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2024年7月8日

ショックレスハンマーとは?【工具の特徴・選び方解説】

ショックレスハンマーとは?【工具の特徴・選び方解説】

ショックレスハンマーとは

ショックレスハンマーとは、打撃時の反動を抑える仕組みを搭載している手持ちハンマーです。

ヘッド内部の空洞部分に金属球が入っており、打撃時に金属球が移動してて反動を和らげる衝撃吸収と振動を和らげるので、普通のハンマーを使った時に発生する際の振動や衝撃が手や腕に伝わるのを防いで、作業時の疲労や痛みを低減してくれる特徴があります。

ショックレスハンマーは板金作業や治具の取り付け、機械の組み立てや土木作業の杭打ち、クサビ打ちなど幅広い打撃作業に活用できます。

ショックレスハンマーはメーカーによって呼び方が異なっていて「無反動ハンマー」「コンポータンハンマー」「ショックレスプレスハンマー」として販売しています。ショックレス部の構造が少し異なる製品もありますが、基本的な仕組みは同じです。

ショックレスハンマーの基本構造。ヘッドの空洞部に細かい金属球が収められており、打撃時に金属球が遅れて落ちてくることで遅れて打撃エネルギーが伝わることで反動を低減する。
画像引用:Neiko 02848A 3 lb Dead Blow Hammer, Neon Orange by Neiko
ショックレスハンマーは柔らかいヘッド部と衝撃を分散して伝えるので、メタルラックなどの組立解体などにも重宝する。

ショックレスハンマーのメリット

ショックレスハンマーのメリットは、作業時の反動も少なく疲労を低減してくれる点にあります。

一般的なハンマーは金属の塊なので、打撃を加えた時に相手が固い材料だと反動で跳ね上がってしまいますが、ショックレスハンマーは内部の金属球が遅れて落ちてくる仕組みになっているので、打撃時の反動を押さえつけて効率よく力を伝えることができます。そのため、跳ね上がりによる手首への負担や疲労が少ない利点があります。

打撃時の跳ね上がりが発生しないことは、打撃するときのエネルギーを効率的に対象物に伝えられていることになり、同じ重量のハンマーよりも力強い打撃を可能としています。

ショックレスハンマーのデメリット

ショックレスハンマーは、通常のハンマーよりも構造が複雑なために価格が高くなってしまいます。

さらにショックレスハンマーの基本的な注意点として、大半のショックレスハンマーはヘッド部の素材が樹脂で覆われており、ヘッド部の構造も金属球を収めるための空洞になっているので、釘のような小さい突起物に使用するとすぐにボロボロになってしまいます。

筆者が使用しているショックレスハンマー。釘打ちなどには使用していないが、硬くて薄い材料に使っていたのでヘッド部の樹脂で覆っている部分が傷ついている。

この場合、ヘッド交換式のショックレスハンマーであれば、スチールヘッドを装着して釘打ち作業にも対応できます。

ショックレスハンマーを選ぶポイント

1.ヘッド部分の材質、構造

ショックレスハンマーは多くの製品がヘッド部が樹脂で作られています。

低価格なショックレスハンマーでは衝撃吸収部とヘッド部分が一体化して樹脂で覆われている構造になっており、高価なショックレスハンマーではヘッド部分を交換してメンテナンスできるようになっています。

ヘッドの材質にはウレタン、ナイロン、ゴム、スチールなどがあり、作業に応じて適切なヘッド材質を選ぶのが重要です。

2.ショックレスハンマー内部の構造

ショックレスハンマーの構造には、金属球を使うタイプとワッシャ状のスチールディスクを使うタイプがあります。

金属球タイプは価格が安く手軽に入手できますが、球が打撃方向以外にも散らばってしまうため打撃力が分散してしまう欠点があります。

スチールディスクタイプはPB SWISS TOOLのショックレスハンマーに採用されています。ディスクを固定するシャフトに沿って同じ方向に力が加わるので、効率よく打撃を伝わります。

