USB充電器やモバイルバッテリーなど充電関連製品を展開する中国Aukey Technology Co.,Ltd(本社:中国深セン市)は、2020年10月にAC電源出力に対応するポータブル電源「PowerStudio」の展開を応援購入サイト「Makuake」でクラウドファンディングを開始しました。PowerStudioはUSB PD対応による100W給電に対応するほか、AC電源や太陽光パネルによる充電にも対応し、バッテリー容量297Whを搭載します。
目次
一見するとレトロ家電!空間に溶け込むポータブル電源
USB充電器やモバイルバッテリーで有名なAukeyが今回展開するのは、なんと297Whの容量を持つ大容量バッテリー「PowerStudio」です。国内クラウドファンディングサイトMakuakeを通じて販売が行われます。
PowerStudioは、リチウムイオンバッテリーを搭載するポータブル電源です。手に持って運べる3.6kgの軽量ボディながら、AC電源のコンセント出力やUSB PDの100W出力などモバイル機器から小型家電まであらゆる製品をバッテリーで動かせるようになる製品です。
バッテリー容量は297Whの大容量バッテリーを搭載、一般的に市販されている普通のモバイルバッテリー基準の3.6Vで換算すると82,5Ahもの大容量になります。ちなみに、電動工具の18Vバッテリーで換算すると18V/6.0Ahバッテリーで2.75個分の容量になります。
PowerStudioの充電スタイル
PowerStudioは大きく分けて2種類の充電スタイルに対応しています。最新のスマホやタブレットの充電規格として普及が進んでいるUSB Type-Cの給電規格USB PDの充電とDCプラグ入力を使った60W給電に対応しています。
付属のシガーソケットアダプタを使えば、車からDCプラグ入力の充電もできるので、車での移動中や車中泊の時にAC電源が必要になったシーンにも対応できます。
USB PDの入力は規格上の最大給電100Wに対応していて、最新のUSB充電器と合わせればコンパクトな充電器で急速充電に対応出来ます。ちなみに100W給電時には”eMarker”と呼ばれる、ICチップ内蔵の100W給電に対応するケーブルを使わないといけないので注意が必要です。
シンプルで使いやすい操作スタイル
PowerStudioは、AC電源の出力機能を持つポータブル電源ながら、デザイン性に優れシンプルな操作感を備えているのが特徴です。
従来のポータブル電源は、いかにもポータブル電源!のようなゴツいデザインだったり、アウトドア仕様のデザインのものをイメージしてしまいますが、PowerStudioは空間に溶け込む丸みを帯びたレトロなボディが特徴です。
操作性もシンプルで、出力したい端子のボタンを押すだけでOK。バッテリー残量や出力状態もレトロカラーのLCDディスプレイでリアルタイム表示されます。
出力端子は全部で9口、幅広い機器の対応やシェアに対応
PowerStduioの出力端子は全部で9口搭載しています。最大出力の400W以下であれば全ての端子を同時に使用可能です。
アウトドアやキャンプで寝るときに数人同時にスマホやタブレットを充電したり、災害緊急時の電源としてテレビや簡易調理家電の電源にするような使い方もできます。
PowerStudioを使ってみたギャラリー
実際にPowerStudioを使ってノートパソコンを充電してみました。
写真で使用しているノートパソコンはACアダプタの入力が150Wの比較的大きいものですが、PowerStudio1台でも十分使用することが出来ました。このポータブル電源を使えば、電源のない屋外や、電源が埋まってしまったカフェやテレワークスペースでも作業を行うことが出来ます。
本体サイズも、大型のバックやリュックになんとか入る大きさで、重量3.6kgと持ち運びできるサイズなので、持ち運びもとりあえず何とかなるかな?的なサイズです。
仕様・カラー展開
モデル名 | PS-RE03 |
サイズ | 15.6×26.2×16.0cm |
本体重量 | 3.6kg |
容量 | 297Wh |
バッテリー構成 | Li-ion 10.8V/27.5Ah |
入力 | DC入力ポート13.5-28V/4A USB PD 5-20V/5A |
