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はんだごてのヒーターの種類
はんだごては大別するとヒーターの違い・本体形状の違いで分けることができます。
特に一番大きな違いがヒーターの違いで、一般的にはセラミックヒーターは電子工作に適しており、ニクロムヒーターは金属作業に適していると言われています。(もちろんヒーターが違うと作業が出来なくなるというわけではありません)
この2つのヒーターの違いは、はんだごての構造から適切な用途まで大きな違いがあります。
セラミックヒーターはんだごて
白光 ダイヤル式温度制御はんだこて FX600
電子工作で主流のはんだごてがセラミックヒーターはんだごてです。
セラミックヒーターはこて先はんだ付け温度到達が速く作業性が良いのが特徴です。ヒーターそのものの全長も短くなっているため、持つ部分とこて先の間隔も短くペンを持つ感覚で作業ができます。
電子工作では非常に使いやすいセラミックヒーターはんだごてですが、価格が高い・熱容量が小さめ・ワット数の高い製品が少ない等の欠点もあります。
ニクロムヒーターはんだごて
白光(HAKKO) ハッコーユー 60W 760P
電線のはんだ付けや金属同士のはんだ付けによく使われるのがニクロムヒーターはんだごてです。
熱容量が高くワット数の高い製品が多いため、大きな物のはんだ付けに適したはんだごてです。価格も安いため、先述のセラミックヒーターの半分から三分の一くらいの価格で販売されており、中には100円ショップで売られているものまであります。
ニクロムヒーターはんだごてでも電子工作に使う事もできますが、ニクロムヒーターはその高い熱容量を活かした太い配線へのはんだ付けや金属のロウ付けなどに適したはんだごてです。
ニクロムヒーターはんだごて欠点としてははんだ付けへの温度到達が遅い・持つ部分とこて先が遠いなどがあります。
種類別おすすめはんだごて4選
はんだごては付加機能や形状によって様々な種類があります。
最も一般的なのはスイッチすら無いコンセントに挿入するだけのペン型はんだごてですが、用途に応じた様々な形状のはんだごてがあります
オールマイティに使えるHAKKO FX600【温度調整タイプ】
はんだごての付加機能の中で、一番便利なのが温度調整機能がついたタイプです。
温度を調整することで表面実装部品から配線のはんだ付けまで幅広い作業に対応させることができます。
個人で使うはんだごてとしては少し高めですが、これ1本あれば電子工作から表面実装部品までほとんどのはんだ作業に対応できる万能機です。
大物のはんだ付けにHAKKO 583C【ガンタイプ】
あまり見ないタイプのはんだごてですが、作業によってはガンタイプの方が楽に半田付けできるという事もあります。
機能自体はペンタイプのはんだごてと変わりませんが形状が銃のように握るタイプになっており、大きなものへのはんだ付けがしやすい形になっています。
ガンタイプの中にははんだ送り機能が搭載されているものがあり、トリガーを引くことで自動ではんだが補給されて片手ではんだ付けを行う事ができます。
高精度の温度管理と高品質はんだづけHAKKO FX951【ステーションタイプ】
本格的に電子工作を行う人なら一度は夢見るはんだごて。ステーションタイプのはんだごてです。
非常に高いステーションタイプですが、こての重量が軽さ・優れた熱回復特性・精密な温調機能などによって品の高いはんだ作業を行うことができます。
用途としては完全に産業用途になっており、個人ではオーバースペックともいえる性能を持っています。しかしながら、中には個人向けの安価なステーションタイプのはんだごても発売されているようです。
持ち運びできるモバイルタイプFX901【コードレスタイプ】
乾電池やガス燃料で発熱するAC電源がいらないはんだごてです。電源が取れない環境や、野外などではんだ付け作業が必要になった時に非常に重宝します。
熱容量は少なく長時間使えるわけではないのであくまでも電源がない環境で使うはんだごてになります。ガス燃料を使うタイプは性能面でこそそこそこ実用的ですが、ガス代が高いので通常のはんだごての置き換えにするのは難しいでしょう。
はんだごてを新しく買うタイミング
色々なはんだごてがありますが、具体的にどのタイミングで新調・買い増ししたらいいかの例を挙げてみます。
あくまでも一例ですし、これ以外にもいろいろ理由はありますが参考程度にご覧ください。
①電源を入れてからはんだ付けできるまでの時間に不満がでてきた
- ニクロム→セラミック買い替え
電子工作ビギナーの方が作業性の向上を目的に買い替えるパターンです。
初めはニクロムでも十分だったはんだ付けが、電子回路を細かい修正が多くなってきたり回路が大規模化してくるとはんだ付けできるようになるまでの時間が惜しくなってきます。
この場合はニクロムはんだごてからセラミックに変える事で作業性が非常によくなります。
②電子工作で線材のはんだ作業が増えた
- セラミック→温調はんだごてに買い替え or
- ニクロムはんだごて買い増し
熱が拡散しやすい線材のはんだ付けは、熱容量が小さめのセラミックはんだごてだと若干不利になります。
この場合、根本的な解決方法は熱容量を上げることですが、こて先温度を上げることで熱容量が小さいこて先でも線材のはんだ付けに対応させることができます。
ニクロムはんだごてを使ってる場合であれば、熱容量が元々大きいため線材のはんだ付けに困ることは殆どないでしょう。
③太い配線にはんだ付けする事が増えた
- 高ワットニクロムはんだごて買い増し
AWG4を超える太さの線材をはんだ付けするようになると、20W~30Wクラスのはんだごてでは力不足になってきます。(はんだ付け自体は不可能ではありません)
この場合、高容量・高ワットのニクロムはんだごてに変えることで、太い線材でも非常にスムーズにはんだ付けができるようになります。
④表面実装部品にも手を出し始めた
- セラミックはんだごてを買い増し
電子工作で表面実装部品にまで手をだす段階になると、はんだごてがもう1本必要になってきます。
表面実装部品のはんだ付けだけならはんだごて1本で出来ますが、修正や部品交換になると部品の取り外しのために2本必要になります。
この場合は、ワット数・同じ熱容量のはんだごての買い増しになるでしょう。
はんだごてと作業性とはんだ付け品質
はんだごて1つとっても様々な種類があり、用途に応じた適切なはんだごてを選ぶことで作業性を大きく向上させる事ができます。
はんだ作業の作業性をよくするために適切なはんだごてを選ぶことは非常に重要ですが、はんだ付けの質で言えばいいはんだごてを使ったからと言ってはんだ作業の質を大きく高めてくれるわけではありません。
はんだ付けがうまく行かない場合、こて先の汚染や劣化、それに繋がるようなはんだ付けを行っていることが原因です。これは全てのはんだごてでも共通して言えることで、不適切なはんだ作業を行ってしまえば、例え最高級のステーションタイプのはんだごてを使っていたとしてもうまくはんだ付けすることはできません。
電子工作にとっては非常に重要なはんだごてですが、価格の安さから手入れを怠りがちになってしまう道具です。特にこて先は非常にナイーブな部品のためまめなメンテナンスを行うようにしましょう。