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2020年11月16日

Hilti USA JAIBOTを発表、現場の作業を自動化する新たなロボット

Hilti USA JAIBOTを発表、現場の作業を自動化する新たなロボット

※本記事はHilti USAのリリース情報を元に記載しています、Hilti JapanやHilti取扱店へのお問い合わせはお控え下さい。

現場作業を半自動ロボット化 Hilti JAIBOT

画像:HILTI UNVEILS BIM-ENABLED CONSTRUCTION JOBSITE ROBOT| Hilti USA

建設用の工具を製造・販売するHilti Corpration(本社:リヒテンシュタイン公国)は、2020年10月に現場用の半自動掘削ロボットJAIBOTを発表した。

JAIBOTは、機械・電気・配管・内装仕上げの施工作業用に設計された半自動制御の作業ロボットで、遠隔端末やデジタル図面をもとに半自動制御で穴あけ作業などを行う。

最大8時間連続動作する充電システムを備え、Hilti TE6-A22ハンマドリルを先端に装着によって長時間の連続施工作業と直径3/16インチから3/4インチの穴あけ作業に対応。粉じん除去システムとマーカー機能を備え、専門的なスキルを必要としない現場向け作業用ロボットとして動作する。

発表時点では価格の発表はないものの、初期のJAIBOT展開では小売り単位での販売は無く、パートナー企業にサービスとしてJAIBOTを提供する予定と発言している。

日本でHilti製品の展開を行う日本法人Hilti Japanでは、JAIBOTに関するリリースは無く、今後の国内展開に関する情報は不明。

BIMとオンラインクラウド同期、生産性と作業品質を向上

JAIBOTは、Building Information Modeling(ビルディングインフォメーションモデリング[以下 BIM])と呼ばれる建築形状・空間関係・建築部材を含む3次元図面データをもとに、屋内で正確に位置を特定し、防じん穴あけを行い、図面に応じてマークを付ける機能を持つ。

JAIBOTの活用によって、作業者が行う業務は、作業領域間でロボットを配置してオペレーターを行うだけで済む。屋内配管設備などに必要な頭上の上向け穴あけ作業など、作業者にとって反復的で負荷の大きい作業を自動化できる。

穴を開ける必要のある場所で予期しない鉄筋が発見されるなどの問題がある場合は、プログラムされた設計モデルへのオーバーライドにも対応する。オペレーターは必要に応じて穴をスキップする決定を下すことができ、その情報はクラウドとオフィスに即時反映される。

ヒルティのロボティクス製品マネージャーであるジュリア・ザノナは、JAIBOTについて次のように述べている。「我々は建設現場での日常業務のうち、最もストレスの多い作業はどれかを調べており、最も必要な場所でお客様をサポ​​ートできるロボットソリューションを開発を進めていました。ヒルティジャイボットは、作業者にとって最も負担の大きい作業を引き継ぎます。」

次世代電動工具パラダイムシフトの一角を担う現場のロボット化

現在のプロ向け電動工具市場は、住宅着工件数の低下や作業者不足による絶対的な需要の減少、さらに電動工具の性能向上に伴う効率化によって、市場拡大の長期見通しは厳しい状態にある。

市場拡大の停滞が観測される電動工具市場の中で、成長を続けている電動工具メーカーは、吸収合併や他分野への進出、そして新たなソリューションの提供によって、常に売上高を縮小させない企業努力を続けている。

ヒルティグループの取締役会のメンバーであるヤン・ドゥンガジ氏は声明のなかで、「ジャイボットと協力し、お客様と緊密に協力して、デジタルトランスフォーメーションが建設現場にもたらす効率性の実現に向けてさらに一歩前進しています」と述べている。

今回のHilti JAIBOTは、今後の電動工具メーカーが避けて通れない究極の課題である「作業の自動化」を「BIMとの連携」によって新たな建設ソリューションを次世代の現場ツールとして提供している。

ロボット化とデジタル図面のリアルタイム同期、そしてIoT技術を融合させた現場作業の自動化による新たな建築ソリューションによって、電動工具産業から新たに「現場向けロボット産業」が創出されるかもしれない。

ただし、日本では海外ほどBIMの普及が進んでおらず、日本独自の建築工法や建築・建築設備用CADの独自発展によって企業間の連携機能も乏しく、BIMを活用する下地が十分に育まれていないため、日本でJAIBOTを活用できるシーンは限られそうだ。

参考

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