VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2021年10月19日

振動(震動)ドリルとは

振動(震動)ドリルとは

コンクリートなどの石材の穴あけに使う電動工具は、回転運動だけではなく上下の振動運動も必要になります。今回は、コンクリートの穴あけに使う振動ドリルについて解説していきます。

コンクリートや石材の穴あけには振動ドリルが必要

コンクリートの穴あけ作業には振動(震動)ドリルやハンマードリルなどのコンクリート穴あけに対応する工具が必要になります。

コンクリートのような石材の穴あけはドリルの回転運動だけではなく、垂直方向の打撃運動も必要になります。回転運動と打撃運動を合わせることで効率的な穴あけ作業ができます

振動(震動)ドリルは、電動ドリルの中にラチェット機構が内蔵しており、ラチェットのギザギザがモータ回転で噛み合うことによって回転+打撃振動を実現しています。

マキタは震動ドリル、HiKOKIは振動ドリル

マキタ・日立でそれぞれ呼び方が異なる。インターネット通販では同じ製品で名称に違いで検索に引っかからないことがあるので注意しよう

マキタでは震動ドリル、日立工機では振動ドリルと同じ工具でも呼び方が異なります。工具自体の名前としては、振動ドリルの名称が一般的のようです。マキタの振動ドリルを検索する場合は震動と検索しないとヒットしないので、注意しましょう。

言葉の意味合いとしては「振動」が物理や自然現象以外の揺れを表すのに対し、「震動」は地震などの自然現象による揺れを表すので、前者の「振動」の方が工具らしい表現と言えます。

振動(震動)ドリルの用途・選び方

振動ドリルに搭載されたラチェットの機構は、振動の有無を自由に切り替えることができます。電動ドリルで行う作業は振動ドリルでも同じことができます。

振動ドリルの選ぶ際は、電動ドリルと同じようにモーター出力が重要になりますが、それ以外にも装着できるドリル径の径にも注目する必要があります。

コンクリートへの穴あけは、アンカーボルトの打ち込みや配管を通すために太い穴あけが必要になることも多いので、チャックの径が大きくないと太い系のドリルビットを装着できないため注意が必要です。

振動ドリルを使ってコンクリートの穴をあけるコツ

振動ドリルを使った石材への穴あけは、強い押し付け力を必要とします。

振動ドリルはラチェット機能の噛み合いによって上下運動が発生する構造になっています。このラチェットの上下運動は、押し付け荷重を加えないと効率的な打撃運動を加えることができません。押し付ける力は非常に重要で、下向け穴あけの時は効率よく作業を行うことができます。

しかし、上向きの穴あけ作業などでは十分な加重を加えられず、効率のいい穴あけを行うことが出来ません。

類似工具のハンマードリルは、ピストンとストライカーによる打撃構造になっているため押し付ける力は少なくても良く、先端を軽く押しあてるだけで穿孔することができます。

振動ドリルの種類

ラチェット機構を搭載すればどんなドリルも振動ドリルになるので、ほかの電動ドリルにラチェットを組み込んだ製品が振動ドリルとして販売されています。

振動ドリルはコンクリートに穴あけできる分機能が追加されているので、予算に制限が無ければ振動ドリルを選ぶのがおすすめです。

ドライバドリルと振動ドリルの違い
日立工機のドライバドリルと振動ドライバドリルの違いを表したもの、形状・性能共に同等であり、モルタルへの穿孔能力の有無だけである。価格差は市場価格で1,000円程

振動ドライバドリル


HiKOKI(ハイコーキ) 旧日立工機 コードレス振動ドライバドリル 36V マルチボルト 充電式 リチウムイオン電池、充電器、予備電池付※蓄電池保証書、純正ケース付 DV36DA(2XP)

振動ドリルのほとんどが充電式ドリルに振動機構を組み込んだタイプです。コードレス振動ドリルはクラッチ部分にハンマのマークがついていて、その部分までクラッチを回すことで打撃が有効になります。

