VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2021年4月9日

マルチツールブレード規格解説【OISとスターロックの違い】

マルチツールブレード規格解説【OISとスターロックの違い】

マルチツールのブレードはスターロックとOISの2つの種類がある

マルチツールはBOSCHが提唱した電動工具です。ブレードもBOSCH主導で規格化されており、ブレードを付け替えることでさまざまな作業に対応できます。

2017年くらいからBOSCH・マキタ・HiKOKIの純正マルチツールブレードの形状が変わっていることに気づいた方も多いと思います。なんとなく「マルチツールのブレードの形が変わったな?」程度に気づいた方も多いと思いますが、その時にマルチツールのブレードの規格が変わっており、その時にマルチツールブレード規格のスターロックブレードに置き換わっています。

今回は、マルチツールブレード規格のOISとスターロックシステムについて解説します。

OIS規格のマルチツールブレード(左)とスターロック規格のマルチツールブレード(右)
ブレードの取り付け部が盛り上がっているのが特徴。主要なマルチツールブレードメーカーはスターロック規格への置き換えを進めている。

スターロックシステムとは

スターロックシステムとは、2016年にOISの後継として展開が始まったマルチツールブレードの新たな規格です。

スターロックシステムのブレードは、OIS規格のブレードよりも強固な取り付け構造になっているため、ブレードの振幅の幅が広く長いブレードにも対応した高出力なマルチツールとして展開されています。

スターロックシステムは、能力ごとに3つのグレードに分けられていて能力が高い順から「スターロックマックス」「スターロックプラス」「スターロック」として展開されています。

スターロックの最上位ブレード スターロックマックスに対応しているマルチツールは、モーター出力500Wの高出力化に対応するモデルもあり、OISよりも幅広い材料の切断に対応した2倍近い作業スピードを実現しています。

マルチツールを最初に提唱したBOSCHは、全てのマルチツールをスターロックシステム対応品に移行しており、マキタもスターロックシステムに対応するマルチツールを展開しています。

スターロック:ベーシックなパワーでコンパクトサイズ

スターロックはOISの後継に位置する規格です。

スターロックブレードの中では最も下位に位置する規格ですが、全てのスターロックマルチツールに装着可能なので最もブレードの種類が豊富なシリーズです。

ブレードの取り付け形状は変わったものの、後方互換性があるためOIS規格のマルチツールに取り付けることも可能です。

スターロックプラス:ハイパワーでスピード重視

スターロックシステムのハイパワー対応ブレードがスターロックプラスです。

通常のスターロックよりもブレード長が伸び、振幅角度を大きくした高出力マルチツールも展開されているため、2×4材の切断やビスの切断など従来のマルチツールでは時間のかかっていた作業も簡単に行えます。

スターロックマックス:トップクラスの切断能力

スターロックマックスは、スターロック規格最上位のブレードです。

ブレード長は最も長く、振動角度も3.6度まで上昇しているため圧倒的な切断能力を誇ります。深いところの弾性シーリング除去や鉄筋の切断まで幅広い作業に対応できます。

OISブレードとは

OISブレードとは、マルチツールの販売が始まった初期から展開されているマルチツールブレードの規格名です。一般的にマルチツールと言えばOISブレードに対応した製品のことを指します。

OISブレードは、マルチツール初期のブレード取り付け構造で、後述のスターロックブレードへの移行したメーカーもありますが、工具メーカー・消耗品メーカーともにOISに対応する製品を数多く展開しているため、現在でもマルチツールの事実上のスタンダードな規格となっています。

マキタ・HiKOKI・パナソニックがOIS規格のマルチツールを展開しています。

OISとスターロックの互換性について

OISとスターロックブレードの互換性は、以下の表の通りです。

OISとスターロックの互換性のポイントは以下の3点です。

  • スターロックブレードはOISを含む全てのマルチツールに装着可能
    今までOISのマルチツールを使っている方は、そのままスターロックブレードを使用できます。
    ただし、スターロックマックス以上のブレードはOISマルチツールに装着できないので注意です。
  • OISブレードはスターロックマルチツールに装着不可
    OISブレードはOISマルチツールにしか装着できません。
    BOSCH・マキタ・HiKOKI・ゼットソー以外のマルチツールブレードメーカーはOISブレードしか展開していないため、スターロック対応のマルチツールを購入する場合は注意しましょう。
  • スターロックマルチツールは、そのグレードのスターロックブレードまで対応
    スターロック対応のマルチツールは、そのグレードまでのスターロックブレードに対応しています。
    最上位グレードのスターロックマックスマルチツールは、「スターロック」「スターロックプラス」「スターロックマックス」の3種類のブレードに対応します。

