VOLTECHNO(ボルテクノ)

ガジェットとモノづくりのニッチな情報を伝えるメディア

2022年7月24日

SMARTOOOLS USB充電式リチウムイオンバッテリーを試す!乾電池と同じ1.5V出力のType-C充電池

SMARTOOOLS USB充電式リチウムイオンバッテリーを試す!乾電池と同じ1.5V出力のType-C充電池

SMARTOOOLS 単三形充電池

単三電池で動くUSBデバイスで充電池を使うために、USBで充電できる1.5V出力のリチウムイオンバッテリーを購入しました。

今回紹介するのは、中国 深セン梁光通信技術会社が販売する充電池 SMARTOOOLSシリーズです。

この電池は、一般的な乾電池と同じ1.5Vの出力仕様のリチウムイオンバッテリーで、アルカリ乾電池から置き換えられる仕様を備えた充電池です。今回は単三形を購入しましたが、同シリーズは単一から単四・角型までラインナップがあります。

この電池は専用充電器不要でUSBから充電できるので、外出時でもコンセント不要でPCやUSB充電器・モバイルバッテリーから充電できる特徴があります。

製品仕様

サイズ AA(単三電池)
外観
容量 2,600mWh
出力電圧 1.5V
充電ポート USB Type-C
充電時間 1.5~2時間
充放電サイクル 1,200回
寸法 Φ14×50mm
販売年月 2021年3月

SMARTOOOLSバッテリーの充電方法

SMARTOOOLSバッテリーは電池側面にType-Cポートがあるので、そこにType-Cプラグを挿入して充電を行います。

充電が始まると、Type-Cポートの赤色LEDが”点滅”します。充電が正常に完了すると赤色LEDが”点灯”状態になります。

仕様上の充電時間は、バッテリー残量空の状態から満充電まで約2時間です。

ちなみにこの電池はCCプルダウン抵抗の実装が中途半端なようで、USB PD充電器によるCtoCケーブル使用時においては、挿入方向によって充電できたりできなかったりします。

USB PD充電器やケーブルの相性、差し込み方によってはUSB PD充電器でも充電できる場合がある。

【注意】充電中はUSBの5Vが端子に現れる

この電池最大の欠点なのですが、USB充電中は放電端子から5Vが出力される仕様になっています。

機器から電池を取り外さなくても充電できるので、機器に装着したままのUSBプラグを挿したくなってしまいますが、USB 5Vが出力されると機器側の定格電圧を大きく超えて過電圧破壊に至る場合もあるので、必ず電池を外した状態で充電するようにしましょう。

USB充電中は出力端子にUSB出力の5Vが現れる。機器に装着したまま充電を行うと過電圧が加わって壊れてしまう場合があるので、必ず機器から外して充電する。

充電環境によっては発熱する

ある程度使用してから気付いたのですが、このSMARTOOOLSバッテリーは、特定の充電環境において電池本体の発熱量が大きくなる場合があるようです。

自身の例としては、とあるモバイルバッテリーと付属の4口充電ケーブルを使用した場合において、触れない程の発熱が発生し、充電も正しく行われていない状態になりました。

この辺りは、DCDCコンとの相性や4口ケーブル接続時の各電池残量の状態の相性などが影響してそうなので、安全を重視するのであれば発熱が起こらないUSB充電器との組み合わせを探して、普通の1口ケーブルで充電した方が良いのかもしれません。

付属の4口ケーブルは同時充電できるので便利なのだが、USB充電器によっては発熱する場合もある。ただし写真のマキタ MR008G使用時ではそこまでの発熱は無く、充電器によりけりのようだ。

放電容量は約1,800mWh、仕様値よりも少ない詐称品

仕様上のバッテリー容量は2,600mWhですが、中国ブランドの電池関連製品は容量詐称が当たり前なので、今回の電池も電子負荷に接続して容量を検証してみます。

測定機器の動作電圧の都合もあるので、2本直列の3.0V動作で容量測定を行った。降圧回路を内蔵するバッテリーだが、直列接続で電圧を上げても問題はないようだ。

バッテリー2本直列時の容量を測定した結果、容量測定値は約3,600mWhとなり、1本当たりのバッテリー容量は製品仕様よりも30%少ない約1,800mWhであることが分かりました。

