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電動工具バッテリー用充電器の待機電力をスマートプラグで節電できるか検証

電動工具バッテリー用充電器の待機電力をスマートプラグで節電できるか検証

充電していない時でもLEDが点滅している充電器

充電式の電動工具を使っている方であれば1度は気にしたことがあると思いますが、電動工具バッテリー用の充電器はON/OFFスイッチが無いので、コンセントを繋げていると常時通電して待機中のLEDが点灯するようになっています

充電器を現場に持ち運んで使用する方であればあまり気にならないのかもしれませんが、事務所などに充電器を置いていて常時コンセントを挿している方などは充電していない時に点滅しているLEDの消費電力が気になってしまう方も多いと思います。

そこで、今回の記事では自動的にコンセントの電源をON/OFFできるスマートプラグを使用して、使っていない時の充電器の電源をOFFにした時にどれくらいの節電効果があるのかを検証します。

ちなみに、今回使用するスマートプラグにはSwitch Bot スマートプラグを使用します。Switch Botスマートプラグには接続した機器の消費電力を表示する機能もあるので、簡易的ではありますがその消費電力を元にどれくらい節電できるのかを計測します。

ちなみにSwitch Botスマートプラグは通常価格で1,980円で販売している製品なので、電気代 1kWあたり32円を前提にした場合、1,980円÷32円として約64kWhの節電が実現できれば損益分岐点として元が取れる計算になります。

Switch Bot スマートプラグの待機電力は0.6W

充電器の消費電力を測定する前に、スマートプラグ自体の消費電力を計算する必要があります。

方法としてはSwitch BotスマートプラグにSwitch Botスマートプラグを接続し、スマートプラグ自体の消費電力を計測します。

Switch Botスマートプラグの待機消費電力は0.6Wでした。

続いて、ON状態にした時の消費電力も測定します。ON時の消費電力は0.9Wでした。

充電器の待機電力を測定する

続いて、充電器の消費電力もSwitch Botスマートプラグで測定します。基本的にはバッテリー充電を行っていない状態の充電器の消費電力を測定するので、コンセントを挿入して5分程度経過した時点の消費電力を測定します。

充電器は最新モデルではありませんが、とりあえず参考としていくつかの充電器の消費電力を測定してみます。

マキタ DC18RC:待機電力 0.3W

マキタ18Vバッテリの1世代前の充電器 DC18RCの待機電力は0.3Wでした。

HiKOKI UC18YDL:待機電力 0.5W

HiKOKI 14.4V/18V/マルチボルトバッテリー対応の1世代前の充電器 UC18YDLの待機電力は0.5Wでした。

ミルウォーキー M12-18FC:待機電力 0.4W

ミルウォーキーのM12/18Vバッテリー対応 充電器 M12-18FCは待機電力0.4Wでした。

パナソニック EZ0L81:待機電力 0.7W

パナソニックの現行充電器 EZ0L81の消費電力は0.7Wでした。今回測定した中では一番設計の古くて充電電圧も高いの充電器なので、待機消費電力が高くなったのかもしれません。

1日あたり8時間ON / 16時間OFFで計算すると

スマートプラグと充電器の消費電力が測定できたので、実際の電気代を計算します。

計算条件は、1kWあたり32円を前提として、スマートプラグを使わずに24時間常時通電させた場合と、スマートプラグで1日あたり8時間ON / 16時間OFFを行った時の1年間の電気代を比較します。

そんなわけで、比較した結果は下記のグラフのようになりました。

正直、スマートプラグと充電器の消費電力を測定した時点でもう分かり切っていたことなのですが、充電器の待機電力よりもスマートプラグ単体の待機電力の方が大きかったため、スマートプラグを使わずに常時通電していた方が電気代が安くなる結果になってしまいました。

基本的な考え方として、電動工具バッテリー用の充電器は待機電力が小さいので、スマートプラグを使ってまで待機状態の消費電力を気にする必要は無いと言えそうです。

ちなみに、同じ充電器を「3台」装着したと仮定して再計算すると下のグラフのようになりました。

最も消費電力の低いマキタ DC18RCを除いて、スマートプラグに充電器を3台繋いでいる状態で8時間ON-16時間OFFでなら消費電力的には有効なようです。

ちなみに、Switch Botスマートプラグを使ってスマートプラグで1日あたり8時間ON / 16時間OFFを行った時の消費電力の損益分岐点としては大体1Wが目安になるようです。

ただし、最も消費電力の大きいパナソニック EZ0L81を3台繋いだ条件(約2W)でさえ、Switch Botスマートプラグ購入費用の元をとるのに約10年かかる計算になります。そういう意味では、例え数台の充電器を常にコンセントに挿入していたとしても、充電器待機電力の電気料金でスマートプラグの元を取ろうとするのは結構非現実的なのかもしれません。

電動工具バッテリー用充電器単体の待機電力は気にしなくて良さそう

今回の記事では、直ぐに用意できる4種の充電器しか測定していないのですが、機会があれば、随時ほかの充電器の待機電力についても追加しようと思っています。

最近の電動工具バッテリー用充電器は、充電状態の視認性を上げるために発光部が大きくなっている傾向があり、充電器を使っていない時の消費電力を気にする方も少なくないとは思うのですが、今回検証した中で大型LEDプリズムを搭載するHiKOKI UC18YDLの待機電力でさえ0.5Wであることを考慮すれば、充電器数台をコンセントに繋げているくらいであれば電気料金をそこまで気にする必要は無いのかもしれません。

今回使用したスマートプラグはSwitch Botの製品であり、wifiや通信などを搭載している関係上消費電力は大きめと想定しています。これがタイマーコンセントなどを使えば消費電力を抑えられるので、節電効果としてはもう少し良い結果が得られるかもしれません。とは言え、電動工具バッテリー用充電器は元々待機電力が小さいので、省エネを考えるのであれば別の機器に使用した方が良さそうです。

本記事の検証では、想定していたことが見事に外れてしまいましたが、昨今の省エネ活動ではこういう事例は珍しいものではないようです。近い事例として、照明の省エネのために人感センサによって自動的にON-OFFするようにしたら、電灯のLED化によって消費電力が減ってしまい、人感センサによる省エネ性でのペイが現実的ではなくなってしまった、なんて事例もあるようです。

現実的な話として、スマートプラグを使わず充電器のコンセントを人の手で抜き差しするのも一つの手ではあるものの、365日それを繰り返したとして、1年あたり100円分の節約効果をどう捉えるかは結構悩むところだと思います。そういう意味で、待機電力を減らして電気代の削減を目指すのであれば、タップでコンセントの口を増やして充電器の他にもプリンタやスキャナなどの他の機器を含め、まとめて待機電力を減らすようにしてしないといけないのかもしれません。

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