本田技研工業株式会社(本社:東京港区)は、コードレスタイプの歩行型電動芝刈機「HRG466XB」、電動刈払機「HHT36AXB」、電動ブロワ「HHB36AXB」の3モデルと、この3モデルに共通で使用可能な充電式リチウムイオンバッテリーおよび充電器を、7月27日(火)に全国のHondaパワープロダクツ取扱店より発売しました。
目次
ホンダブランドの充電式造園機器シリーズ3モデルが発売
本田技研工業株式会社は、Hondaパワープロダクツよりコードレスタイプの歩行型電動芝刈機「HRG466XB」、電動刈払機「HHT36AXB」、電動ブロワ「HHB36AXB」の3モデルを発売します。
電動化により、素早い始動性と低騒音・低振動での作業を実現するとともに、ゼロエミッションにも貢献します。さらに、使用後の燃料処理やオイル交換が不要となるほか、コードレスにより使い勝手も大きく向上しています。
この3モデルに共通の充電式リチウムイオンバッテリーを採用することで、作業機間でのバッテリーの共用が可能となり、さまざまな作業を要する公園や施設の緑地管理における利便性を高めています。
バッテリーは36V-6.0Ah(216Wh)の大容量バッテリーを採用。8Aの急速充電によって約55分で充電完了します。なお、本体とバッテリーが一式になった仕様は販売されておらず、バッテリー・充電器は別売品の購入が必要です。
海外市場向けの日本ローカライズ製品
ホンダブランドの電動造園機器は2020年初頭から海外市場で既に販売されており、今回の日本発売は海外展開品の日本ローカライズ品です。
海外市場ではもうヘッジトリマーや軽量4.0Ahバッテリー・大容量9.0Ahバッテリーの販売も行われており、積極的な拡販キャンペーンも行われています。
日本では3モデル+6.0Ahバッテリーの製品展開しか行われていませんが、今後のラインナップ拡大や積極的な拡販によるキャンペーンの実施に期待したいところです。
ホンダコードレス製品紹介と製品仕様
歩行型電動芝刈機「HRG466XB」
・使いやすさで定評のHonda歩行型芝刈機HRGシリーズのフレームやノウハウを生かした高い作業性能
・最大1,800Wのモーター出力によるパワフルな芝刈り性能
・刈った芝の処理方法は、グラスバッグへの収納とディスチャージ(後方放出)に加え、マルチング(細断して刈取り面に戻す)にも切り替え可能
・価格:14万3000円(税抜)
・販売計画台数(年間、国内合計):100台
刈幅 | 460mm | 走行速度 | 約3.2km/h |
消費電力 | 1,800W | 無負荷回転数 | 2,800rpm |
刈高調節幅 | 約20~74mm(6段階) | 収納袋容量 | 50L |
寸法 | 1,470×497×980mm | 重量 | 27kg |
電動刈払機「HHT36AXB」
・両肩掛けバンドの採用で、刈払機本体の重量を分散し、作業者の肩への負荷を軽減
・竿振りしやすい左右非対称設計のU字ハンドルを採用
・際刈りや障害物付近でも安心なナイロンコードカッターを採用
・価格:9万9000円(税抜)
・販売計画台数(年間、国内合計):100台
刈刃 | ナイロンコードカッタ | ||
消費電力 | 500W | 無負荷回転数 | 4,500rpm |
寸法 | 1,980×670×570mm | 重量 | 6.5kg |
電動ブロワ「HHB36AXB」
・最大14.3㎥/minの強力な風量を使用環境に合わせて調整できるトリガーを採用
・バッテリーをベルトで腰まわりに装着することで重量を分散し、作業者の腕への負荷を軽減
・用途に応じて使い分けできる2種類のノズル(ファンノズル・ラウンドノズル)を標準装備
・価格:6万2000円(税抜)
・販売計画台数(年間、国内合計):200台
最大風速 | 68m/s | 最大風量 | 14.3m3/min |
消費電力 | 750W | 無負荷回転数 | 22,500rpm |
寸法 | 962×176×271mm | 重量 | 2.6kg |
リチウムイオンバッテリー「DP3660XA」
・バッテリー残量を示す表示ランプを装備
・価格:5万2000円(税抜)
電圧 | 36V | 容量 | 6.0Ah(216Wh) |
寸法 | – | 重量 | 1.3kg |
充電器「CV3680XA」
・約35分で80%、約55分で満充電可能
・価格:2万5000円(税抜)
動作電圧 | AC100V | 充電電流 | 6.0Ah(216Wh) |
寸法 | – | 重量 | 0.9kg |
本気を感じない製品群、他社品との検討は必須
ホンダのコードレスシリーズに対する正直な印象としては、マキタなどの他社品後追いの製品であり、ホンダブランドに余程のこだわりが無ければ購入候補のリストに加える必要はありません。
本体価格が競合他社の約2倍と高めに設定され、年間国内販売計画も計400台と控えめであり、欧州ホンダなどで販売している電動バリカン「HHH36AXB」や9.0Ahバッテリー「DPW3690XA」の販売を見合わせている点などを考慮すると、ホンダが今回の充電式シリーズで国内シェアを拡大する意向はほとんどないと捉えられます。
既存のホンダユーザーがバッテリー機器に興味を持った場合にホンダ販売員や営業マンが一応の選択肢としてユーザーに提示するため製品であり、造園・園芸機器のバッテリー化を考えているのであれば、コストパフォーマンスやバッテリーの使い勝手に優れるマキタ等の他社品と十分に比較検討してから購入するのを推奨します。
さて、ホンダは電動造園機器の展開にあたり36Vのバッテリーシリーズを立ち上げたわけですが、ホンダが展開する本流の充電式リチウムイオンバッテリーは、モビリティ分野のHonda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)です。
このバッテリーは1kW級の大型バッテリーなので可搬式の造園機器としては大きめのバッテリーですが、背負い式方式や米Black&Decker社が研究を進めているような多用途給電システムにすれば、Honda Mobile Power Packのロードマップ強化に加えることもでき、他社既存品との差別化にもつなげられたのではないかと考えています。
ホンダにはマキタやHiKOKIの後ろを追いかけるような製品開発ではなく、今後主力と成り得るEV自動車・二輪に力を入れている企業だからこそ実現できる、新しく広い視点でバッテリー機器市場を活性化させるような製品を作ってほしいと願っています。