海外ブランドのマルチツールはブレードの規格に注意

海外市場だと、各メーカーが独自のマルチツールブレード展開を行いユーザー囲い込みに走ってしまったため、メーカー毎にブレードの形状が異なる複雑な状態になっています。

日本のマルチツールは、BOSCHが先行してマルチツールの展開を行い、国内の電動工具メーカーもBOSCHの規格に追従する製品展開を行ったため大きな混乱はありませんでしたが、個人輸入やテレビ通販などでマルチツールを購入する場合にはブレードの規格を確認しておくのがおすすめです。

スターロックマルチツールのおすすめモデル

スターロックはOISの後継規格なので、性能面や今後の製品展開を考えればスターロックシステムのマルチツールを選ぶのがおすすめです。

現在はBOSCH・マキタの2社しか展開されていないスターロックマルチツールですが、HiKOKIやパナソニックからの販売も期待されます。

性能面だとスターロック一択ですが、替えブレードの価格はOISの方が安いため、低価格なOISブレードを使いまわす使い方であればOIS対応のマルチツールを選ぶのも十分実用的です。

マキタ 充電式マルチツール TM52D

BOSCH以外のメーカーからスターロック規格のマルチツールの展開が期待されていましたが、2021年3月についに電動工具大手のマキタからスターロック対応の充電式マルチツール TM52Dが発売されました。

TM52Dは、スターロックシステムの最上位 スターロックマックスに対応するマルチツールでマキタ18Vバッテリーを使えるのが特徴です。

本体重量も2.0kgで取り回しが良く、モータを🅂年単に配置した細径グリップ、2重ハウジングによる防振構造など、使い勝手にも優れた意欲的なモデルです。

発売したばかりの新モデルで話題性も高い製品なので現在も品薄の状態が続いています。海外電動工具市場でも注目されている製品なので長期に渡り入手困難になると予想されます。

マキタユーザーの方は、マキタ取扱店で早めに予約するのがおすすめです。

BOSCH マルチツール GMF 50-36

マルチツールの本家、BOSCHが販売するスターロックマックスマルチツールがGMF 50-36です。

モータ出力は500Wの高出力に加え、AC電源による連続作業性とスナップイン機能によるワンタッチブレード脱着機能を備えているのが特徴です。

窓の解体、継手の修復、木造骨組構造の継手加工など幅広い用途に対応できるので、現場作業の心強い味方になってくれること間違いなしの製品です。

BOSCH コードレスマルチツール GMF 10.8V-28

スターロックマルチツールのコードレスモデルで最もコンパクトな製品がGMF 10.8V-28です。

ブレードはスターロックまでの対応ですが、バッテリーを含む重量が1kgと軽量ボディで取り回しに優れ、ボード壁の切り欠き、キッチン用品の据え付け、研磨などちょっとした用途に最適の1台です。

おすすめのマルチツールブレード

「マルチツールを使うのが初めてでどんなブレードを選べばよいかわからない」なんて方は、BOSCHのブレード5枚セットがおすすめです。

全てのマルチツールに対応しているスターロック規格のブレードをまとめたセットなので、主要電動工具メーカーのマルチツールであれば互換性を気にすることなく使用できます。

使い方に応じて「売れ筋セット」「リフォーム専科セット」「壁穴専科セット」「木材専科セット」と4つのバリエーションで展開されており、マルチツールケースも付属しているのでマルチツールを初めて使う方はこのセットから始めると良いでしょう。

木材用のマルチツールブレードなら、のこぎりで定番のゼットソーから販売されているゼットソーマルチシリーズがおすすめです。

際切り作業や開口作業など、あらゆるシーンで活躍できる汎用性に加え、アサリなしのフラット切断や剥がし作業にも使えるスクレーパーブレードも展開されています。


Return Top