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パイプソーとは? 工具の特徴や製品を解説

パイプソーとは? 工具の特徴や製品を解説

パイプソーとはチェーンバイス搭載のパイプ切断用レシプロソー

パイプソーとは、固定用のチェーンによってパイプを固定できるようにしたパイプ切断に特化したレシプロソーです。

参考製品:マキタ 充電式レシプロソーJR003G

構造としてはレシプロソーブレードを装着するレシプロソーと同じ電動工具です。レシプロソーが搭載するシューの替わりにパイプを固定するチェーンバイスが取り付けられており、てこの原理の要領でブレードをパイプに押し当てられるので作業者の負担が小さく、効率よく切断作業が行えるのが特徴です。

ダイヤモンドブレードを使用することでモルタルライニング鋳鉄管のような難材料の切断にも対応でき、現場での切断作業で従来方式として用いられた大型のエンジンカッターやディスクグラインダによる切込み割りよりも作業性に優れているため、鋳鉄管で既設された水道インフラの更新工事や工場設備における既設管撤去工事などに用いられます。

画像引用:ダイヤモンド湾曲セーバソーブレード|HiKOKI

また、パイプソーに使用するブレードは高い切断能力と耐久性を両立するため1.6mm厚のブレードを使用しています。

通常の0.9~1.3mmのブレードよりも厚いため、普通のレシプロソーにパイプソー向けのブレードは装着できない可能性があります。また、パイプソーに通常のレシプロソーブレードを装着する場合には、標準付属とは別のブレードホルダを使用しなければいけません。

パイプソーの特徴

  • チェーンバイスでパイプを固定して切断する電動工具
    チェーンバイスで切断物を固定できるので、敷設済みのパイプのような固定された材料を容易に切断できます。
  • 僅かなスペースで金属管を切断できる
    往復運動の切断工具なので、ディスク状の回転切断工具と比べて工具の大型化や作業スペースが抑えられ手軽に作業が行えます。
  • 通常のレシプロソーとは対応ブレード厚みが異なる
    パイプソーはレシプロソーと同じくブレードの往復運動で切断を行う電動工具ですが、パイプソーは1.6mm厚みのブレードを使用します。一般的な0.9~1.3mm厚のレシプロソーブレード装着する際には注意が必要です。
  • ダイヤモンドブレードを装着すれば鋳鉄管の切断にも対応する
    ダイヤモンド砥粒が付いたレシプロソーブレードを装着すれば、鋳鉄管などの難切断材料の切断にも対応します。
  • 通常の切断作業も可能だがシューが無いので安定性には欠ける
    パイプソーは一般的なレシプロソーと同じ電動工具なので、チェーンバイスを外せば普通のレシプロソーとしても使用できます。ただし切断面に当てるシューが無いので切断時の安定性は低下します。

パイプソーを選ぶポイント

パイプソーはパイプ切断に特化した電動工具なので、金属管やコンクリート管など高い切断能力を求められており、金蔵館200Aの切断能力を持ったパイプソーが多く販売されています。

  • バッテリー式は手軽だが1充電での切断数は少ない
    バッテリー式のパイプソーは電源が取れない環境でも使用できる手軽さが魅力ですが、鋳鉄管の切断は負荷が大きく、1充電で3~10カットの作業量しかありません。何本も切断する場合には予備のバッテリーか電源コード式モデルが必須です。
  • 200A以下モデルではバッテリー式か電源コード式
    配管径が200A (Φ220mm)以下であれば、チェーンバイスをワンタッチで固定できるパイプソーが使用できます。
    このクラスでは、リチウムイオンバッテリーで動作するモデルや電源コード式などがあるので、電源環境に応じて製品を選定できます。
    また、バッテリーを用いたコードレス式のパイプソーは防水に対してもある程度耐えられる構造となっているので、水道管用途ではバッテリー式がおすすめです。
  • 200Aを超えるパイプ切断には大型パイプソー
    配管径が200Aを超えるパイプ切断に関しては、チェーンバイスの大型化や専用ブレードが必要になるため、パイプソー本体も大型モデルが必要になります。チェーンバイスもレンチを使ったボルト固定のモデルとなります。

パイプソーの基本的な使い方

パイプソーはレシプロソーと同じ電動工具ですが、チェーンバイスを使ってパイプを固定する工程があります。メーカー別に構造は若干異なりますが、基本は下記のような手順で使用します(参考:マキタ JR003G)

1. Vベースをパイプに取り付けます

2. リーフチェーンをパイプに巻き付けて、締め付けてパイプを固定します

3. ブレードを装着したパイプソーをパイプに当てて、テコの原理の要領で力を加えて切断します。

パイプソー 製品ピックアップ

マキタ 充電式レシプロソー JR003G

マキタ充電式モデルのパイプソーがJR003Gです。マキタはレシプロソーと分類していますが、チェーンバイスを取り付けて使用するため実質的にはパイプソーです。

40Vmaxバッテリによる防水保護超級IPX6に適合するパイプソーのため、敷設された水道管の撤去工事などにも活躍できるモデルです。

製品名 JR003G
切断能力
チェーンバイス使用時
モルタルライニング鋳鉄管:φ169mm
鋳鉄管:φ220mm
鋼管、ステンレス管:φ220mm
切断能力
チェーンバイス非使用時
パイプ:Φ130mm
木材:255mm
ストローク径 2,200min-1
ストローク長 26mm
バッテリー 40Vmax
重量 4.5kg
寸法 583×103×152mm
本体価格 108,000円(税抜)
販売年月 2025年08月

