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2021年1月31日

Enelifeブランドのマキタ互換バッテリーを分解・検証

Enelifeブランドのマキタ互換バッテリーを分解・検証
  • 国内互換バッテリーブランドEnelifeのバッテリーを分解検証
  • バッテリーセルの実態が不明
  • バッテリー容量詐称の疑惑あり
  • 中国ブランド互換バッテリー同等の保護基板を採用
  • 全セル監視をしていない

互換バッテリー国内ブランドEnelifeバッテリーを検証

今回検証するのは、ダイソン・マキタ・HiKOKIの互換バッテリーを取り扱う国内ブランドLXA Japanの互換バッテリーブランドEnelife®Batteriesのマキタ18V互換バッテリーです。

LXA Japan LLCは東京都中央区銀座に本社を置く国内企業で、台湾ADATA Technology社のパワーバンク輸入代理店業務なども行っています。

ECサイト上での販売だけではなく一部実店舗にも製品を卸している互換バッテリーブランドで、今回検証に使用する互換バッテリーは、秋葉原の千石電商秋葉原本店で購入したものです。

本記事では、国内ブランドの電動工具用バッテリーの構造検証・安全性について検証します。

マキタ18Vスライド互換バッテリーのチェックポイント

下記の4項目を中心に分解・検証を進め、互換バッテリーの安全性を評価します。

  • ハイレートセルの採用
    電動工具は急速充電・大電流放電で使用する製品のため、高い充放電性能を持つハイレートセルの搭載が必須。
  • バッテリーセルの電圧監視方式
    リチウムイオンバッテリー機器で必須の「過放電/過電流/過充電/過熱/低電圧保護」の有無。セルバランスの監視方式が「全セル個別監視」であること。
  • 遮断回路(マキタ14.4V/18Vのみ)
    マキタの14.4V/18Vスライドバッテリーは、各種保護と遮断機能をバッテリー側に強く依存しているため、バッテリー側に遮断機能が必要。
  • 製造元・輸入者・販売店情報
    販売元の住所・連絡先記載の有無。PSEで定められている事業者情報。

2番目のバッテリーセルの監視方式については、PSE(別表第九 リチウムイオン蓄電池)ではセル個別監視を必須と定義する項目はありませんが、当サイトでは「純正バッテリーは全セル個別監視を採用」「特定の条件下では過充電を検知できない」「電動工具用バッテリーはセルバランスが崩れやすい」の3点から、セル個別監視方式を必須の条件として評価します。

全セル個別監視が必要な理由
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PSE表記のチェック

電気用品安全法 第十条では、電気用品のPSEマークの表示と届出の製造(輸入)事業者をフルネームで表示することを規定しています。

モバイルバッテリーを始めとするリチウムイオンバッテリーを搭載するバッテリー機器は「特定電気用品以外の電気用品」に分類され、施行規則別表第七に従って適切な表示をしなければいけません。

バッテリー裏側ラベルにはPSEマーク記載のほか、輸入販売者も確認できました。PSEマーク運用は遵守されています。

容量測定・過放電遮断電圧をチェック

分解する前に、バッテリーを測定器と電子負荷に接続して放電波形を測定します。放電波形測定には、以前製作した60W電子負荷とUSBテスタCT-3を使用しています。

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バッテリー容量測定値は2.73Ahとなり、公称容量の3.0Ahより少ない結果が得られました。バッテリー容量測定と同時に放電遮断機能の有無も確認しているので、深放電まで行っている分バッテリー容量は若干大きく測定されています。

ただし、深放電による出力遮断は確認できませんでした。これはマキタバッテリーとしては良くない動作です。

放電は7V付近まで行いましたが(1.5V/単セル)放電遮断動作は確認されませんでした。過放電保護が搭載されていないため、危険な互換バッテリーに分類されます。

放電終止電圧を15Vとした場合の実質的なバッテリー容量は2.6Ah程でした。

今回のバッテリー放電は3Aで測定しているため、単セル当たりの放電レートは0.5Cと比較的緩い条件です。この条件下でも3.0Ah付近に届かなかったことを考えると、単セル容量1,300mAhのバッテリーセルを搭載している可能性があります。

