2018年10月にイメージスキャナでトップシェアのPFUから、ドキュメントスキャナ『ScanSnap iX1500』が発売されました。
今回発売されたiX1500は、前機種iX500の後継機種となるフラッグシップモデルで、約6年ぶりのモデルチェンジとなります。今回は、iX1500を1ヶ月使って約25,000枚をスキャンした実際の使用感などをレビューします。
目次
PFUのフラッグシップ最新ドキュメントスキャナ iX1500
「ScanSnap iX1500」はドキュメントスキャナの人気シリーズScanSnapの最新モデルです。
iX1500は、最大30枚/分の高速スキャン、シートフィードによる複数枚の原稿の大量セット、重なり検出などを搭載し個人/SOHO向けモデルのフラッグシップに相応しい機能を搭載しています。
前機種iX500とiX1500の違い
製品名 | ScanSnap iX1500 | ScanSnap iX500 |
外観 | ||
光学解像度 | 600dpi | |
読取速度(最大) | 両面・片面 30枚/分 | 両面・片面 25枚/分 |
原稿搭載枚数 | 50枚 | |
USB | USB3.1 Gen1 | USB3.0 |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac | IEEE802.11b / g / n |
タッチパネル | 〇 | × |
マルチフィード検出 | 重なり検出(超音波センサー)/長さ検出 | |
サイズ | 幅292mm × 奥行161mm × 高さ152mm | 幅292mm × 奥行159mm × 高さ168mm |
20,000枚スキャンしたiX1500の使い心地は?
私がスキャンしているものは主に「雑誌」「カタログ」「レシート」です。クラウド連携などがアピールされたiX1500ですが、私自身の用途は、ストレージサーバーへのPDF保存が主な使い方になります。
雑誌とカタログは、裁断してスキャンしているため一回当たりの枚数も多く、ここまでスキャンするのもなかなか大変でしたが、iX1500は非常に使い勝手も良く苦労したところはほとんどありませんでした。
iX1500でスキャンしていて気づいたのは、紙詰まりの少なさと重なり検出の精度の高さです。一冊あたり300pほどの雑誌を裁断してスキャンしていましたが、25,000枚スキャンして紙詰まりとなったのはほんの数回でした。
裁断している雑誌には接着剤が残っている場合もあり、2枚重なった状態で読み込んでしまう事もありましたが、iX1500はそれを上手く検知して停止してくれます。そのまま席を外して30分近く放置していた場合でも、重なり検知した部分を再セットしてスキャンすれば継続して読み込むことができました。
液晶パネル搭載で使いやすくなったiX1500
iX1500で最も気に入った点が、液晶タッチパネルを搭載した所です。「たかが液晶パネルでしょ?」と侮ってはいけません、これこそがiX500から大きく進歩した点です。
タッチパネルでスキャンが開始できるのはもちろんのこと、上の丸いプリセットを選ぶことで「スキャンの設定」をスキャナ側でワンタッチで指定できるのは非常に使いやすく便利なポイントです。また、スキャナのデータを転送するパソコンもプリセットで選ぶことが可能で、複数台のパソコンの中からスキャンさせることも可能です。
このプリセットはパソコン上のScanSnap管理ソフト「ScanSnapHome」で編集します。設定は自動的にiX1500に転送され、その設定の中には保存先やファイル形式などの項目も含まれており、スキャンする内容に応じてワンタッチで切り替えられます。
無線LANでの連携が非常に便利
iX1500はUSBの他、無線LANにも対応しており、アクセスポイント接続とダイレクト接続の2種類の方法でパソコンと接続します。
ほとんどの場合、家庭の無線LANに接続するアクセスポイント接続を使用する思います。iX1500を無線LANで接続すると、電源が投入されると同時に自動的に接続を検知し、パソコン側でスキャンが可能になったことを通知してくれます。
無線LANで接続した場合、複数台のパソコンが存在する場合でもプリセット毎に指定したパソコンへの保存が可能です。
iX1500を使っていて少し不満に思った点
これだけスキャンするとで少し不満に思ったところも出てきます。
実際の使用感に問題があるものではありませんし、機能的に使用しなくても問題ないものや、他の方法で対応できるものがほとんどなのでほとんど気にはしていませんが、この部分が何とかなれば良いのになぁと思った点です。
無線LANの状態によってスキャンが失敗する
無線LANの電波状態によっては動作がかなり怪しくなります。スキャンが急に遅くなったり、急にスキャンがエラー停止して継続スキャンも出来なくなります。集合住宅などでは無線LANが飛び交っているので、時間帯や家電によって接続が不安定になるようです
紙詰まりや重なり検出の時は止まった所から再びスキャンを開始できるんですが、無線LANが切断された場合も同じように継続スキャンが出来るようになればと思いました。
無線LANルーターとの相性もあるようで、ルーターを買い替えることで直る場合もあります。これらの症状がどうしても直らない場合はUSBでの接続も検討しましょう。
パソコンにログインしていないとスキャンできない
割と不満なのがこれです。サーバーライクに使っている常時起動のWindowsマシンを設置しているんですが「サーバーにScanSnapを入れておけばメインのパソコンを起動しなくてもスキャンできるじゃん!」と思い試してみたのですが、どんなに待ってもサーバーマシンとiX1500と繋がらない…。
確認するためにメインマシンのリモートデスクトップでログインしてみると接続されて、切断すると再び切断。どうやら、ScanSnapのソフトはWindowsにログインしていないとiX1500と接続できないようです。
パーソナル向けの製品でもあり、パソコン接続が想定された製品なので仕方ない事ではありますが、クラウドだけではなく、NASやサーバーでも運用しやすい仕様にして欲しい所です。
スマホアプリの機能が物足りない
他メディアでもあまり言及されていませんが、ScanSnapのアプリは「スマホに保存するだけ」な機能しか搭載していません。特に使い勝手を悪くしているのが「スマホ接続時に他のパソコンの動作を受け付けなく」してしまう点です。
スマホアプリに求められる点は、ScanSnap本体の液晶ディスプレイより細かい操作や、スキャン中の画像の表示なのではないか?と思います。
ドキュメントスキャナ選びに迷ったらiX1500で間違いなし
正直なところ、iX1500とiX500のスペックはほとんど変わっておらず、ドキュメントスキャナとしての基本的な部分はiX500で完成した感じがあります。しかし、だからといってiX1500は何も進歩していないか?と言う訳ではありません。iX1500ではユーザーの使用感と言う面で大きく進歩しています。
使いやすさの面では、パソコンを起動して、iX1500のフタを開いてScanボタンを押すだけの超お手軽な感じは、このクラスのドキュメントスキャナにはなかった操作感を実現しています。
液晶タッチパネルの搭載は、パソコン操作の煩わしい点を少なくして、スムーズに書類を電子化を実現しています。プリセットさえ決めてしまえば保存するフォルダをスキャナで決定できて、タイトルも自動で入力してくれるなど、極端なまでパソコン操作を減らすことが出来ます。
ちなみに、ScanSnap Homeで雑誌をスキャンするとそれなりのCPUパワーを必要とします。連続で何冊もスキャンしているとCPUの使用率が100%付近になることもあるため、複数の作業を行う場合は注意が必要かもしれません。