マキタから2019年2月に新製品のスクリュードライバ『FS600D』が発売されました。前モデルのFS454Dから比べ、AC機と同等の回転数に加えて全長も短くコンパクトになった新モデルです。今回のモデルでは、高速回転タイプのFS600Dと低速高トルクタイプのFS455Dの2機種が展開されています。
目次
作業効率が向上、6000回転/分のスクリュードライバ
充電式スクリュードライバ『FS600D』は、マキタの充電式スクリュードライバ「FS454D」の後継モデルです。
FS600Dは、回転数がAC機のFS6100と同じ6,000回転/分となり、前モデルのFS454Dと比べ素早いボード張りが可能になりました。また、全長も前モデルFS454Dの270mmから254mmと16mm短くなり取り回しも良くなったモデルです。
低速・高トルクタイプのFS455Dも同時発売
マキタ 充電式スクリュードライバ FS455DRG 青
前モデルのFS454Dと同じ締め付け能力を持つFS455Dも同時発売しています。変更点は全長が16mm短くなり、モーター回転数も4,000回転/分から4,500回転/分へ向上しています。
前モデルと同じくプッシュドライブを搭載
FS600Dではビットを押し込んだ時に回転するプッシュドライブを搭載しています。この機能はトリガーのオンロックを使用しなくても押し込むことでモーターが回転しネジを締め付ける機能で、充電式電動工具の限られたバッテリーを有効活用できる機能です。
プッシュドライブを使用すれば、モーターの空回り時間も少なくなり作業時の騒音も減らすことができるので集合住宅のリフォームや住宅街でも使いやすくなる機能です。
無負荷時の回転速度が向上したFS600Dですが、1充電当たりの作業量は前モデルのFS454Dと同じ2,800本となっています。
過去モデルとのカタログスペック比較
過去のモデルと比較すると、FS600Dのスペックは、AC電源で動作するFS6100に近い印象を受けます。カタログスペック上では、FS6100の完全な置き換えができる性能となっています。
一方、本体重量は前モデルのFS454Dより増加しており0.1kgの重量増となっています。
製品名 | FS600D | FS454D | FS6100 |
---|---|---|---|
製品外観 | |||
締付け能力 | ドライウォール Φ4mm |
ドライウォール Φ5mm テクスネジ Φ5mm |
ドライウォール Φ4mm |
無負荷回転数 | 6000min^-1 | 4000min^-1 | 6000min^-1 |
本体寸法 長さ×幅×高さmm |
254×84×203 | 270×79×203 | 272×67×103 |
質量 | 1.6kg バッテリ含む |
1.5kg バッテリ含む |
1kg |
電源 | 18Vバッテリー | 18Vバッテリー | AC電源 |
他社メーカーとのカタログスペック比較
FS600Dの対抗品となるのは、間違いなくHiKOKIのW4SEです。
スペック上では完全に同じ性能となっており、異なる部分は「電源方式」「クラッチ構造」の2つの部分になります。作業用途や現場環境、さらには打ち込み時のフィーリングなどもあるので甲乙つけ難い製品となっているでしょう。
製品名 | FS600D | W4SE |
---|---|---|
製品外観 | ||
締め付け能力 | ドライウォール Φ4mm |
ドライウォール Φ4mm |
無負荷回転数 | 6000min^-1 | 6000min^-1 |
本体寸法 長さ×幅×高さmm |
254×84×203 | 263×61×141 |
質量 | 1.6kg バッテリ含む |
0.9kg |
電源 | 18Vバッテリー | AC電源 |
クラッチ構造 | 爪式クラッチ | 無音クラッチ |
スペックで並んだボード張り用のドライバ、使い勝手は?
今回発売されたFS600Dは「AC機同等」というフレーズを多用していることから、HiKOKIのW4SEを強く意識した製品と考えられます。
取り回し性については、前モデルのFS454Dよりも短くなっているため、使いやすくなっているものと思われます。何気に0.1kg重量増となっていますが、短くなった分重心が手元に近づいているため、逆に軽く感じるかもしれません。
バッテリーアダプタがあるとAC品より軽くなりますが、腰に付けたコードは違和感があるので、重さを気にするのであればスリムバッテリーのBL1820Bを使う方がいいかなと個人的には思っています。
少し別の話となりますが、メーカー各社は軽さや取り回しの良さをアピールします。しかし、ボード張りに使うドライバに最も重要なのはネジの打ち込み深さが一定になるかという点です。これは工具の取り回しの良さや電源よりも重要です。このネジの打ち込み深さは構造的なものもありますが、個体差による影響なども大きいので、いまいち評価しずらいのが実情です。
また、工具売価についても本体価格でどちらも2万円前後と価格差が少ないのも特徴です。マキタユーザーにとっては、FS600DとW4SEどちらを購入しても不都合はありませんが、コードレスのボード用ドライバが欲しいHiKOKIユーザーにとっては、旧モデル14.4VのW14DSLしか選択肢がないため、FS600Dを切っ掛けにマキタへと乗り換えるきっかけとなる製品になるのかもしれません。