結論として、このバッテリーは、カタログ表記で3,000mAhと表記しながら実容量2,600mAhの疑惑があります

バッテリーセルの品名は不明

バッテリーを分解して内部のセルを確認したところ、バッテリーセルのラベルに刻印がなくメーカー・品名は確認できませんでした。

販売ページ上ではバッテリーセルの情報が記載されていますが、今回購入した互換バッテリーの型番は「Enelife-1830B-Ⅱ」なので適合する情報が開示されていません。

仮にSamsung SDI社製のセルを搭載していたとしても、INR18650-15Tセルのデータシートがの存在が確認できなかったためセルの詳細なスペックは不明です。

充放電測定前に単セル毎の電圧バランスを測定したところ、下記のような結果となりました。
・3.755V
・3.762V
・3.761V
・3.761V
・3.760V

セルアンバランス量は7mVでした。筆者がバッテリハイテスタを所持していないため内部抵抗のバラつきは未測定ですが、充電前の電圧バランスとしては概ね問題ない水準にあると考えられます。

保護回路を確認

保護回路仕様を確認すると「全セル+単セル検知方式」でした。このバッテリー保護仕様は特定条件下のセルアンバランス状態を見逃してしまうため、直列多セル構成のリチウムイオンバッテリー機器としては推奨されない保護方式です。

保護基板の構造は、マキタ互換バッテリーで最も流通している汎用互換保護基板に近い構造ですが、搭載ICなどが異なるため、広く普及している互換保護基板が亜流的に発展した基板と考えられます。

充電のセルアンバランス検知・過電圧保護・過熱保護は限定的であり、放電保護機能は一切搭載されていないため、バッテリー保護の機能としては不十分です。

その他、気になったところ

セル側面に張られているスポンジ。振動や衝撃で破れて絶縁が確保されない可能性がある。

ケース底部に水抜き穴がない。バッテリー内部に水が浸入した場合、水が抜けずに内部に溜まり、セルアンバランスの原因になる。

国内ブランドは名ばかり、中国ブランドと同じレベル

リチウムイオン機器開発に携わるまともな国内企業であれば、このような製品を販売することはまずありません。今回の互換バッテリーの実態は販売元を国内企業に置き換えただけの中国品質互換バッテリーです。

>横行している電池容量の偽装、内蔵電池メーカー名の偽装などは一切行っておりませんので、長期間安心してお使いいただけます。

販売ページにはこのように記載されていますが、実際の測定ではカタログスペックと公称容量の詐称疑惑があり、バッテリーの保護回路構造にも問題のある点を考えると、国内ブランドと言えど一概に安心とは言い難い実情が伝わってきます。

事業概要では「オリジナル製品の企画、ファブレス製造」とするLXA Japanですが、前回の平林工機の互換バッテリーと同じく、バッテリー機器設計に対する知見と技術が致命的なまでに不足している企業と評価せざるを得ません。

故意的に安全性の低い保護基板や実態不明のセルを採用しているわけではないと考えていますが、輸入・販売者側が製品や法規について判断できる知識を持っておらず、中国製造サイドの言うことに全て従ってしまうのが問題と考えられます。

一応、輸入者は明記されているので、企業へ製品事故発生時の義務を負わせることはできる点は利点と言っても良いでしょう。中国ブランド互換バッテリーとの差額は、事故が起きた時の保険料代と考えるのが良さそうです。

そうは言っても、製品仕様的に瑕疵があるのは確実であり、PL法によってある程度ユーザーが守られているとしても発火リスクの高い互換バッテリーを使用するのは避けた方が良いでしょう

この記事を書いた人

VOLTECHNO編集部
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