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電動工具に使われるモーターには様々な種類があります。最近では主流の「ブラシレスモーター」搭載製品も増えていますが、AC電動工具や低価格の電動工具では「ブラシモーター」が使われている製品も数多く存在します。
今回の記事では、電動工具に使われる3種類のモーターの特徴と違いについて解説します。
目次
高出力で小型軽量の「ブラシレスモーター」
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- 小サイズ高出力でメンテナンスフリーのモーター
- ソフト制御で多彩なモード切替機能を搭載
- ブラシモーターよりも高価
- 熱に弱く、電子部品の過熱や過負荷で保護停止・故障しやすい
従来の直流モーターには、モーターを動かすための切替接点としてブラシ(カーボンブラシ)が必要でしたが、それを電子制御によって不要にしたのが「ブラシレスモーター」です。
モーターの全長は短く軽量化されており、モーター効率も上がって長寿命になっているのが特徴です。現在の充電式電動工具はブラシレスモーターの普及によって広まったと言っても過言ではではありません。
ブラシレスモーターが販売された当初はインパクトやドリルなどの小型電動工具でしか展開されていませんでしたが、近年では中型の丸ノコや大型のグラインダにも搭載されるようになり、現在のプロ向け電動工具では主流のモーターになっています。
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ブラシレスモーターは、防水や防じんなどの規格にも対応しており、耐久性も高いモーターですが、メーカー側の設計ノウハウ不足やユーザー側の仕様外使い方によっては簡単に壊れてしまうケースも多いモーターです。
過負荷にも弱いモーターなので、熱による保護停止で頻繁に止まってしまったり高負荷時の過電流で壊れてしまう場合もあるので、夏場での過負荷連続使用などには注意が必要です。
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まだまだ現役の主力モーター「ブラシモーター」
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- 比較的価格が安くてモーター出力が高い
- カーボンブラシが摩耗するので、定期的に交換が必要
ブラシレスモーター以前に電動工具に使用されていたのが「ブラシモーター」です。ブラシモーターはコイルが回転する構造になっているモーターで、コイルの接点にブラシを使用しているためブラシモーターと呼ばれます。モーターそのものの分類としては整流子モーターと呼ばれます。
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現在のプロ向け電動工具のモーターにはブラシレスモーターが使われますが、現在でも昔ながらのフィーリングを好むユーザーやブラシレスモーターの搭載が難しい大型高出力電動工具などで使用されています
ブラシモーターは、モーターの接点に炭素でできたカーボンブラシを使用しているため、擦り減ったらカーボンブラシの交換が必要になります。また、コイル側の接点(コミテーター)も摩耗するので、カーボンブラシを数回交換した後には、アマチュアの交換も必要になります。
ブラシモーターは固定子に磁石が使用されていますが、これをステータコイルに置き換えたモーターを「ユニバーサルモーター」と呼びます。ユニバーサルモーターは、交流電源でも使用できる整流子モーターなので、AC電源で使用する電動工具に幅広く使用されています。
ユニバーサルモーターは電気を流すだけで回転するシンプルなモーターで、磁石も不要で大型化による高出力化も容易なので、AC電源で動く大型電動工具では現在も主流のモーターです。
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搭載されているモーターは、AC電源で回転するブラシモーター「単相直巻整流子モーター」が使用されている。ブラシレス主流の現在でも用途や大きさによってブラシモーターは電動工具で使用されている。
昔ながらの汎用モータ「ケースモーター」
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- 低価格なモーター
- 性能は低く、モーターサイズも大きい
- カーボンブラシの摩耗がモーターの寿命
低価格な電動工具や小形サイズの電動工具に搭載されているのが「ケースモーター」です。モーターの分類では一般的にこちらのモーターをブラシモーターと呼びますが、電動工具では先述のブラシモーターが一般的に使用されているため、本記事では便宜上ケースモーターと呼びます。
DIY向けや10.8V以下のモデル、電動工具以外のファンやクリーナーなど、高いモーター性能を必要としないバッテリー製品にケースモーターが搭載されています。性能こそ高くありませんが、低価格なモーターなので様々な製品に使用されています。
ケースモーターはモーターの部品が一体になっているため、ブラシ交換はできません。ブラシの摩耗が進んだらモーター丸ごと交換に必要になってしまいますが、モーター自体が低価格なので修理費用はそこまで高額になりません。
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