長らく電動工具用バッテリーの容量増加ペースは停滞していたが、ようやく電動工具向けの新たな高性能リチウムイオンバッテリーセルの新情報が入ってきた。
SAMSUNG SDIの展開するリチウムイオンバッテリーラインナップに、ハイレート充放電対応の『INR21700-50S』が加わり、18V換算で10.0Ahもの大容量に対応するバッテリーの販売も現実味を帯びてきた。
次期主力の高出力リチウムイオンセル「INR21700-50S」
2020年02月12日から14日の間に開催された「第6回 ウェアラブル EXPO」のSAMSUNG SDIブースでは、ウェアラブルデバイス用のリチウムイオンバッテリーが展示が展示していた。
その中では、電動工具にも対応する高出力リチウムイオンバッテリーも展示しており、新たなバッテリーとして「INR21700-50S」がラインナップに加わった。
INR21700-50Sは、充電電流6A・最大放電電流45Aとなる大容量高出力バッテリーで、電動工具で一般的な10セル構成にした場合、1,620Wもの高出力バッテリーを実現できる。
展示の担当者に、INR21700-50Sの展開について尋ねたところ、既に一部の電動工具メーカーに向けての出荷を進めている段階であり、各社電動工具メーカーから18V 10.0Ahのバッテリーや36V 5.0Ahバッテリー販売されると予想している。早ければ2020年末、遅くても2021年半ばには新バッテリーの販売が予告されるだろう。
従来の18650サイズのセルは開発が停滞
INR21700-50Sは名前に示されている通り、21700サイズのバッテリーセルで、HiKOKIではBSL36B18、マキタではBL4040のような従来の18Vバッテリーより大型のバッテリーになる。
従来のバッテリーに使用されている18650サイズについては、今後新たな展開は無いだろうと話す。
現在の電動工具などの高出力大容量用途のリチウムイオンバッテリーセルは、セル単体での高出力性能が求められていると担当者は話す。今後、電動工具メーカー各社の要望や、セルメーカーのラインナップの戦略も含め、今後は21700サイズのバッテリーセルが主流になる可能性もあるようだ。