電池2本直列(3.0V時)の放電容量測定の結果がこちら。測定値は約3,600mWhになった。
一本当たりのバッテリー容量は約1,800mWh。

また測定時の放電レートは0.2Cで行いましたが、それでもほんわりと電池本体が暖かくなったので、1Cを超えるような大電流放電での用途は避けた方が良さそうです。

ちなみにこのバッテリーの容量はWhで表されており、ニッケル水素電池のmAh表記とは単位が異なるので注意が必要です。この電池のmWhをmAhに換算すると、1.5V電池としては約1,200mAh・ニッケル水素電池1.2V換算では約1,500mAhになり、バッテリー容量としてはエネループよりも少なくなります。

ちなみに放電容量から内蔵リチウムイオンバッテリーの容量を換算すると、約500mAhと推測されます。

製品のコンセプトは良いのだが、用途を選ぶ電池

AmazonをはじめとするECサイトでは、USB充電式の単三電池が数多く出回っており、SMARTOOOLSも数あるブランドの中の1つです。今回SMARTOOOLSを選んだのは、公式ページが存在しており、過去には秋葉原のショップ等での取り扱い実績もあったため、中国企業の中では程度の信頼性があると考えたためです。

さて、単三・単四形状の充電池と言えば、パナソニック(旧三洋)のエネループを代表とするニッケル水素充電池が代表的です。最近のニッケル水素電池は、一昔前よりは自然放電やメモリー効果が抑えられて使いやすくはなっているものの、定格出力1.2Vの低さや専用充電器を必要とする点が煩わしく、電圧の低さから一部の製品では使用できないのが欠点でした。

今回のUSB充電器については、1.5V定格出力・USB充電機能を搭載しており、乾電池から置き換える単三形状の充電池としては理想的な仕様と言えます。サイクル寿命次第ではあるものの、4本2,500円程度の売価であれば、十分選択肢に入れられるコストパフォーマンスです。

ただしこの手の降圧DCDC回路を搭載するバッテリーには、いくつかの注意点があります。

1つ目の注意点としては、リチウムイオンバッテリーの定格3.6V出力をDCDCコンで降圧しているため電圧を常に1.5Vで出力する利点があるものの、バッテリー残量に伴う電圧降下が無いため、残量表示などの機能が働かなくなります。またDCDCコンは電源ノイズが大きくなるため、アナログ無線機器や高精度な測定機器用途にも向きません。

2つ目は、静電気・過熱等でバッテリー内部の降圧DCDCコンがショートモードで故障に至った場合、リチウムイオンバッテリーの定格3.6Vが出力され、機器を過電圧で破損してしまう点です。この辺りについては、誘導負荷や大電流機器への使用は避けた方が良いでしょう。

3つ目については、販売取り扱いが中国企業である点です。基本的に中国ブランドのEC販売品は輸入事業者の実態が不明で責任元が事実上存在しないため、製品事故や発火が発生した場合には泣き寝入りすることになります。特にこのバッテリーはPSEにも当てはまらない製品なので、使用者が可能な限り安全性に配慮して使わなければいけません。

コンセプトは良い製品なのですが、クセの強い製品なので実際に使う場合には十分配慮した方が良いでしょう。

便利な電池であることには間違いありませんが、1つ使い方を誤ると危険なリチウムイオンバッテリーであることには変わりなく、法規制や消費者保護の観点でも危うい製品なので、この手のバッテリーでなければ対応できない用途でのみ使用するのを推奨します。

筆者は単三電池で動くBluetoothデバイスに今回の電池を使用している。
パソコン周りの機器ならバッテリー切れ時でもPCから充電できるので上手く使えば利便性は高い。

まとめ

SMARTOOOLS Type-C Lithium AA 1.5V

VOLTECHNO製品評価 3.5 out of 5 stars (3.5 / 5)

USB端子搭載の1.5V出力充電池(単三形)

良い点
  • USBで充電できる
  • 専用充電器が不要
  • 定格1.5V出力
悪い点
  • USB充電時に5Vが出力される
  • 容量詐称の可能性が高い
  • 誘導負荷・大電流放電には向かない
  • 原理上電源ノイズが大きい
  • USB PDへの対応が不十分

サイズ違い 別仕様品

単1型(Dサイズ)

単2型(Cサイズ)

単3型(AAサイズ)

単4型(AAAサイズ)

Return Top