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回路図を書くエディタの種類と用途の違いについて解説

回路図を書くエディタの種類と用途の違いについて解説

電子回路を学んで回路設計を始めたばかりのころなどは、回路図エディタの違いをよく理解しないままとりあえず目についた回路図エディタを使ってしまい、作った回路図をどうすれば良いのか悩んでしまった方も多いと思います。

回路設計の解説サイトや本を読んでもこのような情報があまりなかったので、今回は回路図エディタを搭載するソフトウェアについて簡単に解説します。

パソコンで回路図を書くソフトには大きく分けて3種類

回路図は電子回路設計の起点となるものですが、回路図だけでは実際の電子回路を作る事ができません。回路図から電子回路を作るためには、プリント基板のような電子部品を納める基板の設計も行わなければならず、同時に並行して綿密な回路検証も進めなければなりません。

実際の回路設計を行う業務などでは、回路図エディタ機能ではなく、プリント基板を設計するためのCAD機能や、回路の検証を行うシミュレータの機能などが求められます。そのため、実際の回路設計業務においては用途に合った機能を搭載した回路図エディタが採用されます。

回路図エディタ

電子部品のシンボルを使って回路図を書くソフト全般がこの分類に入ります。後述するプリント基板設計やシミュレーション機能は搭載されておらず、回路図作成に特化したドローソフトとしての意味合いが強いソフトウェアになります。

代表的な回路図エディタとしてはBSch3vFritzingなどがあり、他にもクラウドベースのschematics.comや、Microsoft Visioなどの作図ソフトでも回路図作成をサポートしています。

実際の回路設計としては、エディタによる回路設計の後にプリント基板設計や回路検証に入りますが、エディタ機能しか搭載していない回路図エディタではその後に続く機能が存在しないため、ユニバーサル基板での回路制作や資料作成のためのエディタとして活用されます。

プリント基板設計CAD(EDA)

プリント基板設計を行うCADを搭載した回路図エディタはこの分類に入ります。プリント基板設計とは電子回路を構成する回路基板そのものを設計する作業で、回路図エディタで作成した回路図を元に電子部品の配置や銅箔のパターンの設計を行います。

回路設計CADに設計支援機能が搭載された製品をEDAと総称する場合もあります。代表的なEDAとしては図研CR-5000ケイデンスOrCAD、クラウド型で低コストライセンスのQuadceptなどがあります。また、フリーで使用できる回路CADとしてはオープンソースのKiCAD、部品ベンダーであるRS Componentsが提供するDesign Spark PCBなどが有名です。

EDAは電子部品シンボルの他に、電子部品毎の型名フットパターンなど実際の電子回路設計に必要となる情報を内包しています。これらの情報を元に実際の形となる電子回路の設計を進め、電子回路基板の元となるガーバーBOM(部品表)などを出力します。

回路図エディタとして見た場合でも豊富なライブラリやパーツ作成機能支援機能なども搭載しており、柔軟な回路図作成が可能で、プリント基板設計機能によって後のプリント基板設計やユニバーサル基板の配線設計などにもつなげる事ができます。

現在ではP版.comunicraftFusionPCBなど個人でも発注できるプリント基板製造業も存在するので、個人規模の開発でもフリーEDAとこれらの業者を活用する事で、比較的簡単にプリント基板の設計が行える環境となっています。

EDAでは回路に使用する電子部品を網羅してBOM(部品表)として一覧出力が可能になっている。図はRS ComponentsのDesign Sparkで出力したBOMで、RSオンライン上の在庫と照らし合わせて部品の購入総額や在庫状況なども確認できる。
一部のEDAではパーツの3Dモデルと合わせて回路基板の3Dデータを出力する事が可能となっている。これを機械設計CADにインポートする事で回路のハウジング設計にも役立たせる事ができる。

回路シミュレーションツール

パソコンの中で回路を動かして、電子回路の学習や回路の検証などに使用するのが電子回路シミュレーターです。ソフトウェアとしてSPICEシミュレータから派生したLTSpicePSpiceQucsなどが有名です。

これらのシミュレーターは、回路図のまま電子回路を動作させ回路がどのような振る舞うかの検証に使用されます。回路の入出力を確認する過渡解析の他に、電源を変化させるスイープ解析や、部品のバラツキによる影響を検証するモンテカルロ解析など、様々な角度からシミュレーションを行います。

個人開発で回路シミュレーターを使用する場合だと、アンプ設計やフィルタ回路の特性確認などのアナログ回路設計のツールとして使用されます。逆に、マイコン制御やデジタルICなどの周辺機器制御やデジタル的な要素の強い回路設計の場合だとシミュレーターを必要とする場面は少ないかもしれません。

回路図エディタとして見ると、エディタとして使用するには機能が乏しい面も見られます。複雑なICや特殊な形状の部品が存在しない場合も多く、コネクタ類や回路分割の扱いも苦手とします。特に、シミュレーションのために厳密な定義を行わなければならないため、実際の回路とは異なる回路図にしなければならない場合もあります。

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