鉄鋼・ホイール自動車部品などの輸送部品メーカーのトピー工業株式会社は2018年8月に異形鉄筋を高密度で巻いたコイル鉄筋『TACoil』を販売した。人手による加工が主流の鉄筋加工業界だが、TACoilによる高密度巻異形コイル鉄筋による作業の自動化、輸送・加工・ムダ削減など様々な点が評価され、2019年度グッドデザイン賞を受賞した。
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輸送・在庫・加工に強い高密度コンパクトコイル鉄筋
トピー工業株式会社は2018年8月に異形鉄筋をコイル状に巻き付けた高密度コンパクトコイル鉄筋『TACoil』を販売した。従来の直棒形状の異形鉄筋は保管スペースや在庫の問題、端材の発生による廃棄ロスなど運用面に様々な課題を抱えていた。
TACoilは1トンもの重量の異形鉄筋をコイル状に巻き付ける状態でユーザーに提供する製品となっている。鉄筋の積み上げ保管の実現や輸送効率の向上、廃棄ロスの低減など様々な点が評価され2019年度のグッドデザイン賞を受賞している。
東日本大震災復興やオリンピック需要、老朽インフラ対策など様々な構造物に鉄筋が使用されるが、相次ぐ人手不足により早急な効率化が求められている。TACoilは鉄筋加工に関わる職人全ての課題を改善する、画期的な製品になると言えそうだ。
従来のバーインコイルとの違いは「高密度」にあり
実際のところ、TACoil以前にも鉄筋を巻き付けてコイル状にした「バーインコイル」と呼ばれる製品は存在した。それでは、従来のコイル鉄筋とTACoilの異なる点はどこだろうか。
その答えは鉄筋の巻き方にある。TACoilが従来のバーインコイルと異なる点は「高密度」に巻き付けを行っている点にあり、1トン重量のコイル鉄筋で外径1,115mm,高さ500mmと50%近いコンパクトサイズを実現している。
鉄筋は高密度に巻かれているため保管スペースについても最小で済み、縦方向にも積み重ねが可能なので、従来の保管スペースで大量の鉄筋を補完する事が可能になる。
NC加工機と組み合わせて加工効率を上昇、省力化へ
TACoilは加工時に長さを自由に指定できるので、加工時のロスを極限まで低減させることが可能になっている。伸線、曲げ、切断を自動化する事で、約4倍の加工生産性が実現される。
近年の鉄筋加工は、人手不足などで常に作業の効率化が求められている。現場の鉄筋の結束の効率化や自動化はまだまだ難しいため、今後、工場での加工工程の効率化が、より一層追及されることとなるだろう。