3.柄の種類・構造・長さ

ショックレスハンマーも通常のハンマーと同じく、柄の材料や種類、長さが使い勝手を大きく左右する工具です。

低価格なショックレスハンマーはシャフトとシャフト一体化していますが、高価なショックレスハンマーは柄の部分が交換できるようになっており、グラスファイバー柄や木製柄など自由に交換できるようになっています。

ショックレスハンマーのオススメピックアップ

E-Value ショックレスハンマー

低価格で使いやすいE-Valueブランドのショックレスハンマーです。

PVC樹脂製ヘッドなので相手に傷をつけにくく、510gサイズの小型サイズなので家具の組み立てやアウトドアのペグうちなど、ちょっとしたDIY作業にも大活躍できるショックレスハンマーです。

製品名 EV-42
材質 PVC
打撃構造 金属球
ヘッド交換 ×
シャフト交換 ×
重量 510g
全長 82×270×40mm
販売年月 2015年

高儀(Takagi) ショックレスハンマー 1.5Pニトリルゴム

工具メーカー高儀が販売するニトリルゴム採用のショックレスハンマーです。

ニトリルゴムは耐摩耗性や圧縮ひずみ性に優れた材料で、角を打ってもゴムコーティング部分が割れにくい仕様になっているのが特徴です。アウトドアでのペグ打ちやバトニングなど硬くて小さい金属材に打ち込む用途において優れたコストパフォーマンスを持つショックレスハンマーです。

製品名 M&M ショックレスハンマー 1.5P
材質 ヘッド:鋼合金+ニトリルゴム
グリップ:ソフトTPV
打撃構造 金属球
ヘッド交換 ×
シャフト交換 ×
重量 677g
全長 92×305×45mm
販売年月 2014年

ピービースイスツールズ(PB Swiss Tools) PB 303-1

スイスの手工具ブランドPB SWISS TOOLSのショックレスハンマーです。

ショックレスハンマーの中で唯一スチールプレートを採用しており、その使い勝手の良さから一度使ってしまうと別のショックレスハンマーには戻れなくなるユーザーも数多くいます。メンテナンス性も優れており、ヘッドの材質も樹脂、スチール、銅に変えられるのでプロ用途からアウトドアまで幅広いシーンに対応できます。

紹介しているのはヘッド径φ22mm仕様のPB303-1ですが、ヘッド径φ60mmまでのサイズが異なる7仕様を展開しており、幅広い作業に対応できます。柄の交換もできるので、ずっと使い続けられる一生モノのショックレスハンマーです。

製品名 PB 303-1
材質 ヘッド:ポリアミド樹脂
グリップ:ガラス繊維
打撃構造 スチールプレート
ヘッド交換 樹脂・硬化鋼・銅
シャフト交換 木材
重量 239g
全長 22×270×75mm

ハルダー (HALDER) スーパークラフト無反動ハンマー 3366.050

ドイツの手工具ブランド ハルダー(HALDER)のスーパークラフトシリーズ 無反動ハンマーです。

ハルダーは林業向けに人気のあるブランドです。プロ用途としてヘッド部やシャフトの交換にも対応しているので一生モノのツールとして長く使えるショックレスハンマーです。

今回紹介しているのはヘッド径φ50mm仕様の3366.050ですが、ヘッド径φ20mmからΦ80mmまで10種類のサイズを展開しているので幅広い作業に対応できます。

ハルダー (HALDER) スーパークラフト無反動スレッジ 3366.110

ハルダー(HALDER)のスーパークラフトシリーズの無反動スレッジです。

このショックレススレッジは、ヘッド径φ100mm、全長1m、重量9.3kgの超大型ショックレスハンマーです。

販売価格も7~9万円と頭一つ飛びぬけていますが、杭や楔の打ち込み、鉄骨工事や解体作業など、重量級の打撃力を必要とする作業に対して圧倒的な作業性を実現できます。

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