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2023年3月3日

DeWALT JOBSITE WiFi SYSTEM 建設現場にネットワークを提供するWiFiアクセスポイント|DeWALT製品情報

DeWALT JOBSITE WiFi SYSTEM 建設現場にネットワークを提供するWiFiアクセスポイント|DeWALT製品情報

DeWALTから2018年に建設現場向けのWiFiアクセスポイント『JOBSITE WiFi SYSTEM』が販売された。

現在では、建設現場にもネットワークを構築するのが一般的になっており、現場での図面閲覧や進捗状況のリアルタイムな連絡、GPSとの連携による施工のサポートなど、建設現場にもインターネットは不可欠になっている。

このWiFiアクセスポイントは、家電量販店などで販売されている通常のアクセスポイントと異なり、現場の過酷な環境下での使用を考えられた防水防じんIP67対応、3メートル落下からの耐久性、メッシュネットワークの構築、そして設置にIT部門を必要としない簡易セットアップが特徴だ。

高い耐久性で過酷な現場環境にもWiFiを提供する

DeWALTの『JOBSITE WiFi SYSTEM』は複数のアクセスポイントを使用してWiFiの電波を中継し、メッシュネットワークを構築するWiFiアクセスポイントだ。

建築現場へのネットワーク構築には電話線やLANケーブルの敷設が必要となり、その工数だけでも何日かの検証と施工期間が必要だ。設置だけでWiFiネットワークの設営できるDeWALTのアクセスポイントであれば、専門のネットワーク技術者やIT技術者を待たずとも広大なネットワークを構築できる。

これであれば、ネットワーク機器メーカーの販売する業務向けのWiFi中継器でも代用できそうだが、JOBSITE WiFi SYSTEMが他社より優れている点は耐久性だ。

作業現場はオフィスや家庭と比べると過酷な環境だ。常に舞い散る粉じんや屋外での水濡れ、更には昼夜の温度差にも耐えなければならない、そうなると一般のネットワーク機器は選択肢から外れてしまう。

JOBSITE WiFi SYSTEMは現場向けのWiFiアクセスポイントとして、高い耐久性、簡単なセットアップ、範囲を簡単に広げられるフレキシブルさをコンセプトとしている。

従来の現場WiFi導入サービスとどちらが優位か?

このDeWALTのWiFiアクセスポイントと比較検討しなければならないのが、従来の現場向けインターネットの敷設とどちらが安くトラブルもなく施工できるかだ。

ここで、参考となる一つの導入事例を紹介しよう。カナダに本社を持つ北米地域の建設会社であるPCL Constructionのホテル建設時の導入事例だ。

ホテル建設のためにJOBSITE WiFi SYSTEMを導入した事例。230,000sq.ft(約20,000m2)の広さの12階建てホテル 291部屋と展示会施設を26台のアクセスポイント導入でカバーした。
現場では60台を超えるWiFiデバイスが試用されたが、問題ない接続を可能とした。WiFiネットワークの施工期間は1日以下であり、設置やアプリの設定含め1台当たりの作業時間は20分以下となった。

もちろん、DeWALTのWiFiアクセスポイントが従来の手法に対して全て勝っているわけではない。無線には特有の問題もあり、通信の安定性ではやはり有線ネットワークの方が優位だ。

建設業界の新しいビジネスモデルを狙うDeWALT

現場にインターネットを導入するには、専門の施工業者に依頼してネットワークを構築するのが一般的だ、身近な企業ではエレコムが工事現場向けWi-Fi導入サービスなどを展開している。

それを、ネットワークとは縁遠い工具メーカーがWiFiアクセスポイントを作って参入したのだから驚かざるを得ない。工具の販売だけに留まらず、建設業全体を見据える世界トップシェアの工具メーカーならではの戦略だ。

DeWALTのレポートによると、生産性の観点から見て建設業はどの産業よりもIT化に遅れており、その生産性の低さのために年間1.6兆ドルを失っていると報告している。

私自身もこの推察には同意しており、業界にある背景も理解している。この課題に対して工具のIoTなどを謳っていても、業界を大きく発展させるビジネスモデルに未だたどり着くことはなく、付加価値程度の細々としたプロダクトが延々と続くのは目に見えているからだ。事実、「建設現場に使うWiFiアクセスポイント」と聞いてもいまいちピンとこない方が多いだろう。

しかし、現実としてこれまでITの縁がなかった建設業にもデジタル化の波が押し寄せているのを実感している方もいるはずだ。今後はBtoBのビジネスの一環として、現場を効率化するIT化の波は様々な形で進んでいき、その一翼を担うであろうDeWALTの今後に注視していきたい。

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