当記事はインパクトドライバの分解・組立手順を解説する技術記事です。個人による電動工具の分解や修理を推奨するものではありません。
インパクトドライバの分解・組立で用意するもの
- #2プラスドライバー
- ピンセット(ハンマケースを分解する場合)
- 二面幅32mmソケット(マキタインパクトを分解する場合)+12.7sqアダプタ
- ハンドプレス or プーラー or バイス(スピンドル分解を行う場合)
- 各種治具(圧入部品を外す場合、必要に応じて設計・手配)
インパクトドライバーはシンプルな部品で構成されているため、分解組立に高価な工具は必要ありません。ただし、ハンマケース内部の分解には圧入関連の機具が必要です。
電動工具の修理の原則は、修理用部品との交換です。破損した部品を修理して組み込むような修理は避け、電動工具販売店から購入した正規の部品を組み込むようにしてください。
部品の取り寄せは、電動工具販売店の店員に「電動工具の部品が欲しい」と言えば展開図を見せてくれるので、欲しい部品を確認して部品の注文を依頼すればOKです。部品の取り寄せ日数は地域や在庫の状態にもよりますが、概ね1~3日程ですが、部品在庫の有無や営業マンの巡回頻度によって変わります。
ただし、個人ユーザーへの部品販売は全ての販売店が協力的に行っているわけではない点に注意してください。
ちなみに同じインパクトドライバでも、メーカーによって部品の名称が異なる場合があります。
本記事ではマキタ基準の部品名称で解説しています。HiKOKIなどの本記事の内容と異なるメーカーの部品を取り寄せる場合には、部品名の違いに注意しましょう。
下の表にマキタとHiKOKIの部品名の違いの例を挙げます。
部品外観 | マキタ | HiKOKI |
---|---|---|
シンワッシャ | ワッシャ | |
スパーギヤ | アイドルギヤ | |
ピン | ニードルローラ | |
コンプレッションスプリング | ハンマスプリング | |
インターナルギヤ | リングギヤ |
記事内の解説する手順は、部品交換修理のための分解・組立方法です。コントローラの動作不良解析や圧入部品の取り外しについては専用器具や作業の知識が必要になるため割愛します。また、ハンマケース内部の部品を交換する場合、グリスの洗浄や再塗布が必要なので、別途工具用のグリスを用意しましょう。
電動工具の修理はメーカー純正のグリス塗布を推奨しています。(注:個人修理では純正グリスの手配と塗布箇所が不明なのでメーカー相当の修理はできません。)
今回分解するのはマキタ TD170D
今回、分解組立の例で使用するのは、マキタTD170Dです。TD170Dは2016年に発売したマキタフラッグシップのインパクトドライバで、当時の全長短縮競争の中では最先端を行く製品でした。
記事内のインパクトドライバ分解解説はTD170Dを参考に解説していますが、全てのインパクトが同じ方法で分解できるわけではない点に注意してください。
また、製品やメーカーの違いによりインパクトの部品や構造が微妙に異なるため、あくまでも参考程度にご覧ください。
電動工具の分解・組立には、電動工具の展開図があると便利です。
部品の位置の確認や紛失などを防げるので、用意できる場合はできるだけ用意しておくのがおすすめです。
展開図は一般的に公開しているものではありませんが、一部販売店のwebサイト上に掲載していたり、部品を取り寄せた時に販売店が確認時に印刷したものを注文書と一緒にくれる場合があります。