電動工具を販売するMakita Europe N.Vは新たな充電式バッテリーシリーズ 64Vmaxを発表した。同シリーズは取手が付いた57.6Vのリチウムイオンバッテリーを使用する。シリーズ発表時点の対応製品は充電式芝刈り機 LM001J/LM002J。2021年11月時点の発売予定地域は欧州とアジア地区の一部。日本地域での発売は未定
記事内で紹介する製品は海外地域の情報であり、日本での正規販売は行われていません。株式会社マキタ及びマキタ取扱店へのお問い合わせはお控え下さい。
目次
64Vmaxバッテリー BL6440が登場
電動工具を販売するMakita Europe N.Vは新たな充電式バッテリーシリーズ 64Vmaxを発表しました。
64Vmaxシリーズには、バッテリー本体に取手が付いた57.6V-4.0Ah(230Wh)構成のBL6440を採用し、64Vmaxバッテリー発表時点での対応機器としては、同時発売の充電式芝刈り機 LM001J/LM002Jが対応します。
対応充電器には64Vmax専用充電器のDC64WAを使用し、BL6440バッテリーの充電時間は120分です。
2021年11月時点の発売予定地域は欧州とアジア地区の一部で、日本地域での発売は未定です。
64Vmax第一弾製品は芝刈り機LM001J/LM002J
64Vmaxシリーズの第一弾製品は充電式芝刈り機 LM001J/LM002Jです。製品仕様は下記に表します。
製品名 | LM001J | LM002J |
刈込幅 | 480mm | 534mm |
通常回転数 | 3,200min-1 | 2,800min-1 |
低ノイズ回転数 | 2,500min-1 | 2,300min-1 |
動作電圧 | 57.6~64Vmax | |
寸法 | 1,610-1690×530×930-1,050mm | 1,710-1800×585×950-1,090mm |
重量 | 24.4~26.1kg | 25.4~27.3kg |
防水適合 | IPX4 |
日本での64Vmaxシリーズ展開の可能性もある
今回の64Vmaxの情報については、欧州マキタとアジア地域の一部のマキタでのみ取扱いが予告されており、日本市場においても64Vmax充電器 DC64WAの意匠出願が行われています。
この意匠出願は2021年6月4日に行われており、日本市場での64Vmax発売もそう遠くはなさそうです。
ただし、意匠出願が行われたからと言って製品販売が絶対に行われるわけでもなく、何らかの理由によって販売されない場合もあるので、「こんな製品もあったな」程度に留めておきましょう。
2020年2月時点の情報から大きく変化した64Vmax
当サイトは2020年2月に当時のマキタの新しいバッテリーシリーズとして64Vmaxバッテリー BL6450Bを紹介しました。
2020年時点の64Vmaxバッテリーについては、初報が中国のフォーラムサイト上で存在がリークされ、各国のマキタ公式サイトに関連製品の記載はあったものの、2020年中には全世界のマキタページから64Vmaxに関する情報が削除され、40Vmaxシリーズの登場と80Vmaxシリーズへの拡張によって開発中止になったと考えられていたシリーズでした。
64Vmaxシリーズはマキタのバッテリーシリーズ上、40Vmaxシリーズと競合する存在であり、バッテリー仕様だけを見て評価するのであれば40Vmax(80Vmax含む)シリーズの下位互換です。
40Vmaxシリーズ以外にもポータブル電源のコネクタ接続シリーズも存在しているため、下手をすれば致命的なカニバリゼーションをも引き起こしかねないシリーズです。
64Vmaxシリーズの外観を見る限り、取っ手が付いていて端子が下側に配置している構造上、移動体に使われることを想定しているようにも見えます。この構造のバッテリーを充電式芝刈り機に採用するのは当然として、今後、乗用芝刈機や自動輸送機・電動モビリティ・EVまでの発展を視野に入れているとするならば、電動工具用の40Vmaxバッテリーとの棲み分けのためのバッテリーシリーズとして64Vmaxシリーズの存在にも納得もできます。
ただし、電動モビリティを視野に入れたバッテリーシリーズの立ち上げだったとしても、既に国内2輪メーカーによる「電動二輪車用交換バッテリーコンソーシアム」が先行している以上、そちらに参画して足並みをそろえた方が遥かに合理的です。
ほかの理由としては、大容量バッテリー製品の廉価版、新興電動工具・園芸機器メーカーのOEM等さまざまな背景があるのかもしれません。もちろん、マキタが何も考えていないことも考えられます。
少なくとも、40Vmax(80Vmax)バッテリーと競合するバッテリーを立ち上げた理由については今後の64Vmaxシリーズ製品展開によって明らかになっていくと思うので、マキタの真意については今後の動向を注視して見極めたいところです。