電動工具を製造・販売する株式会社マキタ(本社:愛知県安城市)は、2024年4月に80Vmax 充電式ハンマ HM004Gを発売する。充電式モデルながらAC200V機と同等以上のハイパワーな作業効率を実現する。本体標準小売価格は345,000円(税抜)
目次
マキタ 充電式ハンマ HM004G
電動工具を製造・販売する株式会社マキタは、2024年4月に80Vmax充電式ハンマ HM004Gを発売します。
HM004Gは、マキタ 80Vmaxシリーズの充電式ハンマです。本機は米国ロサンゼルスで開催されたWorld of Concrete 2024(日程:2024年1月22~25日)で初披露された製品です。
40Vmaxバッテリ2本装着の80Vmax動作によって、充電式モデルながらAC機(200V仕様)と同等以上のハイパワーを実現しているのが特徴です。
マキタ独自の低振動機構 AVTの搭載により作業者の負担を低減し、無線連動機能AWSによる集じん機への接続やIPX6適合の高い防水性能によって幅広い作業シーンに対応します。
販売仕様は、本体のみのHM004GZで展開します。
- HM004GZ 本体のみ 希望小売価格345,000円(税抜)
HM004G 製品仕様
製品名 | HM004G |
---|---|
外観 | |
打撃エネルギー | 72.8J |
最大打撃数 | 870min-1 |
シャンク | 専用29mm |
対応電源 | 80Vmax |
最大バッテリー容量 | 576Wh (BL4080F×2装着時) |
振動3軸合成値 | 6.5m/s2 |
重量 | 32kg |
寸法 | 882×227×540mm |
本体価格 | 345,000円(税別) |
販売年月 | 2024年4月 |
製品の特徴
「充電式モデルながらAC200V相当の性能を持つ電動ハンマ」
HM004Gは、ハンドブレーカーと呼ばれるタイプの床面のコンクリートのはつり作業に特化した電動ハンマです。
40Vmaxバッテリーの2本直列による80Vmax動作によって、AC200V電源の電動ハンマに相当する作業性を実現しています。
AC電源による電源コードやエアホースによるエア供給不要でコードレス動作ができるので、これまで電源環境が限られていた場所でも効率的なはつり作業が行えるようになります。
防振ハウジングで振動部とハウジングを分離
マキタ独自の低振動機構であるAVTを搭載し作業者の負荷を軽減。
ハンドル部と振動部を分け、ハンドル部へ振動が伝わりにくい防振ハウジング構造を採用しています。
無負荷時のビット先端暴れを抑えるソフトノーロード
無負荷時は回転数を抑え、部材に当たると最大回転数へ切り替わるソフトノーロードを搭載。
ビット先端の暴れが少なくなり、狙った位置に狙いやすくなります。
マキタ無線連動 AWSに対応
マキタの無線連動AWSに対応しており、ワイヤレスユニット A-66151とAWS対応集じん機を接続することで充電式製品ながらも集じん機連動動作が可能になります。
IPX6の防水構造を搭載
IPX6の防水構造に適合。屋外雨天時にも使える防水性能を搭載しています。
ミルウォーキー MXF DH2528Hとの違い
バッテリーで動作するハンドブレーカーとしては、ミルウォーキー MXF DH2528Hが競合モデルになります。
現時点で比較できる情報としては、装着バッテリーの違いが挙げられます。ミルウォーキー MXF DH2528Hに装着するHD812は864Whのバッテリー容量を持ち、 1充電当たり約4トンのハツリ作業量を持ちます。一方のマキタ MH004GはBL4080F×2本装着で576Whのバッテリー容量となるため、単純比較でミルウォーキー MXF DH2528Hの方が1充電当たりの作業量は大きくなります。
打撃エネルギーはマキタ HM004Gの方が1割程高いためハツリ能力としては優れているものの、1充電当たりの作業時間ではミルウォーキー MXF DH2528Hが優位であるため、一長一短の製品仕様となっています。
コスト的には、マキタ 40Vmaxシリーズを使用するマキタ HM004Gが優れています。実勢価格の比較ではMX FUELバッテリーよりもマキタ 40Vmaxバッテリーの方が若干コストパフォーマンスに優れているので、本体価格の低さも合わさ手、充電式ハンマを選ぶのであればマキタ HM004Gが無難と言えそうです。
製品名 | HM004G | MXF DH2528H |
---|---|---|
外観 | ||
打撃エネルギー | 72.8J | 64J |
最大打撃数 | 870min-1 | 1,300min-1 |
チャック | 専用29mm | 専用28mm |
振動3軸合成値 | 6.5m/s2 | 5.17m/s2 |
対応電源 | 80Vmax | MX Fuel |
最大バッテリー容量 | 576Wh (BL4080F×2装着時) |
864Wh (MXF HD812装着時) |
重量 | 32kg | 29.6kg |
寸法 | 882×227×540mm | 818×638×295mm |
本体価格 | 345,000円(税別) | 378,000円(税別) |
販売年月 | 2024年4月 | 2021年 |
充電式モデルは魅力だが価格は大きなネック
ちなみに、本製品は2021年から研究開発を進めていた製品であり、2023年秋には今回のHM004Gと同じ意匠図も見られました。
充電式ハンマの国内市場動向としては、ミルウォーキーのMXF DH2528Hが先行しているものの、大多数はAC電源品をエンジン発電機で稼働する方式が使われており、マキタからエンジン発電機が不要な充電式モデルの登場したことはハンマ市場に対して一石投じる可能性もあります。
期待値は高い製品ながらも、最もネックとなるのは価格面です。
例えば、マキタのAC200V ハンマ HM1812は15万円であり、業務用200V単相 3kVAのエンジン発電機が20万円程で購入できる点を考慮すると、充電式モデルのHM004Gは本体とバッテリーの初期費用だけでAC電源ハンマの倍近いのコストになってしまい、コスト的な面では太刀打ちできない欠点があります。
また、1充電あたりの連続稼働時間も20分であるため、本格的なはつり作業に使うには若干の不安も残る仕様となっています。
この辺りはコードレスで取り回しに優れる利便性を唯一無二の利点として考えたいところではあるものの、本格的に充電式大型ハンマが普及するためには、バッテリー性能やコストの問題を解決していないため、本機の存在意義はマキタが充電式化に取り組んでいることをアピールするための製品になるのではないかと想定しています。
とは言え、実際にバッテリーの諸問題を解決できる見込みが立った時に初めて今回のような製品を開発しても市場には食い込めなくなっている可能性も高いので、市場で先行するDeWALTやミルウォーキーに食いつく意味では意義のある製品と言えるのかもしれません。
HM004G まとめ
VOLTECHNO製品評価 (3.5 / 5)
80Vmaxシリーズ初の充電式ハンドブレーカー
- 40Vmaxバッテリーで動作するブレーカー
- AC200V相当の作業性を実現
- 同仕様の40Vmaxバッテリー2本装着が必須
- 1充電稼働時間が20分