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楽天モバイルの5Gバンドに対応するルータを使う
前回、ドコモ home5Gから楽天モバイル運用に変えることで通信速度自体は向上しましたが、4G回線での接続になってしまったため思ったほどの通信速度は出ない結果になりました。
通信速度的にはHR01の運用であっても、前々回のドコモ home5Gよりも通信速度は早くなったわけですが、筆者のエリアは楽天モバイルの5Gエリア範囲内であり、5G通信に対応する端末を使えばより速い回線速度が期待できます。
そんなわけで、今回の記事では楽天モバイル5G非対応のSHARP HR01から楽天モバイル5G対応のバンドを持つSHARP SH-52Aに変更して通信速度を検証します。
ミリ波を掴めるSHARP Wi-Fi STATION SH-52Aで楽天モバイルを使う

楽天モバイル5Gで使用する新しいルータとしてSHARP SH-52Aを使用します。現品は秋葉原のアキバ路地オモテ店で中古Bクラス品を9,000円で購入しました。
本機はホームルータではなくモバイルルータに分類される製品ですが、標準で2.5G BASE-Tの有線LANを備えておりホームルータ的な運用も可能な仕様を備えています。筆者の運用は定置型なので、有線LANの搭載は嬉しい仕様です。
SH-52AのSub6対応バンドはn77/78/79のためSub6の全バンドを掴める仕様を備えています。一般的な5G通信であれば対応するSub6だけ接続できれば良いのですが、筆者のエリアは楽天ミリ波エリア内のため28GHz帯のn257にも対応する本機を選択しました。
ちなみに、ミリ波とは4Gの3.5GHz以下の周波数や5G Sub6の6GHz周波数を大きく超える26GHz以上の周波数を使用する5G通信のことです。
ミリ波はSub6よりも高い周波数で通信するので、帯域が広く低遅延な高速通信も可能で次世代5Gの本命とも言われている方式です。しかし、ミリ波は通信可能範囲が狭く、基地局の設置数も少ないため、対応している端末はほどんど発売されていません。ミリ波対応の製品は、この記事を執筆している2024年12月時点でも日本国内では両手で数えられる程度しか販売されていません。
ミリ波5Gはその通信性能とは裏腹に使用しているユーザー数が圧倒的に少なく、全体トラフィックの僅か0.01%しか使用していません。裏を返せば、現在のミリ波5Gは電波的な混雑が少なく、快適に使用できる状態とも言えます。

SHARP SH-52Aで楽天モバイルを使うにはSIMロック解除が必要
今回使用するSHARP SH-52Aは、ドコモのデータ通信サービス Wi-Fi STATIONの端末なのでSIMロック解除の手続きが必要です。
SH-52Aに関しては、SIMロック解除そのものには対応していますが、オンライン申請による解除には対応していないため、ドコモショップへの持ち込み+センタ預けによる修理手続きとして対応することになります。
応対はドコモショップの店員次第なのですが、センタ預けによるSIMフリー化の手続きはほとんど経験が無いらしく、マニュアルを見たり電話問い合わせをしたりで窓口でも30分程待機することになります。預けた後もSIMフリー化処理完了の連絡を受け取るまでに10日ほどかかりました。
ちなみに、SIMロックの解除手数料は総務省の指示で2023年10月から手数料無料となっており、本体をドコモショップ持ち込むだけで申請が可能です。
SIMフリー化したSH-52Aに楽天モバイルSIMをセットアップ
SH-52AはLANとUSB Type-Cコネクタを備える側面側にSIMカードスロットがあります。楽天モバイルのSIMを挿入して電源を入れて管理画面上で楽天モバイル用にAPNを変更します。

HR01は、「http://web.setting」にアクセスすると設定画面が開きます。このアドレスで接続できない場合は「http://192.168.1.1/」で接続してみましょう。
ログインすると左の設定タブにAPNプロファイル設定の項目があるので、それをクリックしてAPNプロファイルの設定画面に入ります。