コードレスの振動ドリルはコードレスドリルと同じように使うことができますが、トリガーオン状態で固定する機構がありません。

チャック構造もキーレスチャックで、通常のチャックほどビットの固定力には優れていないので、連続的な作業には向かず簡易的なものと考えた方がいいでしょう。

振動ドリル


マキタ 震動ドリル コンクリ12mm 木工15mm 鉄工10mm HP1230

AC電源の電動ドリルにラチェット機構を組み込んだ振動ドリルもあります

電動ドリルと同じ仕様なので、チャックによるビットの確実な固定やスイッチをオン状態でロックできる機能を搭載しています。コードレスよりも穴あけ作業が行いやすくなっています。

ただし、穴あけ性能としてはロータリハンマドリルの方が優れているので、コンクリート穴あけ専用工具としては少し性能不足です。

振動(震動)ドリルの選び方

振動ドリルは電動ドリルやドライバドリルの延長線上に位置する電動工具です。通常のドリルよりも出力が高い仕様の振動ドリルもあり、数千円上乗せすれば振動ドリルを買えるので、予算に制限が無ければ振動ドリルを購入するのがおすすめです。

木材や金属・コンクリートやモルタルなどの幅広く穴あけする場合なら安価で万能の穴あけ工具になるので、電動ドリルやドライバドリル購入時に振動ドリルを検討しても良いでしょう。

ただし、コンクリートへの穴あけ作業がメインになるのであれば、ハンマードリルを使用した方が効率がよいので注意が必要です。

プロ向け振動ドリルのおすすめモデル

HiKOKI DV36DA コードレス振動ドライバドリル

振動ドライバドリルの中でトップクラスの性能を持つのが、HiKOKI DV36DA コードレス振動ドライバドリルです。

36Vマルチボルトバッテリーの搭載によって、クラストップの穴あけスピードを持つ振動ドライバドリルです。AC電源の振動ドリルと同じ20mmの穴あけにも対応し、18VモデルのDV18DBL2比で約30%のスピードアップを実現、快適な作業性が特徴です。連続作業性能も伸びていて、約2倍以上作業時間を確保しています。

マルチボルトバッテリーは従来の18Vモデルとも互換性があるため、さまざまなモデルと共通して使用できるのも大きな魅力です

最大締結トルク 138N・m 無負荷回転数 2,100min-1
コンクリート穴あけ能力 20mm チャック把握径 13mm
寸法 204×262×78mm 重量 2.3kg

マキタ HP481D 充電式震動ドライバドリル

マキタ定番の充電式震動ドライバドリルがHP481Dです。

18Vの震動ドライバドリルでは上位の性能を持ち、コンクリート最大穴あけ径16mmと十分な性能を搭載しているモデルです。

マキタ18Vバッテリーシリーズの製品なので、他のマキタ充電式製品とも活用できるので幅広い作業に対応できるのも特徴です。

最大締結トルク 125N・m 無負荷回転数 2,100min-1
コンクリート穴あけ能力 16mm チャック把握径 13mm
寸法 205×266×79mm 重量 2.3kg

マキタ HP484D 充電式震動ドライバドリル

ショートボディでコンパクトサイズの震動ドライバドリルがマキタ HP484Dです。

先ほどのHP481Dと異なり、取り回しに優れたショートボディが特徴の振動ドリルで、小さな穴あけ作業が多いシーンに最適なモデルです。重量も1.8kgと軽量になったので、使い勝手の良さと性能を両立させたい方におすすめしたい震動ドライバドリルです。

最大締結トルク 60N・m 無負荷回転数 2,000min-1
コンクリート穴あけ能力 13mm チャック把握径 13mm
寸法 182×261×79mm 重量 1.8kg

HiKOKI DV20VF 振動ドリル

AC電源の振動ドリルでトップクラスの性能をもつ製品がHiKOKI DV20VFです。

アルミダイカストボディを採用したアルミ二重絶縁構造により、堅固なボディと高い絶縁性を両立し、モーターと本体の耐久性を向上させているのが特徴です。ラチェットも耐久性・耐摩耗性に優れた鍛造ラチェットを採用し、チャックも耐久性に優れ固定力の高いインダストリアルチャックを搭載、プロが使う振動ドリルとして申し分ないスペックの振動ドリルです。

