電動工具を製造・販売するマキタ(本社:愛知県安城市)は、2021年2月に80Vmaxシリーズ 充電式パワーカッタ CE001Gを発売する。40Vmaxバッテリーを2本装着する80Vmax動作により、Φ355mmダイヤモンドホイールの装着に対応し最大切込み深さは127mmを実現。標準希望小売価格は180,000円。
目次
マキタ CE001GZ 80Vmax 充電式355mmパワーカッター
電動工具を製造・販売するマキタは、2021年10月24~26日(GMT-4)開催のイベント 米STAFDA’s Orlando Convention & Trade Show (開催:米国フロリダ州)で先行展示した80Vmax 充電式パワーカッター CE001Gの日本発売を発表しました。標準希望小売価格は180,000円
40Vmaxバッテリー2本装着の80Vmax動作により75.6mLエンジンカッター比 約25%の切断スピードアップを実現。355mmダイヤモンドホイールの装着により最大127mmの最大切込み深さに対応します。
使用推奨バッテリーは高出力BL4050Fで1充電当たりの作業量は50mmコンクリート切断時 約5.4mです。
販売仕様は本体のみ・刃物別売仕様のCE001GZのみ販売が行われます。
- CE001GZ 本体のみ・刃物別売 希望小売価格180,000円(税抜)
- 355mm正配列レーザーブレード純正ダイヤモンドホイール 定価32,000円(税抜)
CE001G製品仕様 (18V×2モデル CE090D比較)
製品名 | CE001G | CE090D |
---|---|---|
外観 | ||
動作バッテリー | 80Vmax(40Vmax×2) | 36V(18V×2) |
ブレード直径 | 355mm | 230mm |
最大切込み深さ | 127mm | 88mm |
無負荷回転数 | 5,300min-1 | 6,600min-1 |
湿式切断 | 〇 | |
防水 | IPX4 | × |
バッテリー最大容量 | BL4080F×2 (576Wh) | BL1860×2 (216Wh) |
重量 | 12.9kg | 6.2kg |
寸法 | 786×272×433mm | 554×241×283mm |
本体価格 | 180,000円(税別) | 91,000円(税抜) |
販売年月 | 2021年2月 | 2020年7月 |
CE001Gの特徴
「75.6mLエンジンカッターを超える切断スピード」
リチウムイオンバッテリーで動作する充電式のパワーカッターながら、75.6mLエンジンカッターを超える切断スピードを実現、4ストエンジンカッター比で約25%の切断スピードアップを達成しています。
Φ355mmのダイヤモンドホイールの対応により、最大切込み深さは127mmによってコンクリート切断から波状デッキ・シンダーブロックまで幅広い大型材料の切断に対応します。
従来のエンジンカッターと異なり、エンジン始動の手間やメンテナンス、電子ブレーキの安全等の高さから、現場ですぐ使える大型切断工具としての活躍が期待されます。
防振ハウジングで2.0m/s^2の低振動
切断時の振動を低減する防振ハウジングを搭載。
四箇所のスプリングによって切断部と保持部を分離し、作業者に直接振動が加わらない構造によって2.0m/s2の低振動を実現しています。
防水保護等級IPX4に適合
製品本体は防水保護等級IPX4に適合しています。
水の中でも運転可能な防水設計WET GUARDも合わせ、屋外作業時の急な雨天や湿式作業時に誤って水が掛かっても安心です。
高出力BL4050Fバッテリ推奨製品
CE001Gのパワーを発揮するには高出力バッテリのBL4050Fが必要です。
末尾にFが付く高出力仕様のバッテリーの2本装着によって、始めて75.6mLエンジンカッターと同等の作業能率になります。
超弩級40Vmaxバッテリー BL4080Fは未発売
米国のイベントSTAFDA’s Orlando Convention & Trade Showでは、40Vmaxの新型バッテリーBL4080FがCE001Gの登場と合わせて同時展示されていましたが。今回の日本販売ではCE001Gのみが先行販売される形になりました。
BL4080Fは、BL4040に採用されている21700セルを2並列構成にしたバッテリーで容量は8.0Ah(288Wh)、最大出力は3,020W(理論値)に達する超大型バッテリーです。
