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トーションビットとは先端が割れにくいビット
トーションビットとはくびれを持たせてビット先端の耐久性を向上させたビットです。
プラスビットは先端が割れやすい形状のビットなので、堅木や金属材などの固い材料に強力な締付トルクを持つ電動工具を使用するとビット先端が変形したり割れてしまうことがあります。
そこで過度な衝撃を抑えるための衝撃を和らげる部分を設け、先端を破損しにくい構造を持たせたのがトーションビットです。
トーションビットは六角軸6.35mmよりも細い部分を持ち、この細い部分がネジ頭が着座した時の衝撃を和らげるバネのような働き(トーション効果)によって、プラスビット先端の脆い部分を防ぐ役割を果たします。
折れ・曲がりやすいので注意が必要なビット
トーションビットはトーション部分を持たせることでビット先端の割れを防いでくれるビットですが、細い部分を持つため通常のビットに比べて折れや曲がりに弱い欠点があります。
普通に使っていれば問題になるものではありませんが、ビットを踏みつけてしまったり資材の下敷きにしてしまうと曲がって芯がずれてしまう場合もあるので取り扱いには注意しましょう。
段付き・先端スリムビットにもトーション効果あり
一般的に、トーションビットは中腹が窪んだ両頭ビットを指しますが、段付きビットや先端スリムビットにもトーション効果があります。
段付きビットは細い部分が通常のビットより長いので、通常のトーションビットよりもトーション効果が大きくビットの先端が長持ちする特徴があります。
先端スリムビットの中にはトーションビットを兼ね備えた製品もあり、トーションビットよりも大きなトーション効果を持っています。
トーション効果で打撃のタイミングがズレる場合も
ビット先端の耐久性を伸ばしてくれるトーションビットですが、トーション効果によってインパクトの打撃のパワーが伝わりにくくなるため締付トルクやスピードが変わってしまう欠点もあります。
インパクトドライバからすれば、トーションビットは先端にバネを付けたような状態になるため、ハンマーによる打撃がビスまで上手く伝わらなくなってしまい、締付スピードが遅くなったり(逆に早くなることも)回転エネルギーが作業者に跳ね返ってきてフィーリングが変わってしまう場合があります。
インパクトドライバの使い勝手を大きく変えてしまうわけではありませんが、トーション効果は極僅かながらフィーリングは変わってしまうので、違和感がある場合には自分に合うトーションビットを探してみましょう。
トーションビットの選び方・カタログスペックの見方
- 対応電圧
一部のビットには「18V対応」や「36V対応」など充電式電動工具の対応電圧を表記しているビットもありますが、この表記は拡販上の都合で記されているものなので、対応電圧外のビットを使用しても問題ありません。
トーションビットピックアップ
くびれの部分に個性を出しやすいのでさまざまな特徴を備えたトーションビットもありますが、実際に打ち込むビスの形状や材料の固さによって最適なトーション効果の大きさは変わり、トーション効果そのものについても定量的に判別する方法がありません。
相場的にも1本200~300円程度の価格帯の製品が多く、価格差による違いもそこまで大きくありません。
ビットに関しては、あまり神経質にならずフィーリングで気に入った製品を選ぶのがおすすめです。
トーションビットは色々なメーカーから販売されているので、ここでは入手性に優れ人気も高いビットをいくつか紹介します。
ANEX 龍靭ビットシリーズ
トーションビットで最も知名度の高い製品がアネックスの龍靭ビットです。
ビット中腹部分のプラスチックによってビットが折れた時の落下を防止できるのが特徴で、独自性や審美性が評価され2014年にグッドデザイン賞を受賞しています。
取扱い販売店も多く手軽に入手できるので、トーションビットを使ってみたいと考えている方にもおすすめの一本です。
ANEX ウィングカラートーションビット
アネックスのもう一つのトーションビットシリーズがウィングカラートーションシリーズです。
通常のトーションビットとは異なる三枚刃構造が特徴でトーションビットながらも耐久性に優れているのが特徴です。
トーション効果は少し弱いものの、トーションビットのフィーリングが苦手な方におすすめです。
サンフラッグ テーパースリムビットシリーズ
サンフラッグ(新亀製作所)が展開するトーションビットがテーパスリムエックスビットです。
トーション部分のテーパー形状が特徴で鉄工関連の作業に最適なビットです。
取扱店舗も多く入手性にも優れているのが特徴です。
Wera 851/23R BTH IMPDC
ドイツの工具メーカーWera(ヴェラ)にはダイヤモンドコーティングを施したトーションビットを販売しています。
先端部分にダイヤモンド粉を使用することで、マグネットなしでも強力な食い込みを実現しています。
高価なビットですが、高価な化粧材に使用する時などの「ここぞ」という時に1本持っていると心強いトーションビットです。
ベッセル 真トーションビット RT
最後に紹介するのが、ベッセルのトーションビット RTです。これは筆者が好んで使用しているトーションビットです。
独自のトーション構造や装飾のような目立つ特徴はありませんが、先端形状が良く食いつきにも優れたビットです。
メッキなどのコーティングが無いため錆びやすいのが欠点ですが、程よく使えて程よいタイミングで交換できるので、気兼ねなく使えるビットです。