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2024年7月7日

鉄筋結束機とは【工具の特徴・選び方解説】

鉄筋結束機とは【工具の特徴・選び方解説】

鉄筋結束機ドリルとは、鉄筋コンクリート造に使われる鉄筋の結束作業に使用する電動工具です。鉄筋結束機は先端を鉄筋の交点に嵌合させるてモーターとメカ部品に結束を行わせる工具です。作業者の熟練度に寄らない安定した結束作業を行うことができます。

鉄筋結束機とは「鉄筋コンクリート造」に使う工具

鉄筋結束機とは、名前の通り鉄筋の結束に使う電動工具です。鉄筋コンクリート造に必要な「鉄筋工事(異形鉄筋等の鋼材を加工・雪像・組付け)」の鉄筋を結束作業に使用します。

鉄筋結束機はロール状のワイヤーを装着して先端を鉄筋の交点に嵌合させて、結束はモーターとメカ部品が行うため、作業者の熟練度に寄らない安定した結束作業を行うことができます。

作業スピードも1結束/1秒以下の素早い作業が可能で、片手で結束作業ができるので支えなどの2人作業を1人割り当てにしたりと、人件費のコストダウン効果も期待できます。

鉄筋結束作業はロボット化・自動化の実用化が進んでいる分野であり、鉄筋組立自動化システム「Robotaras(ロボタラス/ROBOT Arm Rebar Assembly System)」や鉄筋結束ロボット「トモロボ」などの採用が進んでいます。

鉄筋コンクリート造では、コンクリートの打設前に強度計算に合わせて鉄筋の組付け作業を行う。異形鉄筋の交点は結束線で緊結する。交点全てを結束する必要はないが、打設やバイブレータ―で配筋が動かない程度には緊結しなければならない。1
鉄筋を強固に結束したらコンクリートを打設する。結束線で緊結した部分はコンクリートに埋もれて隠れてしまう。

鉄筋結束機で作業効率を向上

  • 鉄筋結束スピードアップで人件費コストダウン
    結束作業のスピードアップできるので工数の低減を図れます。3人の現場を2人で済むようになったり、1日かかっていた結束作業を半日で終了できるようになるなど、人件費の削減や工数の短縮が実現できます。
  • 身体の負担が減る
    ハッカーを使った1回ごとの結束作業は楽ですが、手首の腱鞘炎や腰を曲げ続けた腰痛など体に負担のかかる作業です。鉄筋結束機を使用すれば片手が空いて姿勢も楽になり、身体の負担が少なくなります。
  • 作業者の技量に依存しない作業品質
    鉄筋結束機はトリガーを引くだけなので、技量に寄らない安定した締結作業ができます。ハッカーの使い方に慣れていない方でも即戦力の締結作業ができて急な人員の不足にも対応できます。

手工具の結束「ハッカー」も現役

鉄筋結束機を使用しない締結方法では「ハッカー」と呼ばれる手工具を使用します。主に鉄筋屋さんが使う工具ですが、電気工事や設備工事の方も配線の結束に使用します。

ハッカーはシンプルな工具ですが、熟練の技術が要求される工具で安定した結束を行うには相当の慣れを必要とします。

鉄筋結束機は工具本体代が高く、初期コストの回収にも時間がかかるため熟練工を多く抱える現場ではハッカーの結束作業が主流です。一方、新人・応援・研修生のような経験の浅い作業者が多い場合には、鉄筋結束機を導入して作業スピードをカバーする使い分けが行われています。

ハッカー自体は数千円の安価な工具ですが、工具屋などでガラスケースに納められた数万円のハッカーを見かけた方もいると思います。ベアリング内蔵のタイプのハッカーはそれだけで価格が跳ね上がり、特殊なものではチタン素材やオーダーメイド品の高級モデルも販売されている奥深い工具です。

鉄筋結束機を使わない結束では「ハッカー」を使用する。熟練者は鉄筋結束機と変わらない速さで結束する
ハッカーで締結する時の結束線。結束の際に1本取り出して、鉄筋の交点にねじって固定する。

鉄筋結束機を製造・販売するメーカー

鉄筋結束機市場は、1993年の世界初の鉄筋結束機マックス RB-260以降、マックス製品がトップシェアを走り続けています。

2018年には電動工具のトップメーカー「マキタ」が充電式鉄筋結束機TR180Dを開発しましたが、マックスも新構造の鉄筋結束機「ツインタイア」シリーズを展開し、使い勝手と技術に強みを持つマックス一強市場が続いています。

  • マックス

鉄筋結束機のトップシェアメーカー

  • マキタ

2018年に鉄筋結束機市場に参入

鉄筋結束機 おすすめ3選

マックス ツインタイア RB-610T

マックス最新の鉄筋結束機がツインタイアRB-610Tです。

対応鉄筋サイズの向上によって、より大きい鉄筋の結束が可能になり、柱や梁・耐圧スラブなどさまざまな鉄筋結束作業をサポートできるようになりました。

前モデルRB-440Tから続くワイヤー2本を使用する「ツインタイア機構」により、従来の鉄筋結束機より結束スピード130%、引き戻し機構により結束力150%、ミミ高さ約1/2での後処理削減などを実現する鉄筋結束機のトップスタンダードを走る定番機です。

対象鉄筋D16×D16~D32×D29
D38×D16×D16
D25×D25×D16×D16
バッテリー電圧14.4V
結束時間0.7秒以下(D10×D10時)
寸法295×120×330mm
重量2.5kg
発売年2019年

マックス ツインタイア RB-440T

マックス初の鉄筋結束新構造「ツインタイア機構」によって鉄筋結束の品質を大きく向上させたモデルがRB-440Tです。

従来のワイヤー1本の鉄筋結束機「リバータイア」より大きく上回る性能を実現しており、締結スピードの高速化・1リール当たりの作業量が約2倍・ミミ高さを半分にする、など鉄筋結束機の革新モデルとしてリリースしました。

現在は大口径・後継機モデルのRB-620Tが主力ですが、対応径が小さいコンパクトモデルとして今尚人気の高い鉄筋結束機です。

回転数10,000min-1
対象鉄筋D10×D10〜D22×D22
D25×D19
D13×D13×D25
D16×D16×D13×D13
バッテリー電圧14.4V
結束時間0.7秒以下(D10×D10時)
寸法275×120×330mm
重量2.3kg
発売年2017年

マックス ツインタイア消耗品 タイワイヤ

マキタ 充電式鉄筋結束機 TR180D

電動工具のトップメーカー マキタが2018年に発売したのが、充電式鉄筋結束機TR180Dです。

マックス以外のメーカーから販売された待望の鉄筋結束機で、マキタ充電式シリーズのバッテリーをほかの電動工具に使いまわせるのが魅力です。

工具本体価格が安いのも特徴で、急な応援や万が一の予備として常備しやすい製品です。マキタ最大の魅力であるアフターサポートによる素早い修理サポートも受けることができます。

肝心の鉄筋結束機の性能はマックスほどではなく、対応鉄筋径や締結時間などが及ばない製品ですが、実用的には十分な能力を持っています。

対象鉄筋D10 × D10~
[D13×D13]×[D13×D13]
バッテリー電圧14.4V/18V
結束時間0.85秒以下
寸法304×93×318mm
重量2.6kg
発売年2018年

マキタ TR180D 替えワイヤ

参考

脚注

  1. 参考:鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説〈2010〉|日本建築学会
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