BL4080Fを2本装填する80Vmax充電式工具では、最大出力6kWに達する超高出力製品も実現可能になり、製品体積当たりの出力でエンジン工具を凌駕することも不可能ではなくなります。
CE001Gの発売時点の最大容量バッテリーはBL4050Fであり、1充電当たりの作業量は5.4mしかありません。背負い式バッテリーPDC1200も80Vmax動作には非対応なので、作業量を改善するBL4080Fの早期発売が期待されます。
ミルウォーキー MX Fuel COS350との違い
パワーカッターで競合する製品は、ミルウォーキー MX Fuelシリーズの350 mm パワーカッター MX COS350です。
MX Fuelシリーズは72Vで動作する大型バッテリー採用の充電式電動工具シリーズです。動作電圧はマキタ80Vmaxの72V動作と同じ製品シリーズとなります。
バッテリー仕様的には72V-6.0AhのXC406バッテリーが充電速度と容量で僅かに優位ではあるものの、40Vmaxと共用できるマキタバッテリーの多様性や取扱店・修理対応等を考えてしまうと少し悩むところでしょうか。
幅広く電動工具を使用する現場であればマキタ CE001Gを推奨しますが、MX Fuelにはカットオフカートアクセサリやコードレスハンマーがあるので、解体中心の作業環境であればCOS350も捨てがたい製品です。
このあたりは個人が購入する電動工具ではなく、一式揃える費用も高額になるので、スペックや用途の比較、地域の営業と相談の上決めるのをおすすめします。
製品名 | CE001G | COS350 |
---|---|---|
外観 | ||
動作バッテリー | 80Vmax(40Vmax×2) | MX Fuel |
ブレード直径 | 355mm | 350mm |
最大切込み深さ | 127mm | 125mm |
無負荷回転数 | 5,300min-1 | 5,370min-1 |
湿式切断 | 〇 | |
防水 | IPX4 | × |
バッテリー最大容量 | BL4080F×2 (576Wh) | XC430 (432Wh) |
重量 | 12.9kg | 16.7kg |
寸法 | 786×272×433mm | – |
本体価格 | 180,000円(税別) | 132,000円(税抜) |
販売年月 | 2021年2月 | 2020年4月 |
世界市場に喰らいつくマキタの80Vmax戦略
マキタは2020年11月に脱エンジン・コードレス化路線を強化しエンジン生産の撤退を表明しています。今回発表した80Vmaxパワーカッターはまさにその路線を象徴する製品です。
現在のリチウムイオンバッテリーの性能水準は、小排気量のエンジン工具を置き換える用途に対してなら実用上問題はないものの、大排気量のエンジン工具置き換える用途となると、バッテリー大型化やそれに対応できるバッテリープラットフォームの構築が必須になり、製品開発ロードマップの策定や販売戦略には高度な経営判断と経営リソースの投下が求められます。
現状の40Vmaxについては今後のバッテリー性能向上が前提の製品シリーズと評価しており、本領を発揮するのはBL4025サイズでBL4050F相当の性能を達成する次世代バッテリーが登場してからですが、その前段階に当たる過渡的な製品としては十分評価に値する製品です。
世界的な電動工具市場の情勢としては、昨今の環境意識の高まりからエンジン工具からバッテリモーターへの移行が積極的に行われており、大手電動工具メーカーではDeWALT FLEXVOLT 120Vやミルウォーキー MX Fuelなどの開発が進んでおり、電動化が遅れているエンジン工具メーカーから、シェア奪取が進む世界的な時流の中、マキタは辛うじてその流れに喰らいつくことに成功できそうだと言えるでしょう。
正直なところ、マキタの75.6mLエンジンカッター EK7651Hは4スト仕様なので、排気量比で出力の低い同社のエンジンカッターだけを取り上げて「エンジン式を超えた高速切断」とアピールする広報は方法として少し姑息ですが、世界的に先行している競合他社に追従する355mm径の充電式パワーカッターを実用化し、DeWALT・ミルウォーキーの充電式高出力製品戦略に喰らいついたマキタの方針に対しては、敬意を表したいと思う製品です。
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2021年3月発売