園芸工具にカテゴライズされる草刈り機やチェーンソーなどのエンジン工具は環境問題や排ガス規制を受けてバッテリーとモーターを使用する電動式への移行が進んでいます。
混合燃料やオイルなどの手間もなく手軽に使用できる電動式の園芸工具ですが、パワーはエンジン式には敵わないため、エンジンと同等の使い勝手と言うわけにはいかないのが電動式の現状です。
今回紹介するのは、電動式の園芸工具でありながら最大80Vのリチウムイオンバッテリーを備え、エンジン式にも劣らない圧倒的なパワーの園芸工具を展開する海外ブランド『GREENWORKS』です。
目次
最大80Vの高電圧バッテリーを展開する GREENWORKS
刈払機やバリカンなどの園芸工具は手軽な大きさとパワーを得られるエンジン工具が主流でしたが、近年では欧州の排ガス規制や国内の3次排出ガス自主規制などの影響もあり、マキタなどを代表とする電動工具メーカーやハスクバーナーなどの農林機器メーカーはエンジン式から電動式への展開を進めています。
園芸工具の主流は36Vのバッテリーが主流ですが、海外の園芸工具メーカーである『GREENWORKS』はさらに高いバッテリー電圧の80V(実質72V)園芸工具シリーズを展開しています。
GREENWORKSが展開する80V園芸工具シリーズの特徴を紹介していきます。
Power Tools for Home & Garden | Greenworks
26cc相当のパワー、バリカンからカルチベーターまで幅広く使える刈払機
エンジン式26cc相当のパワーを備えた刈払機では、低価格ながらもブラシレスモーターを搭載しており、作業時間も非常に長くなっているのが特徴です。
先端アクセサリーもナイロンコードだけではなく、チェーンソーやバリカン、カルチベーターなどにも対応しており、農林機器としても使用する事が可能です。
45ccのエンジンに匹敵する電動式チェーンソー
GREENWORKSの電動式チェーンソーは80Vの高電圧バッテリーを搭載する事で、エンジン式の45ccに相当するハイパワーを実現している。1充電当たり最大160カットと十分な作業量を持っている。
24Vから80Vまで広くラインナップを揃えるGREENWORKS
GREENWORKSは80Vバッテリーだけではなく、24Vから60Vまで幅広いラインナップを揃えています。
各バッテリー間に充電器や工具の互換性はありませんが、全体的に低価格なシリーズとなっているのが特徴で、24Vシリーズでは丸のこやレシプロソーなどの電動工具もラインナップされています。
安価なバッテリーから大容量バッテリーまで揃う
GREENWORKのバッテリーは最大80Vと高電圧のバッテリーを使用していますが、標準付属のバッテリー容量は2.0Ahであり、これをWh換算すると144Whとなるため日本市場で最大容量となるバッテリーHiKOKI BSL36B18と同容量になります。
体積の割に容量が少ないGREENWORKSのバッテリーですが、その分低価格で販売されているためコストパフォーマンスが高いのも特徴です。
マキタの18V×2バッテリーの草刈機MUR368UDCFが充電器3.0Ahバッテリーフルセット品がネット価格50,000円で販売されているのに対し、80VバッテリーのGREENWORKS製品では$300と非常にコストパフォーマンスが高くなっています。
大容量のバッテリーラインナップもあり、80V, 5AhのGBA80500バッテリーはバッテリー容量360Whであり、工具用単一のバッテリーパックとしては業界最大のバッテリー容量を持っています。
日本での入手が難しいGREENWORKS製品
低価格でありながらも魅力的な製品が揃うGREENWORKSの園芸工具ですが、日本で使用するのは若干難しくなっています。
販売が米国市場に限られているのは勿論ですが、160Whの容量を超える大容量リチウムイオンバッテリーは一般的に航空危険物に該当するために日本への輸送手段も限られてしまっているのが実情です。
GREENWORKSは日本代理店等も存在しないので、購入には手間もかかり輸入は難しいものと考えられます。
排ガス規制の影響を受けるエンジン式、発展が進む電動式
構造がシンプルで小型化しやすい2ストロークエンジンは園芸工具によく使われるエンジンですが、排ガスが悪く規制に対応するのが難しいエンジンでもあります。排ガス規制に対応するために4サイクルエンジン工具なども販売されましたが、エンジン体積当たりの出力の低さや取り扱いの悪さなどから市場の評判は悪く、現在でもエンジン工具の主流は2ストロークエンジンとなっています。
日本陸用内燃機関協会が策定する小形汎用火花点火エンジン3次排出ガス自主規制で排ガスに対する規制は厳しくなってきており、エンジン工具に対する風当たりはより年々強められています。
2020年1月からはエンジン排出ガス自主規制の新基準が適応され、今後もエンジン機器の開発は少なくなり、電動式へより一層の移行が進むと考えられます。現状のリチウムイオンバッテリーは36Vでもパワー不足となるため、今後国内の園芸機器メーカーのプロ向け製品などでは、GREENWORKSのように高電圧化が進むかもしれません。