め付け時などに有用です。
まとめ
今回はプラスビットの種類について紹介してみました。ビットの消耗が早くて困っている方などは段付やトーションビットなどちょっと高めビットを購入してみてはいかがでしょうか。
特に、トーションビットは各社様々な形状のものを開発しており、外観もかなり特徴的なものも多いので、周りとちょっと違ったビットで個性を出すのもいいかもしれません。
ちなみに、私はトーションのフィーリングがあまり好きではないので普段はベッセルのM-A14ロングタイプの両頭ビットを愛用しています。ですが、ビット欠けが起きては困るような作業をする時などにはANEXの龍靭ビット、材料を傷つけてはいけないときなどはマグナムビット、という風に使い分けています。