iPhone13でドコモのLTE回線 Xi(クロッシィ)をeSIM化して、物理SIMのNVNO回線と合わせてデュアルSIM運用に変えた時のレポートです。
目次
iPhone13 Proへの機種変更でSIMカードをeSIMに変更
これまで使っていたスマートフォン ASUS Zenfone 6の調子が悪くなってしまったので、Apple iPhone 13 Proに機種変更しました。
筆者の携帯事情は少し特殊で、主回線に「docomo LTE Xi」、通信回線にMVNOの「NUROモバイル」を併用するデュアルSIM構成で運用しています。
この組み合わせは菅政権以前の携帯料金プランが高くて複雑だった頃の名残で、パケット通信が無い「タイプXi にねん(817円)」と「通話付きMVNO」のデュアルSIM運用によってドコモエリアの携帯番号2個+データ通信料を約4,000円前後に収められる方法でした。
2022年3月現在のデュアルSIMトレンドとしては、基本料金0円の楽天モバイルをeSIM主回線にして、サブ回線にMVNOを添えるのが価格的に優れた組み合わせなのですが、筆者はドコモ電波の番号を低価格のまま保持したい関係上「タイプXi にねん」契約は維持したかったため、ドコモ回線をeSIM化して物理SIMにMVNOを使う構成でiPhone13を運用することにしました。
iPhone13シリーズはデュアルSIMには対応していますが、物理SIMスロットを1口しか搭載していないので、片方の回線をeSIMに変更しなければいけません。
と言うわけで本記事では、2014年に新規受付を終了しているドコモのLTE回線 Xi(クロッシィ)をeSIM化してiPhone 13 Proで運用するまでの流れのレポートです。
ドコモオンラインのeSIM手続きはメンテナンス中【2022年3月時点】
既存SIMのeSIM化はドコモショップで手続き
iPhone13でデュアルSIMを扱うためには、どちらかの回線をeSIMに変えなければいけません。
2022年時点では、MVNO事業者の大半がeSIM非対応なので、今回のケースだとドコモのXi(クロッシィ)回線をeSIMに変えなければいけません。
物理SIMからeSIMへの変更は、ドコモオンラインショップ上で手続きが行えるのですが、2021年10月25日(月)以降、臨時メンテナンスとして停止したままになっています。そのため店頭に出向いてドコモショップ窓口で変更を依頼しなければいけません。
近年のショップは飛び入りだと30~1時間程度待たされてしまうことも多いので、事前にマイドコモショップ登録を行い受付予約を進めておきましょう。
実際にドコモショップに行くと、Xi(クロッシィ)が古い通信サービスなこともありeSIMへの変更手続きに難色を示されてしまいました。
Xi(クロッシィ)回線は世代的に3.9GのLTEに分類されるサービスであり、4G (LTE-Advanced)とも互換性を持つので最新のiPhone13だったとしても問題なく使えるはずです。eSIM化に関しても、単純にSIMフォームファクタが異なる程度の違いなので実運用的には問題ないと考えていました。(実際問題は起きませんでした)
メンテナンス期間中のeSIM化事務手数料は無料
ドコモオンラインショップのメンテナンス期間中はeSIMへの事務手数料が無料となっているはずでしたが、提示された注文申請書には手続き費用として2,200円が記載されていました。
筆者はITmediaのニュース記事を窓口の方に見せて、確認を依頼しました
やり取りの後、事実確認として10分程度窓口で待つことになりました。既存の物理SIMをeSIM変える窓口対応自体が稀なケースで、さらにメンテナンス中の対応についてはドコモ側の公式アナウンスも存在しない (ITmediaニュース記事以外のソースが見当たらない) ので確認までに時間がかかるようです。
この辺りはドコモeSIM変更を実際に行ったレポート記事(JetStream Blog)のコメント欄でもいくつか報告があったので、気長に待ちました。
eSIMが完了したら後は手順通り、窓口で開通を待つ
筆者はeSIMを使うこと自体初めてで、eSIM変更の手順も「提示されるQRコードを読み込めばOKらしい」程度の認識だったので少し不安もあったのですが、eSIM化の手順やiPhone側の操作については窓口の方が分かりやすく教えてくれました。
iPhone13側のeSIMセットアップが完了して開通するまで5分~10分程度かかりました。物理SIMからeSIMへの変更についてはある程度の待機時間が必要なようです。
電波が切り替わる間、iPhoneを何度も再起動したりNUROモバイルの通信プロファイルを削除したりと色々試行錯誤してしまいました。
何をやっても接続しなかったので、窓口の方からも「Xi回線のeSIM自体対応していないのかもしれないですね…」と言われつつドコモの端末対応情報や他社対応例などを見せてもらった後、腹を括って「Ahamoに変えます…」なんて言った直後にようやくドコモ電波を掴んでくれました。
eSIMはまだまだ運用面で未熟、必要としないなら物理SIM運用が推奨
eSIMをSIMフリーのiPhone 13 Proに使えるようになるまでは時間もかかりましたが、Xi(クロッシィ)回線のeSIM化とMVNO回線の併用は上手く行ったので結果オーライです。
eSIM手続きに関してはドコモ本社側による一律したガイドラインがあるようには見えず、窓口側の現場対応によってカバーされている印象を受けました。大企業主導の情報共有運用が上手く進まないのはあるあるな事例なので、時間がかかった点などそういう部分はあまり深く考えないようにしています。
窓口の実際のやり取りは結構省いていますが、技術動向やモバイルニュースメディア等の情報を抑えた詳しい方が担当だったので、適切に対応して頂きました。何度か難色を示される場面もあったものの、要望に対しては適切に対応して頂いただので窓口の方には感謝しかありません。
ちなみにeSIM化にあたりドコモ対応機種一覧にないスマートフォンを提示すると「対応機種一覧にない」「端末ごとに異なるEID表示やeSIMのセットアップ方法が分からない」を理由に断られる可能性が高いようです。この辺りはeSIM運用を行う端末にiPhone13を選んでいたのは運が良かったのかもしれません。
とは言うものの、今回の事例についても「Xi(クロッシィ)回線でのiPhoneを対象としたeSIM変更は手続きできない」と言われた時点でその後の対応を全て拒否される可能性もありましたし、こちらの要望を押し通す果てに「端末や回線の種別でeSIM手続きを拒否するのは、総務省が言うところの[eSIMサービスの促進]に反するのでは?」なんて国の方針を持ってきたとしても、場末の一般的な店員の見識を超えてしまうので、諦めて退散するしかなかったはずです。
eSIMは手軽に通信キャリアを乗り換えられるユーザーライクな方式ではあるものの、市場的にはまだまだ新しい技術で実際の運用では手探り感も多いので、ある程度のeSIM普及が進むまでは積極的にeSIMを使うのは保留にしておいた方が良いのかもしれません。