![ミルウォーキーツール・ジャパンとパンドウイットがアルミ配線ソリューションでパートナーシップを締結](https://voltechno.com/blog/wp-content/uploads/2025/02/milwaukee-panduit-s.png)
ミルウォーキーツール・ジャパン(本社:東京都板橋区)とパンドウイットコーポレーション日本支社(本社:東京都港区)は2月3日、アルミ配線ソリューションの普及に向けてパートナーシップを締結した。2社共同による太陽光発電施設のアルミ電線採用の加速を進め、展示会出展や勉強会、現場における実地検証や施工サポートを行う。
目次
ミルウォーキー (Milwaukee)とパンドウイット (PANDUIT)がパートナーシップを締結
ミルウォーキーツール・ジャパンとパンドウイットコーポレーション日本支社は、2月3日(月)に電線のアルミ化推進に向けた取り組みとしてパートナーシップの締結を発表しました。
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近年の再生可能エネルギー分野では、銅単価上昇や盗難被害の影響によって銅ケーブルからアルミケーブルへの移行が注目されており、パンドウイットコーポレーションのアルミ端子配線ソリューションとミルウォーキーツールジャパンのダイスレス圧着工具の普及活動を行います。
このパートナーシップは、近年の再生可能エネルギー分野での銅価格の上昇や同ケーブル盗難件数増加による安価で取り回しに優れた600Vアルミケーブルの採用を加速させるもので、2社共同による展示会出展や勉強会、施工現場での実地検証やサポートによってアルミ配線の啓発とシェア拡大を目的とします。
日本における600Vアルミケーブルのシェアは2024年時点で約2%に留まるものの、2025年には7%のシェアを見込んでおり、今後も中小規模太陽光のPPA案件や現行設備のリパワリング、系統用蓄電池システム(BESS)による新エネルギービジネスの普及の背景も含め、2030年までのアルミケーブル CAGR(年平均成長率) 90%の達成に取り組みます。
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太陽光発電施設のアルミ配線需要増を見込む今回のパートナーシップ
今回のミルウォーキーとパンドウイットがパートナーシップを結んだ背景には、銅単価の高騰による銅ケーブル価格の上昇と太陽光発電設備の銅ケーブル盗難被害の増加による保険会社の補償対象外化が大きく影響しています。
太陽光発電施設では、2023年から銅ケーブルの盗難被害が急激に拡大しており、2022年度では全体保険額の1割にしか過ぎなかった盗難補償案件が2023年には全体の4割近くにまで上昇しており、保険会社は盗難を補償対象から外す盗難不担保に動きつつあります。
これらの盗難が増えている要因として、JPEA (一般社団法人太陽光発電所協会)は近年のEV需要やデータセンター増設による銅需要の銅価格高騰が背景にあると解説しており、盗難対策に有効な事例としてアルミケーブルの採用を紹介しています。
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太陽光ビジネスでは中小規模のPPA案件やリパワリング需要が増加
太陽光発電のビジネスモデルにおいては、長らくFIT(固定価格買い取り制度) を軸に拡大が進められていましたが、今後はPPA (電力購入契約)を中心として中小規模の太陽光発電案件の増加を見込んでいます。
PPAとは、再生可能エネルギー由来の電気を購入したい需要家と電力購入契約を結び供給する方式であり、電力会社が高い価格で買い取るFIT方式から変わる太陽光発電スキームとして移行が進む予定です。
そのため、リスク低減のためのアルミケーブル採用や経年劣化によるリパワリングによるアルミケーブル化の変更需要なども発生しており、今後のアルミケーブルの需要が見込まれます。
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系統用蓄電池システム (BESS)解禁による新しいエネルギービジネスの誕生
アルミケーブル需要に関するもう一つの要因が、系統用蓄電池の発電事業解禁による新しいエネルギービジネスの誕生です。
2022年5月の改正によって10MW以上の蓄電池システムは発電所として扱われることが決まり、蓄電池による市場売買が解禁となりました。電気が安い時間帯に充電を行い、高い時間帯に売電を行うことで収益を上げることができる新たなビジネスモデルです。
先程のPPAモデルの普及に伴い、太陽光発電からの電力で充電を行い、より高い時間帯で売電できる19時台のピークタイムに放電を行うことでより高い収益を上げることが可能になります。これらの新しいエネルギー市場拡大を背景にアルミケーブルの普及も進むと見込まれています。
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ダイスレス圧着工具 M18HDCTが持つアルミ端子への強み
今回のパートナーシップの中核となる製品が、2024年12月に発売したミルウォーキー M18 DHCT 電動油圧式ダイスレス圧着工具です。
ケーブルの端子装着作業には端子毎の専用工具である圧着工具が必須ですが、実際の作業には端子形状や太さによって異なるダイス選定や装着が必要であり、適切な作業を行うにはマニュアルの熟読や装着、作業トレーニングなどが必要になります。
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ミルウォーキー ダイスレス圧着工具は、従来の圧着工具で必須だったダイスの装着や交換を不要にしており、圧着距離制御と圧力測定によってどのようなサイズの圧着端子でも、ダイスの交換不要で1台のM18 DHCTで対応できます。
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工具×端子×電線メーカーの3業種による業界パートナシップは電気設備現場にどのように影響するか
アルミケーブルが注目される時は銅単価が高騰している時であり、過去にもアルミケーブルの普及が注目されていた時代はあったようです。しかし、今回の事例に関しては、EV・データセンター需要による影響も大きく、さらに太陽光発電設備の増加も見込まれることから、ある程度の普及は見込まれるものと想定しています。
今回のミルウォーキーとパンドウイットのパートナーシップ締結は、銅価格の上昇による太陽光発電設備のアルミケーブルへの新需要を見込んだものです。
現状、電力関係の実務従事者に関しても、建設業の例に漏れず高齢化の波に押されており、メーカー各社は技術による解決を図りさまざまな新製品を展開しています。
しかしながら工具メーカーや配線メーカーなどの各メーカーが対応できる生産性の向上には限界がきているとも考えており、今後は資材メーカーとの提携を含む総合的な作業ソリューションを提供することが不可欠になってくるだろうと想定しています。特に、今回のパートナーシップによりパンドウイットのアルミ端子配線ソリューションは、ミルウォーキー製品を全面的に推奨するとしており、工具や資材レベルでの生産性向上を図るだけではなく、資材や道具の選定にかかるコストの低減の点でもユーザー視点として十分期待できる成果を挙げられるかもしれません。
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