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2021年1月22日

電ドラボールを充電するUSB充電器に注意、一部の充電器は寿命を短くする可能性も

電ドラボールを充電するUSB充電器に注意、一部の充電器は寿命を短くする可能性も
  • VESSEL 電ドラボールのUSB充電器の注意点を解説
  • 電ドラボールの充電仕様は5V/1A(5W)、USB充電器によっては仕様を大きく超えてしまう
  • 5.0V出力のUSB充電器で充電するのがおすすめ
  • 一部のUSB充電器は大電流で充電されてしまうので注意

電ドラボールは5V-1Aの充電器を使わないといけない?

電ドラボールの取扱説明書には、5V-1AのUSB充電器を使用してくださいとは書いてあるものの、最近のUSB充電器は2.4Aの製品が広く普及しているので、高い電流値のUSB充電器しかない場合もあります。

そこで今回は、電流値の高いUSB充電器を使って電ドラボールを充電するとどうなるのかを検証します。

さまざまなUSB充電器で電ドラボールの充電電流を検証

ここでは、スマホやタブレットに付属しているUSB充電器や電動工具バッテリー充電器に搭載されているUSB端子を使って電ドラボールを充電した時、どのように充電が行われるのかを確認してみます。

電ドラボールの充電は、少し先端に触れただけでも停止してしまうほど放電してから行うものとします。

マキタ DC40RA USB出力

マキタのDC40RAは、Apple2.4A, Samsung2A, DCPの3つの急速充電仕様に対応しています。

無負荷時の電圧は4.98Vと若干低く、電ドラボール接続時には電圧が少し降下し、約1.22Aで充電が行われます。電ドラボール入力電流仕様の1Aを少し超えていますが、これくらいなら許容できるのではないかと考えられます。

HiKOKI UC18YDL USB出力

HiKOKIのUC18YDLは、Apple2.1Aの急速充電仕様に対応しています。ラベル上は2Aなので、対応する急速充電の規格とは適合していませんが、一応Apple製品の急速充電は行われる仕様になっています。

無負荷時の電圧は5.009Vです。電ドラボール接続時には電圧が少し降下し、約1.29Aで充電が行われます。こちらもマキタ充電器と同じく電ドラボール入力電流仕様の1Aを少し超えていますが、これも許容範囲内と判断します。

アップル Apple2.4A(12W) 10.5インチiPad Pro付属充電器

Appleのタブレット iPad Proに付属しているUSB充電器です。Apple2.4Aに対応しており、製品仕様上の電圧出力が5.2Vと若干高めになっているのが特徴です。

無負荷時の電圧は5.19Vと標準的なUSB充電器よりも高く、電ドラボールを接続すると電流は1.6Aが加わります。製品仕様に対して1.5倍を超える電流が供給されているので、少し問題かもしれません。

アマゾン echo(第1世代) 付属充電器

これは、Amazonのスマートスピーカー Echo mini(初代)に付属しているUSB充電器です。Samsung2A, DCPのほかQC3.0にも対応しています。

出力仕様は5.2Vと標準より高い電圧を出力する仕様になっている上に、無負荷状態の出力は仕様よりもさらに高い5.28Vです。

このUSB充電器に電気ドラボールを接続すると、電圧出力はさらに上がり5.34Vの電圧が加わります。供給電流は1.95Aまで上昇し、電ドラボール仕様の2倍近い電流が供給されます。

イーモバイル Pocket WiFi LTE(GL04P)付属充電器

イーモバイル(現ワイモバイル)のモバイルルータ GL04Pに付属していたUSB充電器です。少し古い仕様のUSB充電器なので、Samsung2AとDCPのみ対応しています。

無負荷時の電圧は5.1Vですが、電ドラボールの充電を開始すると5.17Vまで電圧が上昇します。充電電流も1.6Aまで上昇しています。

SANYO KBC-E1

手持ちのUSB充電器の中で最も古いUSB充電器です。5V/0.5Aしか出力できないので、電ドラボールを接続すると、過電流状態になり数秒で電源供給が保護停止します。

