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中国の充電式電動工具ブランドKIMOのコードレスハンマドリル QM-8601はブラシレスモーター搭載の3モードハンマドリルです。コンクリートへの穴あけ・ハツリや木材・金属の穴あけ作業など幅広い作業に対応し、5種のドリルビット・ブルポイント・チゼル・U型チゼル・ドリルチャックが付属する高いコストパフォーマンスが特徴。
当記事はメーカー提供品によって構成されています。販売中の製品とは異なる場合があるのでご留意下さい。
目次
KIMO コードレスハンマドリル QM-8601
今回紹介する製品は、中国の電動工具ブランドKIMOが展開するコードレスハンマドリル QM-8601です。
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ハンマドリルはコンクリートなどの石材に穴を開けたり解体したりするための電動工具で、あと施工アンカーや解体工事などに使用します。
充電式のハンマドリルはプロ向け仕様の製品が多く、アクセサリを含め一式そろえてしまうと5~6万円は必要になってしまう電動工具ですが、このQM-8601はバッテリー・充電器・ビット一式が付属して2万円前後と低価格設定なのが魅力です。
今回の記事では、中国ブランドKIMOのハンマドリルの使い勝手や使用感などをレビューします。
- QM-8601 充電器・バッテリー・ケース付属
KIMOブランドについて
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ここ数年の間に、Amazonでよく見かけるようになったのが緑色のボディが特徴の電動工具ブランド「KIMO」です。
KIMOは2019年から日本販売が始まった新興の電動工具ブランドです。中国の電動工具メーカー「永康市奇磨电动工具有限公司」によって展開され、日本市場では約10種類近い充電式電動工具のシリーズ展開を行っています。
KIMOは日本支社や国内正規代理店がなく、輸入事業者による販売形態を取っています。日本国内の主要輸入事業者はTesting Center Technology Japan合同会社(北海道旭川市)です。
サポートは海外事業者のKIMOが行っていますが、電気用品安全法および製造物責任法上の責任者はTesting Center Technology Japan合同会社です。このようなサポートを担う企業と法令責任を負う企業の分離は海外輸入販売品に多く見られます。
初期不良対応や一年保証対応はKIMOによる直接メール対応ですが、製品の品質欠陥に起因する重大な人的・財的損害が発生した場合、製造物責任法上の求償を求める相手はTesting Center Technology Japan合同会社になる点に留意しましょう。
製品仕様
製品名 | QM-8601 |
コンクリート | Φ24mm |
鉄工 | Φ13mm |
木工 | Φ27mm |
無負荷回転数 | 0~1,400min-1 |
無負荷打撃数 | 0~4,550min-1 |
電源 | KIMO 20Vバッテリー |
シャンク | SDSプラス |
重量 | 2.5kg |
寸法 | 28×22×8cm |
QM-8601を使ってみる
早速、コードレスハンマドリルQM-8601の使用感をレビューしてみます。
ハンマドリルは主にコンクリートの構造物に対して穴あけやはつり作業を行う電動工具なので、実際にコンクリートピンコロに対する穴あけ・ハツリ性能を検証してみます。
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ちなみに、今回検証に使うコンクリートブロックは150×120mmと少し小さく、鉄筋も入っていない非構造コンクリートなので、実際の建造物に使われているコンクリートよりも脆く割れやすい特徴があるのを留意して下さい。
バッテリーと先端工具の装着
QM-8601はリチウムイオンバッテリーを使用するコードレスのハンマドリルなので、使用前にKIMO 20Vバッテリーを装着します。
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バッテリーの指し始めの部分が本体スライドにはめにくく、装着も若干硬いので、しっかり芯を合わせて「カチッ」と音が鳴るまで差し込みましょう。
ドリルビットはSDSプラスに準拠する形状なので、回しながらビットを差し込むと固定できます。この時、ビットが抜けないことを確認しましょう。
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ドリルビットを装着したら、モード切替レバーを「ハンマードリル(打撃+回転機能)」に回して準備完了です。
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ドリルビット装着でコンクリート穴あけ
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付属しているΦ12mm 長さ350mmのドリルビットを装着して、穴あけ作業をやってみます。
