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2023年8月23日

Milwaukee M18 FORGEバッテリーを発表、積層セル採用の高出力バッテリー

Milwaukee M18 FORGEバッテリーを発表、積層セル採用の高出力バッテリー

北米Milwaukeeは2023年8月に積層型リチウムイオンバッテリーセルを採用するバッテリー最上位シリーズに位置するFORGE™ XC6.0 Battery発表した。現行のM18電動工具との互換性を有し、12.0Ahバッテリー相当の出力と15分での急速充電を実現する。

Milwaukee M18 REDLITHIUM FORGE XC6.0 battery

北米地域のMilwaukeeは、2023年8月に積層セルのリチウムイオンバッテリーを搭載するFORGE XC6.0 Batteryを発表しました。

このバッテリーは、Milwaukeeブランド初となる積層セル採用の電動工具向けリチウムイオンバッテリーパックです。

M18シリーズとの完全な互換性を確保しながらも、同社のM18 HIGH OUTPUT 12.0Ahバッテリーパック相当の出力性能を持ち、80%実用充電を約15分で完了できる高い性能を有しています。

北米地域での発売予定は2023年9月下旬以降を予定しており販売予定価格は199 USDです。現在、ミルウォーキーツールジャパンによる日本地域での販売告知はありません。

製品仕様(M18 5.0Ahバッテリー比較)

モデル番号 MIL48111861 M18 B5 JP
外観
バッテリー容量 6.0Ah 5.0Ah
パワーレベル PWR4 PWR2
バッテリーシリーズ M18 M18
セル 積層型セル 円筒型セル
重量 0.94kg 0.70kg
寸法 79×130×84mm 71×114×79mm
本体価格 199 USD 10,800円(税抜き)
販売年月 2023年06月

 

製品の特徴
「積層セル採用によって高出力、急速充電、寿命増」

今回、北米Milwaukeeが発表したのは、積層セルを採用する新型の電動工具用のバッテリーパックです。

従来の電動工具用バッテリーは、価格や耐久性から円筒型のリチウムイオンセルが採用されてきましたが、近年の積層セルのバッテリー性能向上やさらなる高出力性能を求めるユーザー需要によって、一部の電動工具メーカーでは積層セルの採用が進んでいます。

Milwaukeeは、積層セルの搭載により現行バッテリーよりも高い性能と長寿命性を実現できると説明しています。

FORGE XC6.0バッテリーの内部構造。バッテリーパック部分に積層型セルを採用していることがわかる。

パワーレベル PWE4に相当する性能

ミルウォーキーは、今回のFORGEバッテリーの発売に伴い、バッテリーの新たなパワースケールを公表しました。

一般的な5.0AhバッテリーがPWE2のレベルに位置し、HIGH OUTPUTと呼ばれる高出力バッテリーがPWR3、そして今回のFORGE XC6.0は最上位の出力性能を持つPWR4に位置します。

今回のFORGE XC6.0バッテリーでは、容量12.0Ahの超大型高出力バッテリーに匹敵する出力性能を持つと説明しています。

新型充電器と合わせて実用80%充電が15分で完了

新たな充電器のSUPER CHARGERの充電では、80%実用充電は約15分で完了、100%満充電は25分で完了します。

M18バッテリーと充電器の充電時間表

-18℃でも使える耐寒パフォーマンス

極寒の気象条件の-18℃環境でも電力を供給できます。

ゴム製のケースモールドを採用

バッテリーケースのゴム製モールドによって、バッテリーパックの寿命まで確実に保護します。

米国2大ブランドが積層セルを実用化、どうする日本勢

積層セル搭載の電動工具向けバッテリーを展開する企業は、北米トップブランドのDeWALT、中国ChervonグループのFLEXがあり、今回のMilwaukeeで3社目です。

現在、世界的な電動工具市場で多くのシェアを持ち、電動工具市場で強い影響力を持つ北米地域で高いシェアを持つ電動工具ブランドは、DeWALTとMilwaukeeの2社です。この2社が積層セル採用バッテリーを採用したことで、各国の主要な電動工具ブランドやバッテリーメーカーは動向を無視できなくなったものと考えています。

気になる日本電動工具メーカーの動向ですが、世界トップ2の電動工具ブランドが積層セルバッテリーの開発したことから、ようやく重い腰を上げることになりそうです。一応、マキタは積層セルバッテリーの関連特許を出願しているので、2~3年後を目度として日本ブランド初の積層セル採用のマキタバッテリーが登場すると予想しています。

それ以外の国内メーカーの動向としては、現在の売上額や研究開発費の確保、今後の売上見通しから言って、厳しい状態にあると考えています。筆者は、積層セルを採用できる電動工具メーカーは2020年代前半のうちに売上高を十分に確保できた世界的なトップブランドだけであり、今後、積層セルを採用できなかったメーカーとの力量は明確化していくものと予想しています。

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