電動工具を製造・販売するパナソニック株式会社エレクトリックワークス社は、2023年3月にEXENAシリーズの充電ミニドライバー EZ1D11を発売する。従来品の充電ミニドライバー「EZ7412」から回転数を約3.5倍の850回転/分に向上することで、ネジ締め作業の効率化に貢献する。希望小売価格は9,800円(税抜)
目次
パナソニック EXENA充電ミニドライバー EZ1D11
電動工具を製造・販売するパナソニック株式会社 エレクトリックワークス社は、2023年3月に充電ミニドライバー EZ1D11を発売します。
EZ1D11は、従来品の充電ミニドライバー EZ7412から、回転数を約3.5倍の850回転/分に向上しネジ締め作業の効率化を実現する電動ドライバーです。
ボタンから指を離したときに慣性で回らずに止まる「ブレーキ機能」によって精密な作業を実現するとともに、電動締め付け時の反動が少ない低トルク設計で、高速回転でも手首への負担を低減します。
充電方式はUSB Type-Cを採用し、落下防止用のストラップの通し穴を新搭載するなど、使い勝手を向上しています。
販売仕様は、本体カラーが異なるEZ1D11S-B(黒)とEZ1D11S-R(赤)の2仕様で展開します。
- EZ1D11S-B 本体のみ 希望小売価格9,800円(税抜)
- EZ1D11S-R 本体のみ 希望小売価格9,800円(税抜)
製品仕様 (従来モデル miniQu EZ7412比較)
製品名 | EZ1D11 | EZ7412 |
---|---|---|
外観 | ||
能力 | M3x5mm:約2,100本 M6x10mm:約2,000本 |
M3x5mm:約620本 M6x10mm:約540本 |
回転数 | 850回転/分 | 230回転/分 |
締付トルク | 電動:0.4N・m 手締:8.0N・m |
電動:1N・m 手締:8.0N・m |
充電端子 | USB Type-C | microUSB |
充電時間 | 5V-1A充電器:60分 5V-2A充電器:45分 |
5V-1A充電器:35分 5V-2A充電器:25分 |
バッテリー容量 | 850mAh | – |
重量 | 170g | 165g |
寸法 | 131×42×42mm | 128×45×42mm |
本体価格 | 9,800円(税抜) | 7,900円(税抜) |
販売年月 | 2023年03月 | 2020年02月 |
製品の特徴
「高速回転仕様で作業時間が従来品の1/3」
従来品の充電ミニドライバー EZ7412から、回転数が約3.5倍の850回転/分に向上。高速回転仕様でねじ止め作業時間が1/3以下に短縮します。
手締め作業にも対応しており、手締め作業時では最大8.0N・mでの締め付けトルクにも対応します。
誤作動を防止するプッシュスイッチ構造
ボタン周りの凹構造で誤作動を防止。ポケットや作業袋に入れたときの不意な電源ONを防ぎます。
明るさ2.5倍の高輝度LEDを採用
従来モデルEZ7412比で約2.5倍明るいLEDライトを搭載。簡易ライトとして天井裏など暗所での確認作業に活用できます。
ライトのみを点灯するライト点灯モードも搭載しているので、作業前の照射確認にも活用できます。
USB Type-C充電ポートを採用
充電ポートにはUSB Type-Cを採用
ストラップ用の通し穴を搭載
ストラップを付けられる通し穴を搭載。高所作業での落下防止に活用できます。
赤色カラーモデルも同時展開
同時発売で赤色のカラーモデルも発売。
バッテリー分解にも対応(廃棄用)
分解してバッテリーの取り出しもできます。ただしバッテリー交換のためではなく、製品廃棄時にリチウムイオンバッテリーを取り出すためのものです。
VESSEL 電ドラボールハイスピードとの違い
EZ1D11と競合するのは、VESSEL 電ドラボールハイスピード 220USB-S1です。
今回のEZ1D11に関しては、VESSELの電ドラボール 220USB-S1を強く意識したモデルであり、基本的なスペックでは近い製品仕様を備えています。
さて、従来モデルのminiQu EZ7412に関しては、全長128mmのコンパクトさが売りだったものの、今回のEZ1D11は高速回転仕様になった影響か全長が他社同等くらいになっているため、具体的な強みが無くなってしまっている印象があります。
それでも僅かに全長の短い点や、ボタン式・高輝度LEDを搭載している点など利点はあるものの、パナソニックのボールグリップ式電動ドライバーは比較的高価格設定な製品であるため、その価格的な差を許容できるかが大きなポイントになると考えられます。
製品名 | EZ1D11 | 220USB-S1 |
---|---|---|
外観 | ||
回転数 | 850回転/分 | 1.200回転/分 |
締付トルク | 電動:0.4N・m 手締:8.0N・m |
電動:0.4N・m 手締:10.0N・m |
充電端子 | USB Type-C | microUSB |
充電時間 | 5V-1A充電器:約60分 5V-2A充電器:約45分 |
5V-1A充電器:約60分 |
バッテリー容量 | 850mAh | 800mAh |
重量 | 170g | 160g |
寸法 | 131×42×42mm | 140×45×45mm |
本体価格 | 9,800円(税抜) | オープン価格 |
販売年月 | 2023年03月 | 2020年02月 |
Type-CコネクタにCCプルダウン抵抗が入っていないのだけが残念
今回のEZ1D11に関しては、性能を向上して使い勝手を上げた製品ではあるものの、従来モデルminiQuの強みであったコンパクトさが削られてしまったため、ほかの強みであるスイッチやLEDなどの付加価値部分、またはパナソニックブランドである点を気に入れば選ぶ、と言った感じの仕様になっています。
ちなみに、今回のモデルはUSB Type-Cコネクタを搭載していますが、USB Type-CのCC端子にプルダウン抵抗を入れていないため、Type-Cコネクタで定められているコールドソケットによって給電を受けることができません。そのためUSB PD充電器によるCtoCケーブルによる給電には対応していません。残念ながら、この製品はType-Aプラグ仕様の従来USBケーブルが必要になります。
コネクタ耐久性や数あるUSB機器をType-Cケーブルでまとめられるなどの理由でType-C端子それ自体の採用は有効であるものの、そもそもType-C端子を採用する趣旨は、USB PDのような将来的な給電形状への対応が主な目的です。そのため、将来的な汎用給電規格であるUSB PD充電器が使用できないのであれば、Type-Cポートを搭載する意味は薄くなってしまうと考えています。
正直なところ、自社の別製品でUSB PD埋込コンセントを販売しておきながら、製品企画や設計レビューの段階でUSB Type-CコネクタのCC端子にプルダウン抵抗が必要なことを指摘してくれる人材すらいないのかと、製品設計開発の内情を疑いたくなる製品なのが残念です。
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