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マルチインパクトとは?工具の特徴・選び方を解説

マルチインパクトとは?工具の特徴・選び方を解説

ドリルとインパクトの機能を持つ電動工具

画像引用:マキタ TP141Dカタログ

マルチドライバーとは、インパクトドライバとドライバドリル両方の機能を搭載する電動工具です。メーカーによって名称が異なり、4モードインパクトやマルチインパクトとも呼ばれています。

1つの電動ドライバーの中に、ネジの締結を行う「インパクトドライバ」と穴あけを行う「ドライバドリル」の両方の機能を搭載しているので、面倒な電動工具の持ち替えや運搬重量を減らせる効率的な製品として注目された電動工具でした。

マルチドライバーはニッカドバッテリー後期~リチウムイオンバッテリー黎明期の間に盛んに使われていましたが、現在ではあまり使われることのない電動工具となってしまいました。

今回は、マルチドライバーについて解説しましょう。

インパクトやドライバドリルの高性能によって器用貧乏化

インパクトやドライバドリルはそれぞれの性能向上が著しく進み、マルチドライバーでは追いつけないほど性能差がついてしまいました。

例えば、現在のインパクトドライバは全長115mm前後で最大締付トルクは180N・mにも達します。しかし、マルチドライバーは全長170mmと大きく締付トルクもインパクトドライバに及びません。同じように、ドライバドリル機能でも主力モデルのドライバドリルとマルチドライバーの穴あけ能力には2倍近い能力差があります。

(左)4モードインパクト TP141Dの全長は171mm
(右)最新充電式インパクト TD172Dの全長は114mm

耐久性に関しても、1つの製品の内部に複数の部品を内蔵しているため故障率が高く、負荷の高いコーチボルトやボルトの締結やホールソーのような高負荷の作業に対して使うのは最適ではありません。

単機能の電動工具と比較して性能差が大きくなってしまったマルチドライバーは、インパクトドライバー未満・ドライバドリル未満の性能でありながら重量・寸法共に大きい取り回しの悪い製品として需要が少なくなってしまいました。

「合う人には合う」万能の電動ドライバ

マルチドライバーはプロ向けの本格的な用途で需要が無くなってしまっただけで、DIYや一部のプロ用途では今尚高い需要があります。

木材のねじの締結から穴あけなど幅広い作業を行う日曜大工や、機器の簡単な取り付け工事を行うような設備業のような使い方であれば、両方の機能を程よく使うマルチドライバーの強みを生かすことができます。

現在のマルチドライバーの立ち位置としては、両方の機能を程よく使う方向けの電動工具と言えるでしょう。一方、インパクトとドリルそれぞれの機能単体で使う用途には向かないので注意が必要です。

マルチドライバーの選び方・カタログスペックの見方

  • 機能
    インパクト・ドリル機能など何の機能を搭載しているかを表す。製品によっては振動ドリルやクラッチ機能なども備える。
  • 全長
    全長が短い方が使い勝手に優れ取り回しやすい。マルチドライバーは全長が長い製品が多い
  • 重量
    軽い方が使い勝手に優れ取り回しやすい。マルチドライバーはインパクトとドライバドリルの中間くらいの重量。

マルチドライバーおすすめ製品4選

マキタ 充電式4モードインパクトドライバ TP141D

マキタが展開する充電式の4モードインパクトドライバ TP141Dです。

インパクトとドリルの機能のほかに振動ドリル機能を搭載し、締結作業に加え木工・鉄工・石工と幅広い穴あけ作業に対応できるドライバーです。

高負荷用途で壊れやすいため、スペック上の能力仕様と取扱説明書の指示を守り、使い方にも常に注意が必要なデリケートな製品です。

機能 インパクト・振動・ドリル・クラッチ 発売年 2011年
最大締付トルク 150N・m 鉄工ドリル穴あけ Φ10mm
木工穴あけ Φ21mm コンクリート穴あけ Φ8mm
寸法 171×79×250mm 重量 1.7kg

パナソニック 充電マルチインパクト EZ75A9

パナソニックの充電式のマルチインパクトドライバ EZ75A9です。

マルチドライバーの中でも耐久性に優れるモデルで、鉄工φ33mm・木工Φ35mmの大型穴あけにも対応できます。

全長が大きくインパクト時の締付トルクも低いものの、本格的なプロ向け用途に唯一耐えうるマルチドライバーです。

機能 インパクト・ドリル・クラッチ 発売年 2019年
最大締付トルク 135N・m 鉄工ドリル穴あけ Φ33mm
木工穴あけ Φ35mm コンクリート穴あけ
寸法 198×61×242mm 重量 1.9kg

HiKOKI 電子パルスドライバ WM18DBL

工機HDが展開する電動工具ブランドHiKOKI(ハイコーキ)のマルチドライバーです。

このマルチドライバーは他社方式で採用されるメカ構造による切替ではなく、モータ制御だけでインパクトとドリル機能の切り替える独自方式を採用しています。

インパクト時はモーターの正転と逆転を高速で繰り返す打撃(電子パルス動作)によって、静音インパクト相当の静かな作業音を実現しています。

モーター開発に強みを持つ日立工機の独自技術を盛り込んだ意欲作でしたが、ユーザーニーズと実仕様の乖離、当時のモータ技術の限界も含め、登場が早すぎた製品でした。

機能 静音インパクト・ドリル・クラッチ 発売年 2010年
最大締付トルク 30N・m 鉄工ドリル穴あけ Φ10mm
木工穴あけ Φ21mm コンクリート穴あけ
寸法 198×61×242mm 重量 1.8kg

HiKOKI 電子パルスドライバ WM10DBL

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HiKOKI(ハイコーキ)
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工機HDが展開する電動工具ブランドHiKOKI(ハイコーキ)の10.8Vマルチドライバーです。

先述のWM18DBLと同じ電子パルスの採用により圧倒的な低騒音67dBを実現しています。

別売の通信アダプタを使えば動作モードの選択・書き換えもできて、10.8Vモデルでブラシレスモータも採用した先進的な製品でしたが、本体価格があまりにも高く、製品コンセプトそのものが時代に早すぎた悲運の名機と言える製品です。

機能 静音インパクト・ドリル・クラッチ 発売年 2012年
最大締付トルク 30N・m 鉄工ドリル穴あけ Φ10mm
木工穴あけ Φ21mm コンクリート穴あけ
寸法 198×61×242mm 重量 1.8kg

マルチドライバーまとめ

マルチドライバー(4モードインパクト,マルチインパクト等)

VOLTECHNO電動工具評価 3 out of 5 stars (3 / 5)

インパクトドライバとドライバドリルの機能を併せ持つ電動ドライバー。

良い点
  • 1つの電動工具でインパクトとドリルが使える
  • 持ち替えの手間が減る
悪い点
  • 性能が低め
  • 全長が大きい
  • 耐久性が低く高負荷作業に不向き
  • 各社新製品開発に消極的

この記事を書いた人

VOLTECHNO編集部
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