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2020年4月28日

ソフトインパクトとは/締結工具【電動工具解説】

ソフトインパクトとは、インパクトドライバの打撃構造にオイルユニットを搭載した、打撃音の小さなインパクトドライバです。集合住宅での内装工事や夜間での作業など環境音への配慮が必要な現場での締結作業に使用する電動工具です。

ソフトインパクトとは「打撃音が小さい」インパクト

HiKOKI WHP18DBL カタログ

ソフトインパクトとは、一般的なインパクトの打撃機構部にオイルユニットを搭載したインパクトドライバです。広義にはインパクトドライバの1分類に入る電動工具ですが、実際の用途ではインパクトドライバが使用できない現場で使用します。

静音インパクト動作原理
出典:日立工機 WHP18DBL製品カタログ

ソフトインパクトは金属ハンマとアンビルに代わる打撃機構として、オイルによる油圧で打撃を実現しています。

油圧で打撃するソフトインパクトは最大締付トルクが低く、ボルトや長ネジの締め込みには適しませんが、打撃時の動作音が非常に低いため集合住宅や賃貸オフィスなどのリフォーム工事などに使用されます。

ソフトインパクト(静音インパクト)使用例
出典:マックス 充電式静音インパクトドライバ

ソフトインパクトは電動工具メーカー各社で呼び方が異なります。一昔前はオイルパルスドライバで統一されていましたが、打撃構造が変わりここ数年で「ソフトインパクト」や「静音インパクト」と表記するようになりました。

  • マキタ:ソフトインパクト
  • HiKOKI:静音インパクト・オイルパルスドライバ
  • MAX:静音インパクト
  • Panasonic:オイルパルスドライバ

カタログ上の締め付けトルクは低いが、締付け速度は十分

ソフトインパクトは締付けトルクが最も高い製品でも40N・mと低く、インパクトドライバよりも締結能力が低めです。しかし、実際のねじ締め作業でトルク値の差ほど締め付け速度が遅くなることはありません。

油圧による打撃は高い締付けトルクこそ出せませんが、その分打撃時間が長くなるため、ネジへの締め付け力が加わる時間も長くなりねじ締めのスピードは速くなります。そのため、一般的な長さの木ネジであればインパクトドライバより少し遅い程度のねじ締めスピードになります。

ただし、あまりにも固い材料や太径ネジのコーチスクリューなどでは、極端にねじ締めスピードが遅くなるため注意が必要です。

ソフトインパクト特有の油圧トラブルに注意

ソフトインパクトは打撃機構にオイルを使用しているため、油圧機構特有の欠点を抱えています。極端な低温化や、高温状態で連続使用するとモーター故障の原因となるため注意が必要です。

静音インパクト 注意書き
引用:日立コードレス静音インパクトドライバ WHP18DBL取扱説明書

オイルユニットを使わない「電子パルスドライバ」


HiKOKI(ハイコーキ) 旧日立工機 電子パルスドライバ マルチボルトシリーズ WM18DBL(2LXPK) アグレッシブグリーン 急速充電器・ケース付

ソフトインパクトに類似する製品として、日立工機(現HiKOKI)からオイルを使用していない「電子パルスドライバ」が販売されています。

電子パルスドライバはオイルユニットの代わりにモーターの回転制御で打撃(締付け)を行うインパクトです。更に、打撃動作だけではなく、電子クラッチやドリルモードなどの多彩な機能を搭載しているのが特徴です。

電子パルスドライバはモーターを逆回転させる制御を行うため、打撃動作時の効率が非常に悪く、モーターの過熱による保護停止しやすいのが欠点です。近年は最新モデルも開発されておらず、製品重量や重心バランスも悪いため器用貧乏な製品になっています。

日立工機(現HiKOKI)から販売されている10.8Vの電子パルスドライバ「WM10DBM」
販売当時としては珍しい10.8Vブラシレスモーターに加え、動作モードの書き換えなど意欲的な製品だったが後継製品は展開されなかった。同社のスライド10.8Vシリーズの展開により微妙な立ち位置に

各社ソフトインパクト(静音インパクト)のおすすめ製品

日本の電動工具市場ではリフォームや住宅密集地での需要も高く、電動工具各社がソフトインパクトドライバを販売しています。

従来のオイルパルスは油圧だけを使用していましたが、2014年に販売されたマキタのソフトインパクト「TS141D」を皮切りに、オイルパルスと金属ハンマの打撃を組み合わせた新方式の打撃構造が普及しています。

各社ソフトインパクト(静音インパクト)を販売していますが、性能的には大きな差が無いため、手持ちの対応バッテリーで製品を選ぶ事になります。

マキタ 充電式ソフトインパクト「TS141D」

製品名TS141D (18V)
TS131D (14.4V)
最大締付トルク40N・m
締付能力小ネジ:M4~M8
普通ボルト:M5~M8
高力ボルト:M5~M6
木ネジ:22~125mm
騒音値77dB (TS141D)
75dB (TS131D)
寸法全長135mm
質量1.5kg (TS141D)
1.3kg (TS131D)
防水APT

2014年に販売された、金属打撃を併用する業界初のソフトインパクトがマキタの「TS141D」です。

TS141Dはボルト止めに最適な「ボルト・テクスモード」を搭載しており、高速回転と低速回転を自動で切り替える機能が特徴です。

販売から6年が経過しており騒音値では他社と比べると高く見えますが、通常のインパクトよりは音も静かで、締め付けトルクや他社より高く全長も他社品相当なのでまだまだ現役で使用できる製品です。

HiKOKI コードレス静音インパクト「WHP18DBL」

製品名WHP18DBL (18V)
WHP14DBL (14.4V)
最大締付トルク33N・m
締付能力小ネジ:M4~M8
普通ボルト:M5~M10
木ネジ:22~120 mm
テクスねじ:ø 3.5~ø 6 mm
騒音値70dB
寸法136mm×237mm
質量WHP18DBL 1.6kg
WHP14DBL 1.5kg
防水IP56

日立工機(現HiKOKI)から販売されているのが、静音インパクトWHP18DBLです。

最大締め付けトルクこそマキタのTD141Dより低くなっていますが、騒音値は70dBと業界最低の騒音値です。

現在はマルチボルトバッテリー付属仕様の(2LXPK)が販売されています。

MAX 充電式静音インパクト「PJ-SD102」

製品名PJ-SD102
最大締付トルク33N・m
締付能力小ネジ:M4~M8
普通ボルト:M5~M10
木ネジ:22~120 mm
金物ネジ:30~75mm
騒音値71dB
寸法154mm×238mm
質量1.5kg
防水MAX IEGS

ソフトインパクトの中で最も新しいモデルが、2018年にMAXから販売された「PD-SD102」です。

PD-SD102はバッテリー残量が減っても最後まで締付けスピードが落ちにくいのが特徴です。また、MAXの独自環境試験「MAX IEGS」対応製品であり、水没試験や粉じんにも強いのが特徴です。

製品本体にも1年の保証期間が付いているため、最も信頼性の面では最も評価の高いソフトインパクトです。

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