APNプロファイルにはデフォルトでドコモのAPNしか入っていないので、「新規」ボタンを押して楽天モバイルのAPNプロファイルを追加します。

楽天モバイルのAPNプロファイルは下記の表を元に入力します。
項目 | 入力内容 |
---|---|
プロファイル名 | 楽天モバイル |
ユーザー名 | rm |
認証方式 | CHAP |
IPタイプ | IPv4/IPv6 |
APN名 | rakuten.jp |
パスワード | 空欄 |
IPタイプ | IPv4/IPv6 |
APNが保存出来たら、チェックボックス追加した楽天のAPN設定に切り替えて適用ボタンを押し、設定が切り替わるのを待ちます。

ちなみに、SH-52Aは本体の操作パネルでAPNを切り替えられるので、webの管理場面上で適用しなくてもAPNプロファイルだけ保存して本体操作で切り替えることも可能です。

SHARP SH-52A + 楽天モバイルの計測結果
SH-52Aに楽天モバイルSIMをセットアップして速度計測を行った結果、下りは約700Mbps、上りは約70Mbpsになりました。


ちなみに、速度計測で最も早い値の出るfast.comのテストでは瞬間的に2.0Gbpsの下り速度が出ました。これは早朝時間帯の実用定な通信速度とは異なりますが、楽天モバイル5Gミリ波には2.0Gbpsのポテンシャルがあることは間違いないようです。

とは言え、SH-52Aには接続中のバンドを確認する機能が無いため、ミリ波 (n257)ではなくSub6 (n77)に繋がっている可能性もあるのですが、ネット上での楽天モバイルの速度計測報告を見る限りSub6接続で2Gbpsを超える報告は見当たらないので、多分これがミリ波5Gの速度なんだろうと思っています。
ちなみに、これらの計測は朝6時に実施しているので普段はこんな速度は出ません。日中の測定だとGoogleのスピードテストでだいたい300~500Mbps程になります。
固定回線以上の速度は出るが、ルータの安定性が極めて悪い
シリーズの初回の中でも述べていますが、筆者の現在の住宅は光ファイバーを入れることが出来ず、ネット環境としてはかなり不遇な方だったのですが、今回のネットワーク構成で下り2Gbpsが出る構成に出来たので結構満足しています。
一応の補足なのですが、筆者の自宅から楽天モバイルのミリ波アンテナの距離は50mほどで、間に遮蔽物も無く楽天モバイル5G基地局のミリ波アンテナが発する緑色の点滅もはっきり見える位置にある、楽天モバイルの通信環境としては相当恵まれている環境です。

緑色が5G sub6エリアで青色が5Gミリ波エリアを表している
日中における通信速度の実際の数値としては500Mbpsくらいになってしまいますが、それでも集合住宅向けのVDSLやケーブルテレビ回線よりは速度が出ているので、色々試してきたモバイル回線の固定回線化も楽天モバイル5G + SH-52Aの組み合わせで一旦落ち着こうかなと思っています。
今回のルータにはミリ波対応のモデルを使用していますが、実際のところ、ミリ波 (n257)に対応するルータで民生向けのモデルはほとんど存在していません。
2024年12月時点でのミリ波に対応している5Gルータは、本機 SHARP SH-52Aとその後継機種のSH-54C、あとはネットギア M6 Pro MR6550くらいで、どの製品も本来の販売価格は10万円近い製品です。そんな高性能ミリ波ルータが1万円以下で購入できて、楽天モバイル 3,278円/月の通信費で最大2Gbpsの速度が望めるならこれ以上の贅沢は何も言えないでしょう。
とは言え、SH-52AはSHARPルータ特有の色々とクセの強いところに加えて、発熱によって動作が不安定になる挙動も持つので、固定回線用途で安定して使うためには放熱対策を考えなければいけません。
この発熱問題は製品として致命的なレベルであり、有線接続の運用時では通常使用が不可能になるほど発熱するため、何らかの発熱対策を行わないと定期的に熱でハングアップすることになります。
筆者は本体の裏側にアルミのヒートシンクを張り付けていますが、10月の時点でも西日が当たるだけで通信が頻繁に遮断するなどのトラブルが発生していました。今の時期は冬場の寒さによってトラブルなく使用ができているものの、夏場は何かしらの放熱対策を行わないと運用は不可能になってしまうだろうと想定しています。