モーター出力も820Wとトップクラスの性能を持ち、価格も他社のプロ向けモデルと大きな差はないので、AC電源の振動ドリルを購入するならDV20VF一択です。

消費電力 820W 無負荷回転数 2,900min-1
コンクリート穴あけ能力 20mm チャック把握径
寸法 414×148mm 重量 2.9kg

マキタ HP2032 震動ドリル

マキタの定番AC電源振動ドリルがHP2032です。

コンクリート穴あけ性能20mmと十分な性能を持つため、マキタ派の方はこちらの震動ドリルを使用するのがおすすめです。先ほどのHiKOKI DV20VFはDハンドルタイプですが、「ガンハンドルタイプの方が好み」なユーザーの方にもおすすめです。

消費電力 720W 無負荷回転数 2.900min-1
コンクリート穴あけ能力 20mm チャック把握径 13mm
全長 370mm 重量 2.5kg

DIY向け振動ドリルおすすめモデル

RYOBI PD-1301VR 振動ドリル

リョービ(Ryobi)
¥8,480 (2024/11/21 19:41:11時点 Amazon調べ-詳細)

DIYにおすすめの振動ドリルがRYOBI PD-1301VRです。

ブロックやコンクリート建造物のネジ穴を作るのに最適な振動ドリルで、操作性に優れた小型・軽量タイプで最大13mmまでの穴あけに対応します。

プロ向け電動工具も展開する国内メーカー品としては価格も定価11,900円と低価格なのも特徴で、実勢価格7,000円前後で販売されています。信頼性とコストパフォーマンスを両立した安心・信頼の振動ドリルとしておすすめの製品です。

消費電力 470W 無負荷回転数 2,600min-1
コンクリート穴あけ能力 13mm チャック把握径
寸法 278×212×66mm 重量 1.6kg

HiKOKI FDV13VSS 振動ドリル

DIYでもパワーの高い振動ドリルが欲しい!な方にオススメなのがHiKOKI FCV13VSS 振動ドリルです。

モーターの消費電力550WとDIY向け振動ドリルとしては高出力のモーターを搭載しており、コンクリートへの穴あけ作業も快適に行えるのが特徴です。

消費電力 550W 無負荷回転数 2,900min-1
コンクリート穴あけ能力 13mm チャック把握径 13mm
寸法 重量 1.4kg

新興製作所 SVV-130A 変速振動ドリル

「性能は後回しでいいからとにかく安い振動ドリルが欲しい!」な方にオススメなのが新興製作所のSVV-130Aです。

国内メーカーの製品ながら販売価格は4,000円前後と非常に安く、下手な中国ブランド製品よりも安いので、コストパフォーマンスが優れているのが特徴です。

穴あけ深さを確認できるデプスゲージやサイドハンドル・オンロックスイッチも搭載されているので、価格は安くても基本的な機能はちゃんと搭載している振動ドリルです。

消費電力 480W 無負荷回転数 2,200min-1
コンクリート穴あけ能力 10mm チャック把握径 13mm
寸法 240×170mm 重量 1.9kg

マキタ M818 震動ドリル

マキタ(Makita)
¥9,340 (2024/11/21 19:41:14時点 Amazon調べ-詳細)

「やはり電動工具の定番はマキタ」な方にオススメなのがマキタ M818 震動ドリルです。

性能は他社品相当で、販売価格は実勢10,000円と少し高めでコストパフォーマンス的にちょっと悪めの製品ですが、そこはサポートに強いマキタ、部品が摩耗しきっても最寄りの営業所で直ぐに修理してもらえる強みがあります。

工具としての性能よりも、長い期間に渡って使用したり継続的に運用するならアフターサービスに優れるマキタ品がおすすめです。

消費電力 430W 無負荷回転数 2,800min-1
コンクリート穴あけ能力 13mm チャック把握径 13mm
寸法 255×193×72mm 重量 1.6kg
Return Top