HiKOKI コードレスパイプソー CR36DYA

HiKOKIのコードレスパイプソーがCR36DYAです。

CR36DYAは4モード切替機能を搭載しており、モード毎に定められた回転制御のステンレス/オート/低速/高速で切り替えることにで多彩な作業に対応します。ステンレスモード時ではブレード寿命が約1.5倍になり、ステンレスパイプ切断が多い方にオススメなパイプソーです。

HiKOKIマルチボルトバッテリーは防水性能は持たないものの、CR36DYAは水や粉じんからバッテリーを保護する保護カバーを備えており、水回りの作業現場でも安心して使用できます。

製品名 CR36DYA
切断能力
チェーンバイス使用時
モルタルライニング鋳鉄管:φ165mm
鋳鉄管:φ216mm
鋼管、ステンレス管:φ216mm
切断能力
チェーンバイス非使用時
ストローク数 ステンレス:0~1,000min-1
オート:0~1,000min-1
低速:0~1,200min-1
高速:0~2,000min-1
ストローク長 26mm
バッテリー マルチボルト
重量 4.8kg
寸法 616×165×115mm
本体価格 105,100円(税抜)
販売年月 2022年08月

HiKOKI パイプソー CR22Y

HiKOKIの電源コード式パイプソー CR22Yです。AC100Vモデルです。

鉄管の切断はバッテリーの消費が激しいので、残量を気にすることなく連続作業するには電源コード式のパイプソーが必須です。バッテリーで作業を行うと1充電で5カット前後しか切断できませんが、電源コード式では電池残量を気にすることなく切断が可能です。

製品名 CR22Y
切断能力
チェーンバイス使用時
モルタルライニング鋳鉄管:φ165mm
鋳鉄管:φ216mm
鋼管、ステンレス管:φ216mm
切断能力
チェーンバイス非使用時
ストローク数 800~2,000min-1
ストローク長 26mm
消費電力 1,150W
動作電源 AC100V
重量 4.1kg
寸法 491×106×101mm
本体価格 102,100円(税抜)
販売年月 2022年8月

ASADA パイプソー 200SP

アサダ
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配管機械の製造販売を行うアサダ株式会社のパイプソーです。

電源コード式の200A対応モデルとしては高いモータ出力を持つ1,300Wのハイパワーモータを搭載しながらも本体重量は3.9kgであり、電源コード式としては軽量ボディとなっているのが特徴です。

ストローク数も低速側が700min-1で切断を開始するので、切り始めの振動を抑えることができ作業性にも優れています。

製品名 200SP
切断能力
チェーンバイス使用時
最大Φ216mm
切断能力
チェーンバイス非使用時
ストローク数 700~2,060min-1
ストローク長 26mm
動作電源 AC100V
重量 3.9kg
寸法
本体価格
販売年月

ASADA パイプソー 400SA

アサダ
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400A(Φ425mm)の配管切断に対応するパイプソーです。

このパイプソーはエアモータで動作するパイプソーで専用600mmのブレードに対応しており、最大400Aの鋳鉄管を切断できるモデルです。

コンプレッサーや専用ブレードが必要なため、これまで紹介したパイプソーとは異なる製品ですが、大径パイプの切断にパイプソーが必要な場合にはほかに選択肢の無いパイプソーとなります。

製品名 400SA
切断能力
チェーンバイス使用時
最大Φ425mm
切断能力
チェーンバイス非使用時
ストローク数 40~400min-1
ストローク長 57mm
動作電源 常圧エア
重量 21kg
寸法
本体価格
販売年月 2018年3月

レシプロソー 製品ピックアップ

製品名 マキタ JR003G HiKOKI CR36DYA HiKOKI CR22Y アサダ 200SP アサダ 400SA
外観
製品解説リンク
特長 マキタ40Vmaxバッテリの防水対応で耐久性に優れ充電式としては小さく取り回しに優れる 4モード切替で多彩な切断モードに対応。バッテリーを保護するカバーを備えており防水面も対応 CR36DYAを電源コード式にしたAC100Vモデル。 電源コード式モデルながらも比較的軽量でモータ出力が高いパイプソー 最大400Aの切断作業に対応するパイプソー。エアモータ式
能力 モルタルライニング鋳鉄管:φ169mm
鋳鉄管:φ220mm
鋼管、ステンレス管:φ220mm
モルタルライニング鋳鉄管:φ165mm
鋳鉄管:φ216mm
鋼管、ステンレス管:φ216mm
モルタルライニング鋳鉄管:φ165mm
鋳鉄管:φ216mm
鋼管、ステンレス管:φ216mm
最大Φ216mm 最大Φ425mm
モータ ブラシレス ブラシレス ブラシ ブラシ エア
最大ストローク数 2,200min-1 2,000min-1 2,000min-1 2,060min-1 400min-1
ストローク幅 26mm 26mm 26mm 26mm 57mm
動作電源 40Vmax マルチボルト AC100V AC100V 常圧エア
重量 4.5kg 4.8kg 4.1kg 3.9kg 21kg
寸法 583×103×152mm 616×165×115mmm 491×106×101mm
本体価格 108,000円(税抜) 105,100円(税別) 102,100円(税別)
販売年月 2022年1月 2020年3月 2018年7月
2018年3月
購入リンク

パイプソーまとめ

パイプソー

チェーンバイスを備えたパイプ切断に特化したレシプロソー

良い点
  • チェーンバイスでパイプ切断に特化
  • 専用ブレードで鋳鉄管の切断に対応
  • 敷設管の切断作業が容易
悪い点
  • 普通のレシプロソーとしては長い

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