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『MX Fuel』、Milwaukeeが史上最強の電動工具用バッテリーを発表

『MX Fuel』、Milwaukeeが史上最強の電動工具用バッテリーを発表

米国時間の2019年10月31日に米国を中心に展開する電動工具ブランドMilwaukeeは新しい電動工具シリーズ『MX Fuel』を発表した。

現行の電動工具用バッテリーの概念を大きく超えた巨大バッテリー『MX Fuel』バッテリーは電動工具業界にどのような変革をもたらすのだろうか。

電動工具バッテリーの枠組みを変える巨大バッテリー

MX Fuelバッテリーの内部構造

米国を中心に展開するTTIグループの電動工具ブランドMilwaukeeは新たな電動工具シリーズ『MX Fuel』を発表した。

新しいMX Fuelバッテリーは、リチウムイオンセルを20本搭載した『CP203』バッテリーと、40本搭載した『XC406』がラインナップされており、XC406は72V, 6.0Ah(432Wh)の超巨大バッテリーと推測される。

充電時間は90分となっており、XC406はMiuwaukeeのスマートシステム「ONE-KEY」に対応している。電池自体の保証も2年保証が実施されており、リチウムイオンセルの初期不良やアンバランスなどの発生時にも安心して使用できる。

『MX Fuel』全6種がラインナップ、全てが重量級工具

MX Fuelは現在全6種の電動工具のラインナップが予定されている。公表された全ての電動工具が重量級の製品であり、AC電源やエンジンを動力として動いていたものばかりだ。

MX FUEL™ 14″ CUT OFF SAW

14″ CUT OFF SAWは、14インチのエンジンカッターを置き換える電動工具となりそうだ。エンジンカッターは高い切断能力を実現するために4kW級のエンジン出力が必要だったため、バッテリーどころかAC電源工具でも対応が難しい工具だったが、MX Fuelでその出力が確保できたため、実現した製品と言える。

特に、ガソリンの取扱や混合燃料の作成など、エンジンカッターを使う煩わしさが一気に解消され、排ガスの心配もなく騒音も少なくなっていると考えられ、屋内での使用なども考えられそうだ。

MX FUEL™ BREAKER

BREAKERは、ブルポイントでハツリをおこなう大型ハンマーだ。主にAC工具で運用されるこの工具は、消費電力が2kWと高い電力を必要としており、長い稼働時間も求められていたため、コードレス対応が最も遅れると考えられていた製品だ。

屋外で使用する事が多いこの工具は、エンジン発電機による運用が必須となり、燃料の確保やエンジン発電機の周囲への騒音など様々な周囲環境への配慮が必要だった。今回のMX Fuelによるコードレス化によって、作業準備の簡素化と周囲への低騒音が実現できるだろう。

MX FUEL™ HANDHELD CORE DRILL W/ STAND

HANDHELD CORE DRILLはこれまでのコードレス工具では不可能だった大口径の深い穴を空けるためのコードレスドリルだ。

付属するサポートシステムを使用すれば、鉄筋コンクリートであっても最大6インチの穴を安全に空けることが可能で、乾式または湿式の穴あけに対応している。

MX FUEL™ ROCKET™ TOWER LIGHT/CHARGER

ROCKET™ TOWER LIGHTは最大27,000ルーメンの光束をもつ大光量の投光器だ。

このライトは、これまでのコードレス投光器のような「屋内」を照らすライトではなく、「現場全体」を照らす業務用エリアライトのような用途が想定されている。これもエンジン発電機を必要としないため、夜間の屋外作業など周囲環境の配慮なども少なくできるだろう。

MX FUEL™ CARRY-ON™ 3600W/1800W POWER SUPPLY

CARRY-ON™ 3600W/1800W POWER SUPPLYは連続1.8kW、最大3.6kWのAC110V電源を供給できる発電機(インバーター)だ。

上下に2つのXC406を装着可能で、搭載する電力容量は最大864Whとなり、iPhone Xのバッテリー容量で換算すると約90台分のiPhoneをフル充電できる計算となる。もちろん1800Wの高出力を持続できるため、家電なども動作可能だ。

ただし、稼働時間が求められるような用途ではガソリン発電機の優位性は崩せないため、MX Fuelを使ったAC電源工具のアダプターと考えるのが正しい使い方となるだろう。

MX FUEL™ SEWER DRUM MACHINE W/ POWERTREDZ™

SEWER DRUM MACHINE W/ POWERTREDZは排水管清掃機だ。

排水管清掃機は数100Wの比較的少ない電力でも動作するため、既存の18Vバッテリーでも動作可能だが、このMX Fuel仕様の清掃機は最大ワイヤー長200ft(60m)まで対応しており、更に本体の搭載したタイヤはパワーアシストが搭載されており、階段の上り下りも楽に行える仕様になっている。

サービスバンから作業場所まで、一人で全て行えるのがコンセプトとなっていて、全ての面で作業効率化のために作られている。

エンジン動力工具置き換えの大本命となる『MX Fuel』

これまでの電動工具バッテリーは「DeWALT DCB612」「Milwaukee 48-11-1812」「日立工機 BSL3660」がそれぞれ同容量で216Whが最大容量となっていた。今回の「MX Fuel」バッテリーXC406は最大容量432Whと従来バッテリーの2倍の容量を持っている。

バッテリーにおける出力の根本的な部分は、バッテリーセルそのものの放電能力に左右されている。電圧を上げたり放電能力の高いセルを採用するのも1つの手だが、根本的な意味でバッテリーの性能を上げるのであれば、内部のセルの本数を増やすのが最も手っ取り早い方法だ。

今回のMilwaukeeのアプローチは、電動工具の出力を上げる方法の中で最もシンプルかつ効果的な方法を採用したと言える。HiKOKIやマキタの36Vバッテリーのアピールポイントと同じような表現をするなら、MX Fuelは4,000Wから5,000Wに迫る大出力を実現したバッテリーであり、出力だけであればエンジン工具を完全に置き換えられるスペックを実現している。

この大出力大容量バッテリーの登場により、エンジンカッターやエンジン発電投光器など、一部の製品のシェアは大きく移り変わる可能性も考えられる。特に、排ガス規制の進むエンジン工具に対して、受け皿となった製品が現れたのは非常に意義のあるシリーズであり、今後の動力工具シェアに大きな影響を与える事となるだろう。2020年代の電動工具業界は、他業種をも巻き込んだ波乱に満ちた年となりそうだ。

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