出力 | DC出力ポート 12V/8A シガーソケット 最大120W、12V/10A AC出力 定格300W/ピーク600W、100-120V 50/60Hz USB-A×2 12W、5V/2.4A USB-A(QC3.0) 18W、5V/3A、9V/2A、12V/1.5A USB PD(3.0) 100W、5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/5A |
LEDライト | 1W |
最大出力 | 400W |
付属品 | AC充電ケーブル シガーソケット充電ケーブル ガジェットポーチ 取扱説明書 安心保障カード |
ソーラーパネル付属仕様でアウトドアでも活躍
今回のMakuakeのクラウドファンディングでは、最大100W出力のソーラーパネルPowerHelioも同時販売しています。
太陽光パネルを使えば約5時間でPowerStduioを満充電できるので、日中晴れてさえいればiPadやUMPCのような小型デバイスを丸一日使用することも可能です。
また、災害などで停電してもPowerHelioがあれば急速充電可能で、数日間停電している状態が続いても電源を確保することが出来ます。
ちなみにPowerHelioは一般的な持ち運び式のソーラーパネルと異なり、USB PDに対応する出力コネクタも備えているので、スマホやタブレットの直接給電にも対応しています。
モデル名 | PowerHelio Y100 |
サイズ(展開時) | 17×51×0.5cm |
サイズ(収納時) | 36×51×4cm |
本体重量 | 4.1kg |
モジュール効率 | 20% |
セルタイプ | 単結晶 |
出力 | DC出力ポート 18V±5%(100W MAX) USB-A×1 12W、5V/2.4A USB-A(QC3.0)×1 18W、5V/3A、9V/2A、12V/1.5A USB PD(3.0) 45W、5V/3A、9V/3A、12V/3A、15V/3A、20V/2.25A |
LEDライト | 1W |
定格出力 | 100W |
実力値 | 65~70W |
閉回路電圧 | 21.6V |
短絡電流 | 6.1A |
付属品 | DC5521-DC5521ケーブル 10-in-1コネクタ DC5521-Andersonケーブル 取扱説明書 あんしん保障カード |
電動工具バッテリーとは少し違う、新定番のポータブル電源
さて、当サイトVOLTECHNOは、電動工具について解説していることも多いので、電動工具バッテリーの解説や非常時のバッテリーの利点について論じていますが、このPowerStudioは工具用バッテリーとはまた違ったメリットを持つポータブル電源です。
電動工具バッテリーのメリットは、バッテリー1つ当たりの容量が大きいのと急速充電なのが特徴ですが、PowerStudioのような現在のポータブル電源はその利点を2つとも兼ね備えています。最大充電電力の160Wは、現在の電動工具バッテリーの急速充電にも劣らない性能です。
さらにポータブル電源の大きな特徴こそ、同時出力端子数の多さとAC電源出力に対応している点です。
PowerStudioではUSB出力を同時に5台出力、AC電源やカーソケットを使えば拡張も可能で、USB電源やAC電源の確保に困ることはまずありません。一方、電動工具バッテリーは、さまざまな電動工具に対応できるのがメリットですが、バッテリーに対応する工具・機器にしか対応しておらず、1つのバッテリーに対して1つしか使用できません。
さらに、コストの面を考えてもポータブル電源の方にメリットがあります。例えば、電動工具バッテリーで同容量のバッテリーを用意するとバッテリー代だけで約30,000円(12,000円×2.75個)になり、さらに充電器や工具・機器の購入も含むと大きな出費になってしまいます。特に、現在のマキタ・HiKOKIのような主要電動工具メーカーはAC100V出力できる機器の製品展開が無いので、AC電源が必要ならポータブル電源一択になります。
災害・非常時・アウトドアで電源の確保が必要な時は、PowerStudioのようなポータブル電源を使うのがおすすめです。デザイン性にも優れたビンテージカラーのポータブル電源Power Studio、災害やアウトドア用途に1台用意しとくのも良いかもしれません。
ちなみに、AUKEYは世界的に製品展開を行っている企業ですが、Power Studioを発表したのは日本が最初のようです。「緊急時にも持ち運びができる大きさ・重さを追求し、もっと日常使いも出来る」がコンセプトで、まさに日本市場をターゲットに考えた製品なんだそうです。