電ドラボールの充電仕様を検証

USB充電器ごとに充電電流が変わることが確認できたので、電ドラボールの充電の挙動をもう少し詳しく検証します。

直流電源で簡易的なUSB充電器を作り、5.00Vから5.25Vまで電圧を変動させて充電電流がどのように変化するのかを確認してみます。

5.00V時の充電電流は1.38A
5.05V時の充電電流は1.43A
5.10V時の充電電流は1.52A
5.15V時の充電電流は1.68A
5.25V時の充電電流は1.75A

わずか5%の電圧変動だけでも、電ドラボールに加わる電流は30%近く増加することが確認できました。

最後に、5.00Vに設定した時の充電波形も確認します。

CCCV充電を行っているのであればPBUS[W]は山のような波形になるはずなので、電ドラボールは降圧回路のみで充電を行っているシンプルな回路構成になっていると予想されます。

これらの結果から、電ドラボールは以下の特徴を持つことがわかりました。

  • ネゴシエーションでホストUSBの状態判別を行っていない
  • 入力電圧の変動に対して定電力制御を行っていない
  • 入力電流は電圧で大きく変動する

この結果から、電ドラボールに搭載されているUSB端子は、USB-IFや各社独自の急速充電規格の仕様を採用しておらず、形状だけUSBにして単純5V受電を行っている仕様になっていると推測されます。

電ドラボールには5.0Vを出力するUSB充電器を使おう

今回の検証によって、USB充電器の中には電圧出力の高い充電器も存在しており、そのような充電器で電ドラボールを充電してしまうと仕様を超える電流が流れてしまい、バッテリー寿命に影響を与えてしまう可能性があることがわかりました。

1A以上のUSB充電器で安全に電ドラボールを充電するためには、5.0Vが精度よく出力されているUSB充電器を使いましょう。

リチウムイオンバッテリーの急速充電に対する危険性は、電動工具用互換バッテリーの検証記事中でも言及していますが、急速充電に対応していないリチウムイオンバッテリーで急速充電を行ってしまうと、発火や発煙など製品事故の原因に繋がるため、充電電流には注意しなければなりません。

ただし、電ドラボールのような低容量で単セル構成のバッテリー製品であれば、大電流充電を行っても発火の危険性は無視できるほど低く、最悪のケースでもバッテリーの寿命が短くなる程度の影響で済むと考えられます。

USB充電器の電圧出力については、AppleやAmazonのような大御所のUSB充電器であれば本体の仕様に電圧が高いことを記載していますが、USB-IFが定める試験書では5.25Vまでのバラつきを許容しているので、出力を少し高めにしながらも5.0Vと記載しているUSB充電器があるかもしれません。

USBの仕様を確認する試験策定書では「無負荷時の出力は4.75-5.25Vの間に収まること」と定義されている。
出典:USB Battery Charging 1.2 Compliance Plan

今回検証に使ったUSB充電器を見た限りでは、マキタやHiKOKIの電動工具バッテリー充電器に搭載されているUSB端子は電ドラボールにとって理想的な5.0Vを出力しているので、工具ユーザーの方などは、電動工具バッテリー充電器のUSB端子で充電するのがおすすめです。

さて、今回の検証では「電ドラボールはUSBバッテリー機器としてはあまり良くない製品」と結論付けられますが、昨今のUSB充電器の技術事情は非常に複雑なので、こうなってしまうのも仕方がないかなと思う部分もあります。

ただし、USB端子のような汎用規格を搭載しておきながら、中途半端な利便性とユーザーが不利益を被ってしまう可能性を残す製品を世に出すのは良くないとも考えているので、もし電ドラボールの次世代機が出るなら、USB機器としての利便性と安全性を十分考慮した設計になればと思います。


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