※本記事は充電式クリーナの分解・組立手順を解説する技術記事です。個人での分解や修理を推奨するものではありません。
現場用クリーナーの分解・修理について
電動工具メーカーの販売するクリーナーはカーボンブラシを搭載するブラシモータを使用している機種が多いため、ブラシ摩耗による寿命があります。
このブラシ摩耗は、少し頻繁に使ったくらいで摩耗するものではありませんが、概ね6.0Ahバッテリー2~4本が寿命になるまで使うとブラシ摩耗によるモータ交換が必要になります。
以前、マキタ営業所に修理に出したときは5,000円程度の修理費用が掛かりましたが、モータ交換だけで修理が出来ればモータの部品費用1,500円~2,000円で安く修理することが出来ます。
クリーナーの修理の基本は修理用部品との交換です。クリーナーで破損する部品はモータ周りがほとんどなので、モータを入れ替えるだけで修理出来ます。
モータはファンが圧入されたモータアッセンブリ(モータファン)の状態で組み立てられています。ファンを取り外してモータだけを交換したり、モータからカーボンブラシだけ取り出して交換するような修理はできないので注意してください。
クリーナーの分解・組立で用意するもの
電動工具メーカー各社が販売する現場向け充電式クリーナーは、2つ割のハウジングをネジで固定するシンプルな構造なのでプラスドライバー1本で分解組立ができます。
クリーナーが動かなくなる原因のほとんどが、ブラシ摩耗や異物への内部侵入によるファン破損などモータアッセンブリ関連の破損です。
動かない・回らないなどの故障を修理する場合はモータアセンブリの手配が必要になります。(ただし、正確な故障診断にはテスターなどを用いたコントローラ不良との切り分けが必須です)
参考として、下記の表に主要なクリーナーのモータアッセンブリ対応表の一例を記載します。記載がない製品でもメーカー取扱店でモデル名を伝えれば対応する修理部品が取り寄せできます。
メーカー | モデル名 | 部品名 | 部品型番 |
マキタ | CL100D | モーターアッセンブリ | 135405-6 |
マキタ | CL102D | モーターアッセンブリ | 125862-6 |
マキタ | CL106FD | モーターアッセンブリ | 123849-2 |
マキタ | CL107FD | モーターアッセンブリ | 123293-3 |
マキタ | CL108FD | モーターアッセンブリ | 126846-7 |
マキタ | CL110D | モーターアッセンブリ | 123997-7 |
マキタ | CL140FD / CL141FD | モータアッセンブリ | 125865-0 |
マキタ | CL180FD / CL181FD / CL182FD | モータアッセンブリ | 125932-1 |
マキタ | CL280FD | モータアッセンブリ | 136091-6 |
HiKOKI | R7DL | モータファン(A) | 370453 |
HiKOKI | R10DAL | モータファン(A) | 370337 |
HiKOKI | R14DSAL | モーターファン(B) | 337804 |
HiKOKI | R18DSAL | モーターファン(B) | 337805 |
部品の取り寄せは、電動工具取扱店の店員に「電動工具の部品が欲しい」と言えば展開図を見せてくれるので、欲しい部品を確認して部品の注文を依頼すればOKです。部品の取り寄せ日数は地域や在庫の状態にもよりますが、概ね1~3日程で受け取ることができます。
今回分解するのはマキタ CL140FD
今回、分解組立の例で紹介するのは、マキタ CL140FDです。CL140FDは2011年に発売を開始し2021年に発売10周年を迎えたロングセラーモデルです。
現場向けのクリーナーとして耐久性・シンプルデザイン・清掃業務向け・一般家庭の2台目クリーナー用途などで長年かけて口コミ人気で広がり、マキタクリーナー戦略の中興の祖とも言える傑作機です。
電動工具メーカーが販売するクリーナーは、ほとんどの製品が同一の構造になっています。ただし、スイッチの構造や集じん部分の違いで異なる部分もあるので注意してください。またマキタ CL280FDシリーズ・HiKOKI R36DAのようなブラシレスモータ搭載クリーナの場合、本記事の内容は当てはまらないので注意してください。