VOLTECHNO

ガジェットとモノづくりのニッチな部分を伝えるメディア

2021年9月1日

システムケースとは?各社シリーズを解説

システムケースとは?各社シリーズを解説

システムケースとは?

システムケースとは、マキタのマックパックやHiKOKIのシステムケースに代表される積み重ね(スタック)できるケースです。

積み重ねて連結できる工具用ケースを表す名称は、ブランド名や商標によって呼び方が異なるため統一された呼び方はありません。そこで便宜的に当サイトの中では「システムケース」として呼び方を統一します。

今回の記事では収納や移動時の利便性を上げるシステムケースのメリットやデメリットについて解説します。

システムケースのメリット

積み重ねて一度に工具・資材を運べる

通常は、工具や資材の入ったケースを車から個別に運搬したり台車に乗せたりして運び出しを行いますが、スタックケースなら連結させることで一度に運搬が出来ます。

スタックケースはスタックケース専用の台車やキャスターも装着できるので、それらを使えばより効率的に運搬ができます。

収納スペースを有効活用できる

システムケースはシリーズでサイズが規格化されたケースなので、設置・収納スペースを有効活用しやすい特徴があります。

普通の電動工具ケースなどは、製品によってケースのサイズが異なるため「新しい電動工具に買い替えたら今まで入っていた収納棚に入らなくなった」「大きさが変わって積み重ねられなくなった」などのトラブルもありますが、システムケースに収納すれば収納棚を調整する必要もなく工具や資材を効率的に収納・運搬できます。

また、現場へ移動する車の工具資材を頻繁に入れ変える方などは、用途別にシステムケースに収納すれば、効率的に工具資材を積み替えできます。

見た目が良い

システムケースはデザインが統一されているので、収納時の見た目がすっきりします。

現場の移動に使うバンの車内をすっきりとさせたい方や、工具資材保管棚の色合いを合わせたい方などにはシステムケースの収納が最適ですです。

システムケースはメーカー・ブランド毎に同じような色合い・デザインで展開されているため、統一感を出すことができます

システムケースのデメリット

収納や運搬の面だと便利に見えるシステムケースですが、実際に使用すると欠点も多かったりします。

中身の取出しが面倒

ほとんどのシステムケースは、積み重ねた状態での開け閉めに対応していません。

積み重ねた状態だと蓋の開け閉めが出来ないので、中身を取り出すには「連結を解除して上に乗せたストレージをどかして蓋を開ける」手間が必要です。

連結は大きなメリットですが、作業場所を細かく移動しながら色々な工具資材を取り出すような用途には向きません。

何個も積み重ねて運搬する機会が少ない

ほとんどの方が車の中にさまざまな資材工具を詰め込んで、不足した資材を補給したり、現場で使うだけの資材取り出すような形で必要最低限の荷積み・荷下ろしをしていると思います。

システムケースは連結がメリットですが、連結させ過ぎると重く大きくなり運びにくくなります。

キャスターやキャリーを使ってシステムケースを何台も連結させて運搬できる規模の現場は少なく、何個ものシステムケースを積み下ろすために必要なパワーゲートを搭載する現場車もさほど普及していません。

実際に車に積み込むことを考えると手で持ち運べる2~3個の連結が現実的なところで、これくらいのなら普通のケースと台車の組み合わせでも十分代用できます。

仕切り・インレイの種類が少ない

システムケースは内部に仕切りが無いため、工具や資材の収納には自分で仕切りを用意しなくてはいけません。

ケミカル類やネジボルトなら小分けしたケースや個装箱ごと入れてしまえば良いんですが、電動工具の場合はケースにそのまま入れることになるので、輸送時にケースの中で暴れて工具が傷ついたり衝撃で動作不良の原因になったりします。

一般的には仕切りを自作したり、スポンジ仕切りを使って調整したりしますが、その分手間やコストが発生します。

持ちにくい

システムケースは通常のケースと比較すると、少し持ち運びにくいケースです。

一般的な電動工具用ケースは地面に対して垂直にケースの重量が加わりますが、システムケースは地面に対して水平になるので、ケース中身に偏りがあると簡単にバランスを崩してしまいます。

取っ手と体の位置が遠く、運搬時に少し手を広げなければならないので普通のケースよりも疲れやすい欠点もあります。

電動工具に付属するケースの方が高機能

これまでの電動工具標準付属のケースは「工具を収納するだけ」でしたが、ここケースは色々な機能がされるようになりました。

最新のインパクトドライバーの収納ケースにもなると、小物収納ボックスがついていたり、ケース自体にIP65適合の防じん・防水機能が搭載されていたりと、実用性を考えた便利な機能が搭載されていれ、システムケースとは別の形で便利なケースになっています。

マキタ最新のインパクトケース 821857-4。IP65の防じん防水構造を備え、小物を収納できるサブポケットや現場車で使いやすい構造を備えている。

システムケースの統一規格TANOS systainer🄬とは?