マキタ・HiKOKIの小型~中型ハンマドリルくらいのスピードです。振動ドリルよりは早いですが、ハイエンドモデル程の穿孔速度はありません。その分、振動も少ないので取り回しは悪くありません。
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貫通した穴を見てみます。低価格なハンマドリルなので芯ずれや軸ブレによる穴の精度を気にする方も多いと思いますが、アンカー下穴に使うのであれば、もともと穴あけ精度はあまり関係ないので気にしなくて良いでしょう。
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何本も連続して穴あけしても過負荷によるストップやパワー低下は無く、意外なほど良い感じで作業ができます。
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ブルポイント装着ではつり作業も対応
QM-8601は、打撃のみのハンマー機能を搭載しブルポイントも付属しているので、はつり作業にも対応します。
先端工具を先の尖ったブルポイントに付け替えて
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モード切替レバーを「ハンマー」に変えれば準備完了です。
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ブルポイント先端をコンクリートに当てて、ハンマドリルを押し当てることで強力な打撃力が伝わってコンクリートを破砕できます。
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コンクリートピンコロが柔らかいのもありますが、思った以上に快適なはつり作業ができます。
チゼルも付属しているので剥がしもOK
さらに、コールドチゼルも付属しているので角出しやコンクリートの切断・剥がし作業にも対応します。
チゼルはブルポイントと同じく打撃ノミの「ハンマー」で使用します。チゼルは先端形状が平べったい先端工具なので、使用する前に作業しやすいようにチゼルの位置を調整しておきましょう。
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レバーを「調整位置」に合わせると先端が空転するので手で回せます。チゼルの刃と本体が水平になるように位置を調節します。
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再びレバーを「ハンマ」の位置に合わせて準備完了です。
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標準付属のコールドチゼルを上手く使えば、はつり作業で割った部分を整える作業などに活用できます。
仕様上Φ24mmの中型ハンマドリルですが、出力は控えめなのでチゼルを使った作業にも使いやすい製品です。
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標準付属ではありませんが、より幅の広いカッタチゼルを装着すればレンガなどの装飾用石材の切断やタイル剥がしなどの内装関係の作業にも活躍できます
ケース・アクセサリ・付属品や細かい部分を確認
QM-8601の細かい部分やアクセサリなどの付属品も見てみましょう。
本体収納はブロー成型の耐衝撃性に優れたケース
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QM-8601は衝撃吸収に優れたブロー成型のケースが標準付属でついてきます。
ブローケースは衝撃吸収に優れているものの、大きな形になりやすく収納スペースが少なくなりがちなケースですが、本体・バッテリー・アクセサリなど各付属品を全て収納できます。
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付属のビットはケースの側面にはめ込んで固定出来ます。ブルポイントとドリルチャックを固定する場所は無いので、空いたところに入れておきましょう。
収納力も高く良いケースなのですが、ドリルビットを保持する部分が緩いところもあり、たまに脱落してしまうのが少し残念です。
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付属している先端工具は以下の通りです。ハンマドリルで使う一通りのアクセサリは付属しているので、購入後すぐに作業できます。
- Φ12mm×350mmドリル
- Φ6mm×150mmドリル
- Φ8mm×150mmドリル
- Φ10mm×150mmドリル
- Φ12mm×150mmドリル
- ブルポイント
- コールドチゼル
- U型チゼル
- 13mmドリルチャック
製品仕様上はΦ24mmのドリルビットまで対応しているので、太いアンカーを打ち込む場合などは別売のビットを用意しておきましょう。
暗所でも使用できるLEDライト搭載
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QM-8601には暗所を照らせるLEDを搭載しています。トリガー連動で点灯します。
バッテリー周り
