スマートフォン・タブレット関連製品の企画開発を行うMATECH株式会社(本社:京都府京都市)は、2022年2月22日、窒化ガリウム(GaN)半導体を用いた小型Type-C充電器の新世代製品「MATEH Sonicharge」の100Wモデルを発売しました。Amazon.co.jpで本体価格6,980円で販売する。
目次
MATECH USB PD充電器 Sonicharge 100W Pro
京都を拠点とする日本発のクリエイティブブランド MATECH(マテック)株式会社は2022年2月に、USB PD充電器の新型モデル Sonicharge 100W Proを発売しました。
次世代パワー半導体GaN(窒化ガリウム)の採用により、パワフルさと圧倒的なポータブル性を両立。小型ながらもPower Delivery 3.0を搭載した単ポート最大100W出力のUSB Type-Cポート(以下Type-C)1つと、最大65W出力のType-Cポートに加え、最大30W出力のUSB Type-A(以下USB-A)ポートを備えた計3ポートのUSB充電器です。
96WのApple 純正電源アダプターよりも約35%小さいボディを実現しながらも、2ポートの同時利用にも対応し、ノートPCを充電しながらスマートフォンも急速充電のような使い方にも対応できます。
- Sonicharge 100W Pro USB PD 100W対応モデル 販売価格6,980円(税込)
Sonicharge 100W Pro製品仕様
製品名 | Sonicharge 100W Pro |
---|---|
外観 | |
ポート構成 | Type-C×2 Type-A×1 |
Type-C 出力規格 | PD3.0、PPS、QC2.0、QC3.0、FCP、AFC、AP2.4、BC1.2 (PPS3.3) |
Type-C 出力 | 最大100W(Type-C + Type-Cは65W + 30Wの電力配分) |
Type-A出力規格 | QC3.0 (Class B)、SCP、AFC、FCP、AP2.4、BC1.2 |
Type-A出力 | 最大30W |
入力電圧 | 100~240V 50/60Hz |
重量 | 196.3g |
寸法 | 61×61×32.2mm |
販売元 | MATECH(マテック)株式会社 |
定価 | 6,980円(2022年2月22日時点) |
販売年月 | 2022年2月 |
製品の特長
「Type-C×2 + Type-A×1の3ポート同時出力対応」
Sonicharge 100W Proは、USB PD 100W出力の急速充電対応機能に加え、残り2つのUSBポートによる同時出力にも対応するUSB充電器です。
3つのUSBポートはそれぞれ最大出力仕様が決まっていて、最も高い出力の100W出力となるのは一番上のPD100Wコネクタを単独使用で使用した時のみになります。複数ポートを同時使用すると下記の表のように出力仕様が変化します。
コネクタ接続方法 | 出力仕様 |
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PD100W 単独 | 100W |
PD65W 単独 | 65W |
Type-A 単独 | 30W |
PD100W+PD65W | 65W+30W |
PD100W+Type-A | 65W+30W |
PD65W+Type-A | 合算18W |
PD100W+PD65W+Type-A | 65W+合算18W |
取り回しやすいコンセント収納&コンパクトボディ
100W出力+3ポートUSBコネクタを搭載する製品ながらも、本体重量196gとコンパクトで持ち運びもしやすいUSB充電器です。
裏側のコンセントも折り畳んで収納できるようになっているので、バッグやポーチなどに入れて持ち運ぶのも容易です。
PPSに対応、ただし実出力仕様とは相違あり
Sonicharge 100W ProはUSB PDの拡張仕様 PPS(Programmable Power Supply)にも対応しており、PPS対応機器に接続すれば高速+高効率のバッテリー充電が可能です。
下記の画像は、PD100Wコネクタ単独で使用した時のPDのPDOです。
PDOではPPSの出力仕様が定義されており、機器側から上手く制御を行うことで3.3~21.0V-5.0Aまでの出力を自由に変更することができます。
対応機器は少ないものの、今後PPSはバッテリー搭載機器の主流規格になると考えられ、上手く活用すればスマートフォンのみならず、電源事情から充電機器の仕様まで幅広いコードレス機器が一変することになるでしょう。
長さ2mのeMakerケーブル(100W給電)が付属
Sonicharge 100W Proには、標準で長さ2mのeMaker(PD100W対応)ケーブルが付属しています。
タブレットやノートパソコンなどをUSB PDで充電する時は長いケーブルの方が便利に使えるので、長さ2mのケーブルが付属しているのはうれしい仕様です。
100W給電も安定、ただし充電時の発熱には注意
本機に限った話ではありませんが、小型サイズのUSB PD充電器は熱密度が高くなる傾向があるため、65~100W時の急速充電を長時間行う場合では取扱いに注意が必要です。
上の写真は100W出力時の充電器本体側面にセンサーを装着して温度を測定したものですが、約70℃(室温20℃時)まで温度が上昇しました。安易にケーブルボックスやほかのACアダプタと一緒に使用すると、発熱によって過熱保護停止や内部回路破損の原因になるため、放熱性の良い場所で使用するのがおすすめです。
ちなみに100W出力時には手で触れなくなるほど熱くはなるものの、1時間程出力させても問題なく動作しました。
USB接続時 一瞬だけ出力が停止する仕様に注意
空いたコネクタ口に新しい機器を接続すると、全ての電源出力が数秒間停止する仕様になっています。これはUSB PD複数口を持つ場合によく行われる制御です。
スマホやノートパソコンなどのバッテリー内蔵の機器を使用している場合であれば問題はありませんが、USB PD充電器を転用してDC電源供給を行っている場合などには不意に電源が切れてしまわないよう注意しましょう。
USB-Aの向きが上下逆なのは設計的に残念なポイント
USB-Aポートはホコリが端子内部に触れて導通不良になることを防ぐため、接点面を下に向くよう配置するのがUSBコネクタ搭載機器設計上のスタンダードとされています。
USB充電器は頻繁に抜き差しを行う製品(または刺しっぱなし)であり、電源供給のみの用途であれば実使用上接点不良が起こることはありませんが、USB-Aコネクタを目視で確認できない場合には下向き端子面を想定してコネクタを挿入するため、この辺りの配慮は日本ブランドを謳う製品として少し爪の甘い構造と言えます。
優れた仕様のUSB PD充電器、日本ブランドな点もgood
USB PD充電器は「電源供給」を行うための単機能な製品なので、紹介すべきところが少なくなってしまい、レビューでは重箱の隅をつつくような内容になってしまいましたが、USB PD充電器そのものとして評価すれば製品仕様・価格・ブランド力共に高い水準の製品であり、USB PD充電器を探しているのであればオススメできる製品です。
現行規格のType-Aと次世代給電規格USB PD、さらに拡張規格のUSB PD PPSまでも含めたオールインワンなUSB充電器であり、新しくUSB PD充電器を選ぶのであれば有力な製品と言えるでしょう。これ1台あれば、USB充電機能を持つガジェットの充電で困るようなことは無く、長く使えるのではないかなと思います。
温度上昇や接続時の動作の多少のクセはあるもの、もともとのポート数や出力仕様が優秀なので、日本ブランドな点を合わせて評価すれば中国ブランドのAnker・Aukeyに変わる新たな選択肢に加えられそうです。