一部のメーカーが展開しているシステムケースは独TANOS社のsystainer(システナ)に準拠しています。

日本国内にもsystainerに準拠するシステムケースがあり、マキタ マックパックシリーズやHiKOKI システムケースなどが代表です。

systainerに準拠していれば異なるブランド間であっても連結できるので、マキタとHiKOKIのシステムケースでも重ねて連結できます。

ただし、systainerにもいくつか種類があります。例えば、連結したまま蓋開けができるT-Locなど派生した規格も存在しているため、全てのケース間での相互装着に対応できる訳ではありません。

FESTOOLのT-Loc対応systainer準拠システムケース。

システムケースを買う前に使い方の確認を

ここまでシステムケースのメリットとデメリットを解説していますが、システムケースの率直な意見としては「あれば便利だが無くても困らない」の製品です。

筆者はsystainer準拠のマキタ マックパックとHiKOKI システムケースをそれぞれ使用していますが、収納に便利な一方で、取り出し難さや連結の手間もあり使い勝手の面でいまいちと思う部分もあります。

大量の工具・資材を一度に輸送することが多ければ重宝しますが、そのような機会はさほど多くないので、システムケースの別途購入する費用を考えれば普通のケースでも十分だなと考えています。

主要なシステムケースシリーズを紹介

ここからは工具メーカーが販売している主要なシステムケースを紹介します。

連結できるケースはさまざまなメーカーから販売されていますが、ここでは「ストレージごとに個別に販売されている」「シリーズのラインナップが一定数以上」「ブランドとして確立されている」システムケースを紹介します。

マキタ マックパックシリーズ

マキタが展開するシステムケースが「マックパック」シリーズです。主要4サイズのケース以外に保冷機能付きのクーラーボックスも販売しています。マックパックはsystainerの構造に準拠するシステムケースです。

マキタ製品特有の取扱店の多さによる調達性も良く、現物や工具のサイズを確認しながら購入できるのが大きなメリットです。純正の仕切りやスポンジインレイも販売しているのでサイズに合わせて工具を収納できます。

systainerに準拠したシステムケースなのでHiKOKIシステムケースと連結できます。

マキタ マックパックシリーズ

VOLTECHNO製品評価 3.5 out of 5 stars (3.5 / 5)

マキタが販売するシステムケース、systainer準拠

良い点
  • systainer準拠
  • キャスター・インレイが豊富
  • クーラーボックスあり
悪い点
  • 防水非対応

HiKOKI システムケース

HiKOKIは「システムケース」を販売しています。マキタと同じ基本4サイズで展開しています。

最近のHiKOKI製品はシステムケースを同梱した販売仕様品を展開する傾向にあり、使っている方も多いかもしれません。

別売のシステムケース2とシステムケース4にはそれぞれインパクトと丸ノコのトレーが付属しているので本体のみの(NN)仕様品を収納するのにも便利です。

システムケースはsystainerに準拠しているためマックパックと連結できます。

HiKOKI システムケース

VOLTECHNO製品評価 3 out of 5 stars (3 / 5)

HiKOKIが販売するシステムケース、systainer準拠

良い点
  • systainer準拠
  • 工具付属の販売仕様品が多い
悪い点
  • 防水非対応
  • 純正アクセサリが少ない

BOSCH L-BOXX

日本で正規販売され実用的・入手性に優れているシステムケースががBOSCHのL-BOXXシリーズです。

L-BOXXはストレージの種類が多く引き出しラックやスポンジインレイ・トローリなど積載から運搬まで幅広いラインナップを揃えているのが特徴です。

運搬用途だけではなく、常備の棚としても代用できる高機能なシステムケースです。

BOSCH L-BOXX

VOLTECHNO製品評価 4 out of 5 stars (4 / 5)