バッテリーはKIMOの20Vシリーズと共通のバッテリーを採用しています。製品上の記載は20Vですが、この表記は海外地域に多く見られる満充電直後の無負荷電圧を表しており、実際の動作電圧は18Vです。
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本体側面には電池残量を表すLEDライトを搭載しています。残念ながらQM-8601に装着した時には隠れてしまうので、工具本体に装着したままの残量確認はできません。
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バッテリーのラベルはPSEマークと輸入事業者が記載されており、PSEの運用を満たしています。
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ハウジングの隙間から潤滑油漏れ
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ハンマドリルにはあるあるな現象ですが、ハウジングの成型精度が甘いようで本体上面から潤滑油が染み出ています。
ハンマドリルは樹脂製のハウジングに打撃機構部や切替レバーを備えている関係上、内部から潤滑油の漏れやすい製品です。熱や経年劣化によっては国内有名メーカーの製品でも潤滑油漏れすることは珍しくありませんが、新品の状態でこうなってしまうのは少し残念です。
ただし、この辺りは実用上全く問題はありませんし、価格の安い製品なので妥協しましょう。
衝撃吸収構造のハンドルを搭載、デプスゲージは外れることも
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ハンドルは衝撃急性性に優れたハンドルを搭載しています。本体の出力も比較的控えめなので、振動は気になりませんでした。
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ハンドルには穿孔深さを一定にするデプスゲージを搭載しています。この部分はゲージを指していない状態だと赤いレバーが外れて飛んでしまうので、この部分は残念な部品です。紛失してしまう可能性もあるので、ゲージは常に挿しておきましょう。
ハンドル周りで残念なのが、ハンドルを外すのが難しい点です。ドリル穴あけやはつり作業を行っている時はハンドルを使いますが、タイル剥がし作業ではハンドルが邪魔になることも多いので、もう少し簡単に外れれば使い勝手は向上するでしょう。
マキタ 充電式ハンマドリルとの違い
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今回のQM-8601の比較対象ですが、国内の大手電動工具メーカーは家庭向けの充電式ハンマドリルを販売していないため、ある意味で中国電動工具ブランドの独壇場の製品です。
ハンマドリルのような製品は打撃機構構造やモーター出力・耐久性などのカタログスペックに表しにくい部分が性能の決め手になるので、一概に製品仕様だけを見て良否の判断はできません。
例えば、国内プロ向け充電式のハンマドリルであれば、マキタ HR244DがQM-8601と同クラスの24mm充電式ハンマドリルになりますが、性能や耐震性・サポート体制を含めて比較してしまえば間違いなくマキタ製品の方が優れています。
このKIMO QM-8601を評価するポイントはコストパフォーマンスです。初期コストを安くして手軽にコンクリートの穴あけ作業を行いたい方におすすめの製品と言えるでしょう。
製品名 | QM-8601 | HR244D |
外観 | ![]() |
![]() |
コンクリート | Φ24mm | |
鉄工 | Φ13mm | |
木工 | Φ27mm | |
無負荷回転数 | 0~1,400min-1 | 0~950min-1 |
無負荷打撃数 | 0~4,550min-1 | 0~4,700min-1 |
電源 | KIMO 20Vバッテリー | マキタ18Vバッテリー |
シャンク | SDSプラス | |
重量 | 2.5kg | 3.0kg |
寸法 | 28×22×8cm | 328×213×85mm |
侮ることはできない中国ブランド、ただし販売形態には注意
今回、中国ブランドKIMOの充電式ハンマドリルを実際に使ってみましたが、思っていた以上に「良い」電動工具です。販売価格やアクセサリ付属の手軽さを考えればコストパフォーマンスに優れ、価格と実用性を考えれば全く問題のない製品です。
家庭向けの充電式中型ハンマドリルと考えると、国内メーカーが取り扱っていないカテゴリの製品なので、十分評価に値する製品です。しかし、中国ブランドの電動工具は国内正規代理店による販売を行っていないため、万が一のトラブル時には自力でサポートを依頼しなければいけないのが最も残念な点と言えるでしょう。
耐久性に関しては検証方法が難しいので未知な部分もありますが、バッテリーを複数本使用して連続作業を続けたり、風穴を塞いで冷却を塞いだりして使用しなければ問題は発生しないと予想しています。
ピストンやアンビルなどの打撃機構部に関しては、価格相応の耐久性を覚悟して「機械部品の寿命が来たら本体買い替え」と割り切りましょう。プロ用途で使うには不安が残りますが、家庭のDIY用途で使用するなら問題は無さそうです。