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2023年5月5日

マキタが開発中の「充電式電子レンジ」について、わかっていること今の状況

マキタが開発中の「充電式電子レンジ」について、わかっていること今の状況

マキタ株式会社は40Vmaxシリーズに対応する充電式電子レンジに関する特許を出願しました。フラットテーブル方式の可搬式の電子レンジで、電源環境の乏しい場所で食品を温めることができます。

本記事はマキタ株式会社が保有する産業財産権の情報を解説・紹介するものであり、新製品の開発動向を保証するものではありません。

もはや 滑らない話の「マキタ 充電式電子レンジ」

次世代電動工具向けバッテリーとして展開が進む40Vmaxシリーズに、充電式の電子レンジが加わる可能性があるかもしれません。

当サイトのTwitterアカウント(@VOLTECHNO)では、マキタ40Vmax電子レンジの意匠図特許が公知されたときに、それぞれ画像付きで投稿しているのですが、どちらの投稿も1,000いいねを超えるプチバズ状態になり、マキタ周りのSNS界隈において、マキタ電子レンジの話題はハズすことのない鉄板ネタの様相を呈しています。

  • マキタ、世のすべてを40Vバッテリで動かす気だ…
  • マキタ…電子レンジて…
  • マキタの電子レンジの未来感すごい
  • 背中にしょったら嵐の中で輝きそうなデザイン
  • これキャンプ場に置いといたら無敵かも?
  • 「現場家電」というジャンル…
  • なんかマキタは方向性がおかしくなってる気がします

今回は、何かと注目を集めるマキタの中でも、電動アシスト自転車と双璧を成す異質な製品、マキタ充電式電子レンジの確認できている情報をまとめます。

現在開発中?のマキタレンジの製品仕様について

現在、マキタ充電式レンジの状況については、公知されている知的財産情報の特開2022-104513意匠登録1694675で詳細を確認できます。

特許・意匠共に製品の詳細な仕様はかかれておらず、バッテリー取り付け構造や外観についての情報しか得ることができないため、現時点ではほとんどの製品仕様が不明となっています。

製品名 製品名不詳
外観
用途 屋外向け可搬対応充電式電子レンジ
庫内容量
庫内寸法
庫内形状 フラット
ドア よこ開き
レンジ出力
庫内灯
電源 40Vmax
バッテリー本数 最大2本
重量
寸法
本体価格
販売年月

バッテリー仕様は40Vmax、AC電源非対応

電源について特許内での具体的な明示はないものの、電源部分が40Vmaxバッテリー端子のみであること・ブロック図に電源切替部の記載が無いことから、40Vmax(XGT)バッテリーで動作する製品と予想されます。

バッテリー2本装着の形状を備えていることから、40Vmax拡張仕様である80Vmaxの可能性もありますが、特許内 図12のバッテリー接続図においてバッテリパックの並列接続仕様を示唆していることから、40Vmaxバッテリー1本でも動作できるようです。

ちなみにAC電源対応については、製品外観や断面図にAC電源関連の部品が見当たらないことから、非対応と推測されます。

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庫内形状はフラットテーブル仕様

マキタレンジの庫内形状は、ターンテーブルがないフラットテーブル仕様です。

フラットテーブル仕様は回転皿不要のマイクロ波の乱反射拡散で食品全体を温める方式です。庫内を最大限使用できて清掃も容易な利点はありますが、部品構造が複雑で販売価格上昇の要因となってしまうのが欠点です。

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動作時間について

電子レンジの消費電力は製品仕様によって差はあるものの、600W出力の電子レンジで概ね1,000Wの消費電力を必要とするようです。

消費電力1,000Wを基準にマキタ40Vmaxバッテリーの容量を換算すると、動作時間目安は下記の表のようになります。

バッテリー容量1本動作時2本動作時
BL402590Wh5分10分
BL4040144Wh8分16分
BL4050F180Wh10分20分
BL4080F288Wh16分32分

40Vmaxで一番小さいBL4025バッテリーの動作時間は僅か5分と厳しいものの、一応コンビニ弁当くらいは十分に温められる時間は確保できそうです。

最も大きいBL4080Fバッテリーを2本挿入すれば32分の動作時間を確保できますが、バッテリーだけで約10万円近い出費になるので、電子レンジ用途だけを考えるのであればコスト的に非現実と言えるでしょう。

マキタの電子レンジ充電式化の取り組みは今年で5年目

マキタの電子レンジ 充電式化の取り組みは今に始まったものではなく、2018年頃から開発を進めていたようです。例えば、下記の画像は2018年に公知された18Vバッテリー仕様の電子レンジ意匠図です。

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この特許出願の時期は2018年であり、それ以前の企画協議や構想設計などの機関を考慮すると、マキタ社内では2017年頃から電子レンジの充電式化の計画が進んでいたものと予想されます。ただし、18Vバッテリー仕様の電子レンジは2022年現在でも製品化しておらず、製品化の難航や販路の課題から、当時の開発計画は頓挫したと考えられます。

ちなみに、18Vマキタレンジの製品仕様は、18Vバッテリー単体仕様や18V+18V仕様・外部アダプタによる大電力駆動やマックパック連結構造など、アイデアに溢れた仕様になっていました。

マキタ電子レンジの18V+18V方式の初期構想図。バッテリーの配置だけでもいくつもの候補があり、デザインには相当頭を悩ませていたことが伺える
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マキタ家電展開に期待はするものの、詰めの甘さに不安も強い

ここからは筆者の推測となりますが、本当にマキタから充電式電子レンジが販売されるかは、五分五分の状況です。

40Vmax電子レンジについては、2018年特許出願当時の内容に比べれば大きく進歩しており、意匠出願も行われていることから直近のマキタ販売予定品として有力な製品の一つではあるものの、市場需要が読めない点や製品安全性・販路構造などの課題から、実際の販売に対して慎重になっている印象があります。

シビアな話として、マキタ専用バッテリー方式の電子レンジにどこまで需要を産めるかが大きな問題です。と言うのも、既に市場にはポータブル電源の普及が進んでおり、用途的には今回の家電製品展開と根本的な部分で競合するためです。

例えば今回の電子レンジに関しても、市販のAC100V動作の電子レンジと容量1,000Whクラスのポータブル電源を使用すれば同じことを実現できてしまいます。

汎用性の観点では、AC動作の製品を幅広く使用できるポータブル電源の方が遥かに使い勝手が良く、バッテリー容量のコストパフォーマンスもポータブル電源の方が上です。ポータブル電源によっては太陽光パネル充電にも対応できるので、給電に乏しい環境下でも使える利点があります。

一方で、家電用途においてマキタバッテリーを使用する利点は現状あまり大きくありません。単純にバッテリーそのものが高性能過ぎてコストパフォーマンスが悪いことに加え、マキタに家電販売のノウハウや販路が無く、工具販路に家電を取り扱えるほど余裕がないのも大きな課題です。

何かと話題性の高いマキタではあるものの、これらの要因からマキタの一般ユーザー向け家電製品は中途半端な存在いになりがちであり、「充電式製品のサプライヤー」を謳い始めた以上、消化不良気味な製品を世に出すことは避けてほしいと願うばかりです。

マキタが販売する家電要素の強い充電式製品。製品そのものとして決して悪いわけではなく、既存のマキタユーザーがついでに買うのなら良いものの、製品仕様や価格・取扱店などで物足りない部分が多々あり、家電本業メーカーの製品には絶対に追いつけない印象を裏付けている。
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