近年、農業分野においてドローンの利用が急激に進んでします。人手や後継者不足が大きな課題となっている中、ドローンによる自動化や作物管理の需要な年々高まっており、農作物の管理から播種、農薬・肥料の散布など農業におけるドローンの存在は年々増しています。
今回は、幕張メッセで開催された農業Weekで展示されていた『農業用ドローン』を紹介します。
目次
まさに、農業”新時代”の到来を思わせる農機業界
2019年10月9日から11日にかけて開催された「国際 次世代農業EXPO」は、農業機器展示会のイメージとは裏腹に、ドローンやITソリューション、植物育成用LEDなど最先端のハードウェアやソフトウェアの最先端技術が集まる「次世代」技術の展示会となっています。
特に、今回の「国際 次世代農業EXPO」で大きな賑わいを集めていたのが「農業用ドローン」です。
農林水産省が公開したドローン普及指針資料「農業用ドローンの普及拡大に向けて」では、2021年の農業用ドローン普及をめどに支援策の立案などが進められており、農業用ドローン展開を進める企業やベンチャーなどはかつてないほどの賑わいを見せています。
更に、2019年7月には農薬の空中散布における指導方針が廃止され、農業におけるドローン規制が大幅に緩和されました。従来のドローン運用では操縦者の他に「補助者」を配置する義務があったために運用面で普及の障害となっていましたが、「緩衝区域」の設置により補助者なし運用や自動操縦による飛行も可能となり、ドローン導入の敷居は大幅に低減しました。この点は今後のドローン普及に益々拍車をかけるものと予想されます。
本記事では、農業用ドローンに力を入れる国内・海外ベンチャー、ドローン事業大手の紹介、企業毎のドローンの特徴などを解説します。
Nileworks 低空飛行による均一散布と作業の自動化
国際 次世代農業EXPOでは数多くのドローンが展示されていましたが、その中でも他社ドローンとの差別化やコンセプトの明確さなどで最も特徴的だったのが株式会社ナイルワークスの「NileT-19」です。
「NileT-19」は上空30~50cmの低高度飛行を特徴としている農業用ドローンです。NileT-19は12種類のセンサーから算出される位置情報による高精度制御と、上下逆回転のプロペラによる気流コントロールで非常に高い精度の飛行を実現しています
他社製のドローンと異なり、低高度から散布できるNileT-19は作物の茎などの深い部分まで薬剤を効率的に散布できるため、これまでの薬剤散布ドローンなどでありがちな散布ムラや作物の上部にしか散布されない状態を防ぐことができます。
DJI コンシューマドローンの最大手、農業ドローンに参入
DJIと言えば、中国を本拠地とする民生用ドローンの世界トップメーカーです。DJIは2017年から農業用ドローン「AGRAS」シリーズを展開しており、今回の農業weekでは新製品となる圃場センシング専用ドローンの「P4 MULTISPECTRAL」を展示しています。
新製品の「P4 MULTISPECTRAL」は、RGBカメラ1台とブルー/グリーン/レッド/レッドエッジ/近赤外線の帯域の5台のマルチスペクトル カメラアレイを搭載しており、様々な視点から作物の画像収集を行えるのが特徴とした圃場管理ドローンです。まさに農業の「見える化」を実現する新時代のドローンと言えるでしょう。
DroneWorkSystem 人が乗っても壊れない高い堅牢性が特徴
株式会社DroneWorkSystemは福島県に本社を置くドローン産業用機体開発・業務運用・導入コンサルのドローン運用サポートを行う企業です。
DroneWorkSystemが開発したAGR16Aは高い堅牢性をアピールした多用途ドローンで、フルカーボンによる高い剛性構造で16Lフルタンクでも余裕のある飛行を実現しています。
XGA 気流に乗せて粒剤や種を散布する「JetSeed」
XAGは中国広州に本社を置く農業用ドローンの専業メーカーです。中国の農業用ドローン市場としては半分以上のシェアを獲得しています。
今回のXGAブースでは、最新型の完全自動航行・自動散布ドローンP30の防水展示・播種デモ機などが展示されていました。
XAG | P Series Plant Protection UAS
東光鉄工UAV 秋田発の国産ドローン
東光鉄工UAVは、秋田県発の農業用ドローンの製作、販売、教習を行う東光鉄工株式会社のドローン事業部です。
今回展示されていたTSV-AH2は10Lタンクを搭載、最大1.2haを10分で散布でき、粒剤タンクへの交換で粒剤散布にも対応します。タンクはスライド機構で固定されており、簡単に交換できるのを特徴としています。