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ホットナイフとは熱で樹脂を切断する工具
ホットナイフとは、こての熱で樹脂材料を切断する工具です。
はんだごてと同じニクロムヒーターのこてで先端の刃を熱することで樹脂を柔らかくしながら刃を食い込ませていくので、切削やせん断よりも素早い切断でき、滑らかに切断できるのが特徴です。
ホットナイフによる樹脂切断では、プラモデルのゲート処理や樹脂板を使った工作などの樹脂加工作業に使用します。
ちなみにホットナイフと近い製品としてホットカッターと呼ばれる製品もありますが、この記事では、はんだごてのこて先に装着して使用するホットナイフのみを解説します。
ホットナイフの特徴
- 薄い樹脂板を素早く切断できる
ホットナイフは熱で樹脂を柔らかくして切るので、樹脂材料に対して素早い切断を可能とします。ただし、スパスパと切れるものではありません。 - 最大切断厚みは1mm程度
ホットナイフは熱で樹脂を柔らかくして切断する工具ですが、切断できる厚みは最大でもABSで2mm程度です。それ以上の厚みの場合、材料に熱が伝わってナイフが冷えてしまい刃を食い込ませることができなくなります。1mm厚以上の切断の場合は高周波カッターの使用を推奨します。 - ナイロンロープ・ナイロン布の加熱裁断に使える
ナイロンで編まれたロープや布にも活用でき、ホットナイフを使うことでほつれることなく綺麗に裁断できます。 - ABS切断など切断時に発生する臭気に注意
ホットナイフは熱を加えて切断するので、ABS樹脂など加熱時に臭気が発生する樹脂に対しての使用には換気を行う必要があります。 - 熱可塑性樹脂にしか使用できない
ホットナイフは熱で柔らかくなる樹脂にしか使用できません。熱硬化性のフェノール樹脂や紫外線硬化樹脂のレジンなどには対応できません。 - こて先を変えればはんだ付けに使える
ホットナイフのこてははんだごてと同じ仕組みなので、先端を半田用のこてに付け替えればはんだごてとしても使用できます。 - K型こて先とは刃の鋭さや熱容量が異なる
はんだごてにはホットナイフと類似する形状のK型こて先がありますが、先端がホットナイフほど鋭くなくこて先温度も高くなってしまうため、樹脂切断用途にはあまり向いていません。
ホットナイフの基本的な使い方
ホットナイフは一般的なセラミックヒーターのはんだごてと異なり、ニクロムヒーター式で先端部分の熱容量が大きく刃部分からの放熱も大きい先端形状なので、電源を入れて先端が十分に温まるまで10分程度予熱しなければいけません。
マキタ互換バッテリーを分解した時に出てきたバッテリーホルダーを切ってみます。厚みは大体1mm程なので、ホットナイフで切断できるギリギリの厚さです。
ホットナイフが十分温まったらナイフを当てて、少しずつ食い込ませながら切断します。力を入れて刃を入れれば熱の影響を少なくできますが、熱が入りきらず刃が折れることもあるので注意が必要です。
切断面はこんな感じになります。今回切断した樹脂片は厚みがあったため少し荒れた切断面となっています。
ホットナイフは薄くて小さい材料の切断に適した工具です。分厚く大きい樹脂板の場合、熱が足りなくなるのでゆっくり切断しなくてはいけません。
ホットナイフを選ぶポイント
- 消費電力
消費電力が高いほどナイフ部分の温度が高くなるので、厚みのあるプラスチックも快適に切断できるようになります。ただしナイフ部分の熱伝導にも限界があるので、消費電力がどんなに高いホットナイフを使っても最大切断厚に限界がある点に注意が必要です。 - パワーコントローラー
ホットナイフにのコンセントにパワーコントローラ―を付けると、先端ナイフの温度を調節できるようになります。温度を下げることで薄くて柔らかい材料でも過剰な熱を加えず適切な温度で切断できるようになります。
ホットナイフのオススメピックアップ
白光 HOT KNIFE SET 515
はんだごてメーカーの白光が販売するホットナイフです。
ホットナイフの刃だけではなく、半田付け用のこて先やはんだも付属しているので簡単な電気作業用途にも使うことができます。
付属品としてはちょっと良い形のものがこて台標準付属しているので、作業中にこてを机に置くのも少しだけ安心です。
太洋電機産業(goot) ホットナイフ HOT-60R
はんだごてメーカーの太洋電機産業が販売するホットナイフです。
60Wの消費電力でホットナイフとして出力が高い仕様を持ち、本体価格も安いのでおすすめの製品です。
はんだ付け用のこて先や簡易的なはんだスタンドも付属しているので、簡単な半田付け作業にも使えます。
エンジニア SK-60シリーズ用ホットナイフ SK-97
エンジニアが販売するガス式のはんだごて コテライザーシリーズに装着するホットナイフです。
エンジニアのコテライザーはガスを触媒によって発熱する方式なので炎が出ず安全性が高く、手軽に使用できるのが特徴です。
コンセント電源式と異なり30秒程度で作業ができるのも特徴で、素早く作業を行いたい方にもおすすめです。