BOSCHが販売するシステムケース、独自規格

良い点
  • ケースの種類が豊富
  • アクセサリの種類が豊富
悪い点
  • 防水非対応
  • 取扱店が少ない

DeWALT TOUGH SYSTEM

最もタフなストレージとして世界中の工具マニアを沸かしているのがDeWALT TOUGH SYSTEMです。

TOUGH SYSTEMは、1m以上の高さからの落下に耐えられる厚み4mmのアウターケーシングによる堅牢設計をベースとし、IP65準拠の防じん・防水性能を搭載、使い勝手も優れた3wayハンドルを搭載し、タフシステムの名前に恥じない高耐久ケースです。

壁面収納にアレンジできるラッキングシステムも展開されており、運搬以外にも収納棚として機能も持たせることができます。

日本では、ポップリベット・ファスナー株式会社のツール事業部がDeWALTブランドを取り扱っています。

DeWALT TOUGH SYSTEM

VOLTECHNO製品評価 4 out of 5 stars (4 / 5)

DeWALTが展開するプロ向け高耐久仕様、独自規格、TStakとの互換性なし

良い点
  • ケースの種類が豊富
  • 高い耐久性
  • 防じん防水適合
悪い点
  • 取扱店が少ない

DeWALT TSTAK

DeWALTのもう一つのシステムケースブランドがTSTAKです。

T STAKは機動性と使いやすさを重視したストレージシリーズです。引き出しタイプのパーツチェストやワイドハンドル仕様のラージボックスなどが展開され、使いやすさを重視しているのがポイントです。

防水・防じんはIP54準拠なので、屋外での保管にも適応します。T STAKとTOUGH SYSTEM間に互換性はありません。

こちらも、ポップリベット・ファスナー株式会社のツール事業部がDeWALTブランドを取り扱っています。

DeWALT TSTAK

VOLTECHNO製品評価 4 out of 5 stars (4 / 5)

DeWALTが展開するカジュアル向けのシステムケース、独自規格、TOUGH SYSTEMとの互換性なし

良い点
  • 防じん防水適合
  • ケースの種類が豊富
  • アクセサリの種類が豊富
悪い点
  • 取扱店が少ない

Milwaukee PACKOUT

米国Milwaukeeが展開するストレージがPACKOUTシリーズです。システムケースの中で最も豊富な製品ラインナップを展開しているのが特徴です。

ツールボックスやキャリーなどのオプションはもちろん、ツールバッグ・ワークトップ・充電器・集じん機・ラジオなどさまざまなストレージがPACKOUTシリーズで揃います。

防水・防じんもIP65に準拠しており、種類と耐久性の面でも最も優れたシステムケースと名高いシステムケースシリーズです。

ミルウォーキー電動工具は2021年4月から日本正式販売が行われ、2021年9月に正式販売が開始されました。今後、取扱い数も順次増えていくようです。

Milwaukee PACKOUT

VOLTECHNO製品評価 未評価

米ミルウォーキーが販売するシステムケース、独自規格

良い点
  • ケースの種類が豊富
  • アクセサリの種類が豊富
  • 連結対応工具が展開されている
悪い点
  • 日本正規取扱なし

日本で大きなストレージ市場は芽生えるか、ポテンシャルに期待

メーカーが積極的に売らないのかユーザーの需要が無いのか、システムケースの普及はあまり進んでいません。

しかし海外工具市場では電動工具・ハンドツールに並ぶ重要な商材として積極的な製品展開が行われています。

SBDの投資家向け資料、作業工具の”ストレージ”は電動工具やハンドツールに並ぶ重要商材としてアピールしている。
画像引用:2019 Investor Day Consolidated Presentation|Stanley Black&Decker

欧米市場を中心に工具を展開するDeWALT・Milwaukee・BOSCHの3社は高性能なシステムケースを展開しており、システムケースによるユーザーの囲い込みを進めています。

ただし、先述した通り、システムケースは実際に使ってみると勝手の悪さやコストの面で欠点も多い製品です。

日本国内で販売されているシステムケースの製品ラインナップ数の薄さもそれを顧みたものと考えられますが、収納や運搬を効率的に行えるケースは現場に無くてはならない存在であり、その根幹を担うストレージ市場もやり方次第で大きな発展が期待できる分野だと考えています。

PanasonicはT-Loc対応のsystainer準拠システムケースを海外市場で販売しているが、日本では取り扱っていない。
Return Top