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コードレスはんだごてとは
コードレスはんだごてとは、コンセントを使用せずにバッテリーやガスを熱源に使うはんだごての総称です。
AC100Vを使用していないため、はんだごて特有の太い電源ケーブルがなく、取り回しに優れているのが特徴です。
動作時間やヒーター出力は電源コード式のはんだごてに及ばないものの、電源が取りにくい場所での配線作業や、こて先をホットナイフに付け替えて工芸・手芸などにも使用できます。
コードレスはんだごて2種類の発熱方式
電池式
電源コード式のはんだごてと同じく、ヒーターによって電気によって熱を得る方式です。
小型で取り回しも良く、電池の手配も容易なので手軽に使用できるのがメリットです。ポケットにも収まるサイズなのでいざという時のシーンで活躍します。
電源は単三電池で動作する方式が主流でヒーター出力が数ワット程度と小さく、こて先も小さく熱容量も少ないため、電子工作や細径導線のはんだ付け作業までしか対応できません。
ガス式
はんだごて本体にガス注入して、ガスの燃焼・反応によって熱を得る方式です。
コードレスながら発熱量が大きく、50W前後の熱出力を得られるので、電源コード式のはんだごてと同じような感覚で使用できます。こて先を変えることでホットナイフや小型のヒートガンとしても使用できます。
ガスを使用するためランニングコストが高く、ガス自体の入手性も悪いので運用の面では電池式に劣ります。
電源コード式のはんだごてとは使い勝手が異なるので注意
コードレスのはんだごては小型製品が多く、ヒーターのサイズやこて先も小さいため使い勝手が少し異なります。
例えば、FX-600のようなセラミックヒーター搭載のはんだごては、こて先温度に対して発熱量が追従し簡易的なフィードバック機能なども搭載しているので、普通の半田付け作業であれば温度を気にする必要はありません。しかしコードレスのはんだごての場合こて先やヒーターが小さく熱容量も少ないので、温度が大きく変動してうまくはんだ付けができない場合があります。
熱不足ではんだが溶けないだけなら良い方で、こて先温度が高すぎることによる基板のランド破損や芋はんだによる不良なども発生しやすいので、温度管理に気を使わないとはんだ付けの品質が落ちやすくなる点に注意しましょう。
ガス式に関しては熱出力・熱容量が大きく電源コード式のはんだごてと同じように使用できますが、容易にはんだ付け作業の適切な設定温度を超えてしまう場合もあるので、ガス調節に常に気を遣うようにしましょう。
コードレスはんだごて 製品ピックアップ
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特徴
利点
欠点
熱源
発熱量
温度
寸法
重量
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製品の特徴
ミルウォーキーM12シリーズの充電式工具で電動工具とバッテリーの使いまわしが可能
利点充電式ながら電源コード式に匹敵する製品仕様を搭載。白光こて先も装着可能
欠点コードレスはんだごてとしては大型。温度調節機能非搭載
熱源M12バッテリー
発熱量90W
温度400℃
寸法–
重量0.41kg
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製品の特徴
乾電池で動作するコードレスタイプなので、作業する場所を選ばない
利点ニッケル水素電池での動作も可能で初期コスト・ランニングコストに優れる。
欠点出力が小さく、熱容量も少ないため大きい部品のはんだ作業は不可
熱源単3乾電池×4本
発熱量5~6W
温度範囲–
寸法全長212mm
重量76g
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製品の特徴
単三電池3本で動作する電池式のはんだごて。ニッケル水素電池にも対応
利点電池3本で動作するので手軽に使用できて持ち運びも容易
欠点出力が小さく、熱容量も小さいため放熱が大きい部品のはんだ付けは不可
熱源単3乾電池×3本
発熱量6W
温度450℃以上
寸法180×40×25mm
重量62g
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製品の特徴
コテライザーシリーズのコンパクト多機能シリーズ。1充填で1時間以上使用可
利点マルチホルダーと多様な交換部品で幅広いはんだ付け作業に対応できる。
欠点専用ガスのみ対応でランニングコストが高い
熱源ガス
発熱量15~60W相当
温度450℃
寸法全長216mm
重量66g
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製品の特徴
ブタンガス採用でどこでも使用できる多機能はんだごて
利点はんだ付け作業以外のアクセサリが豊富で工芸用途にも活躍
欠点1充填あたりの連続作業時間が短め
熱源ガス
発熱量–
温度最大550℃
寸法–
重量135g
コードレスはんだごての選び方・カタログスペックの見方
コードレスはんだごてを選ぶときには、下記の4項目に注目します。ここではそれぞれの項目について解説します。
- 熱源
- 発熱量
- 重量
- こて先
熱源
コードレスはんだごてには電池かガスが熱源として使われます。電池式は小型で取り回しに優れますが、発熱量が少ないため作業は限定されます。ガス式は電源コード式のはんだごてと同等の性能を持ちますが、ランニングコストの面で不利になります。
発熱量
電池式は数ワットしかありませんがガス式は50W前後の出力が可能です。電子工作程度のはんだ作業であれば数ワットの発熱量でも問題ありませんが、ベタパターンや太い導線のような放熱量の大きいはんだ作業ではガス式がおすすめです。
重量
電池式のはんだごては本体重量に加えてバッテリー重量が加わります。ガス式に関しては乾燥重量を表していますが、ガス自体の重量は数グラムしかないため、重量の面ではガス式の方が優れています。
こて先
電池式・ガス式に関しては専用のこて先を使用するため、カタログを見てこて先形状を確認しておきましょう。電源コード式のはんだごてのこて先との共用はできません。
コードレスはんだごてのよくある質問
Q.電池式とガス式はどちらがおすすめですか?
電池式とガス式は用途が異なり、電子工作などの簡易的な用途であれば電池式、大きな発熱量が必要な用途ではガス式がおすすめです。またガス式はこて先の付け替えでヒートガンやホットナイフなどの使い方も可能です。
Q.ガスは専用ガスじゃなくても使用できますか?
ガス式はんだごてにはブタンガスが使われているためライターガスなども使用できますが、専用ガスが指定されている場合はそちらを使用します。専用ガス以外のガスを使用すると燃焼維持や着火性が悪くなります。
Q.温度調節やステーション型の電池式コードレスはんだごてはありますか
残念ながら温度調節やステーション型に分類される高性能なコードレスはんだごてを取り扱う国内メーカー・日本正規販売店はありません。海外市場においてはTTI RYOBIがONE+18Vシリーズで温調・ステーション型コードレスはんだごてを販売しています。