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卓上グラインダーとは?工具の特徴・選び方を解説

卓上グラインダーとは?工具の特徴・選び方を解説

卓上グラインダーとは鋼材研削・刃物の保守に使う電動工具

卓上グラインダーとは机上に設置して砥石の回転によって研削・研磨を行う電動工具です。別の呼び方では両頭グラインダーとも呼ばれます。英語圏ではベンチグラインダー(Bench grinder)と言います。

机の上に設置する定置型の研削工具で、中心モーターの両端に円盤状の分厚い砥石を装着するのが特徴の電動工具です。

大型モーターと大型砥石によって優れた研削力を持ち、鋼材の切削・鋳造品のバリ取り・刃物全般のメンテナンスに使用します。

高い研削能力で刃物全般のメンテナンスに

卓上グラインダーは金属全般の研削加工に使用できる電動工具ですが、加工する用途にはあまり使われず、主に「ほかの工具のメンテナンス」の用途で活躍します。

砥石側が定置式で刃物側を手で保持して作業を行う工具なので、高い切削能力と作業安定性による効率的な刃研ぎを行うことができます。例えば、農機具用途では鎌や金属刃の刃研ぎ、鉄工加工だとドリルビットの先端研磨、大工道具ならノミやカンナの刃こぼれの修正などに使用します。

ただし、強力な研削力故に刃角が狂ってしまったり、研削熱によって焼き入れの状態が変わってしまったりと切れ味が悪化する場合もあり、万能の刃研ぎ工具とはならないので注意しましょう。

家庭向けの卓上グラインダでは水研ぎに対応する湿式対応モデルもある
画像参考:新興製作所 ダブルグラインダー SDG-250

バフの装着で磨き仕上げにも

卓上グラインダーは砥石を装着して研削作業を行う電動工具ですが、バフを装着すれば磨き作業にも使用できます。

金属小物の汚れ落としや加工傷の除去、木材加工品のツヤだし作業を行うこともできます。

研削といし取替試運転作業者の取得を推奨

卓上グラインダーを使用する場合、「研削といし取替試運転作業者」の受講を推奨します。なぜなら、特別教育のほとんどの時間が卓上グラインダー向けの講習に充てられているためです。

DIY用途や一人親方の場合、この特別教育を受けていなくても法的な問題はありませんが、卓上グラインダーの砥石交換はディスクグラインダーやハンドグラインダーの砥石交換作業と比較すると、砥石のバランス取りやレストの位置調整など交換手順が大きく異なります。

自己流で砥石交換を行うとバランス調整不十分で振動が過大になるだけではなく、砥石の破裂・機械の故障等に繋がるリスクも高まります。DIY用途であっても卓上グラインダーを使うのであれば、研削といし取替試運転作業者の特別教育を受けるようにしましょう。

側面を使った作業は厳禁、そのほかの作業指示も必ず守る

卓上グラインダーの砥石は円周外側の使用面で研削を行います。工具横のカバーを外せば側面で研削を行うこともできますが、砥石側面を使用した研削作業は行ってはいけません

これは、側面を使用することで砥石の中央から減ってしまうことによる強度低下や側面押しつけによる応力による内部割れで破裂してしまう可能性が高くなるためです。砥石側面の使用は労働安全衛生規則 第一章 第二節工作機械 第120条で禁止と明確に記載されています。

ただし、ノコ刃等の側面部を使わないと研磨が難しい作業に関しては、ツールレストとのこ刃専用砥石で側面研磨作業に対応できる場合もあります。

マキタ A-47915を使用した時のノコ刃研磨図

先程の研削といし取替試運転作業者も合わせ、自己判断で卓上グラインダーを使用するのは非常に危険です。使用面を守るのはもちろんのこと、卓上グラインダーや砥石が指示する使用方法も必ず守るようにしましょう。

卓上グラインダーの選び方・カタログスペックの見方

  • 消費電力
    消費電力が高いほどモータ出力が高く、高い研削能力を持ちます。
  • 砥石径
    砥石サイズの直径によって75, 125, 150, 205, 255, 305mmの種類があります。205mm以上の砥石径ではバランス調整が必要になります。
  • 回転数
    回転数は砥石径によって定められているため、製品ごとの回転数の違いはほとんどありません。モーター構造上、地域によって回転数が変わるため、使用する砥石の指定回転速度に注意しましょう。

卓上グラインダーおすすめ製品5選

ここからは、DIY・刃物メンテナンス用のおすすめベンチグラインダーを紹介します。

新興製作所 ベンチグラインダー SHG-150N

DIY向けの電動工具を展開する新興製作所のベンチグラインダーです。

砥石・刃物ガイド等が一式付属し、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。DIYや軽作業用途なら一番におすすめできるモデルです。

砥石径も150mmと使いやすいモデルなので、気軽に導入できる1台と言えるでしょう。

消費電力 150W 砥石径 150mm
回転数 2950/3500min-1    
寸法 重量 6.0kg

新興製作所 ダブルグラインダー SDG-250

新興製作所
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DIY向けの電動工具を展開する新興製作所の湿式対応ベンチグラインダーです。

低価格帯の卓上グラインダーでありながら、水研ぎと乾式研削に対応し荒仕上から刃物仕上げまでこれ1台で対応できます。

農機具から包丁・ハサミ・作業刃物まであらゆる刃の刃研ぎに対応できる心強い製品です。

消費電力 250W 砥石径 150mm
回転数 2950/3500min-1    
寸法 重量 8.4kg

E-Value ミニベンチグラインダー EBG-75M

イーバリュー(E-Value)
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DIY向けの電動工具ブランドを展開する藤原産業 E-Valueブランドの卓上グラインダーです。

75mm径の小型砥石を装着し、机の片隅に置いて使用できる小型・軽量モデルです。

150mm砥石を装着する卓上グラインダー程の研削能力はありませんが、金属装飾品の仕上げやプラスチック・木材小物のツヤ出しなど手芸用途なら十分使用できるスペックです。

消費電力 50W 砥石径 75mm
回転数 2,850/3,450min-1    
寸法 165×130×155mm 重量 1.8kg

マキタ 卓上グラインダ GB602W

マキタ(Makita)
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電動工具メーカー マキタが販売する家庭向けの卓上グラインダーです。

拡大鏡付きのアイシールド・豆電球の手元照射・ノコ刃研磨用刃物台など使い勝手に優れているのが特徴です。マキタのアフターサポートの強さもあるので、長年使うにはぴったりの1台です。

クーラントトレイもあるので、冷却用の水を入れて刃物焼けを防止もできます。

消費電力 50W 砥石径 75mm
回転数 2,850/3,450min-1    
寸法 165×130×155mm 重量 1.8kg

HiKOKI ベルトグラインダー BGM-50

プロ向け電動工具ブランド HiKOKIの砥石付きベルトサンダーでプロ向けモデルの製品です。

卓上グラインダーの機能とベルトサンダーを併せ持ったモデルなので、とぐ・けずる・みがく・あけるの1台4役の作業が行えます。

頻繁に大型刃物のメンテナンスを使う方におすすめのベルトグラインダーです。

消費電力 210W ペーパー幅 50mm
ベルト速度 50Hz : 19m/s
60Hz : 23m/s
砥石回転数 3,000min-1
砥石径 150mm    
寸法 367×356×204mm 重量 9.5kg

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