クローラユニットや運搬機器の製造・販売を行う株式会社CuboRex(本社:東京都葛飾区)は、2023年6月15日 (金)から一輪車(ねこ車)電動化キット E-cat kitの最新モデル「E-cat kit2」の受注を開始する。手持ちの一輪車を電動化できる後付けキットでHiKOKIマルチボルトバッテリーで動作する。希望小売価格は基本セット145,000円(税抜)
目次
CuboRex 後付け一輪車電動化キット E-cat kit2
株式会社CuboRexは、2023年6月15日から一輪車(ねこ車)電動化キットE-cat kit2の受注を開始します。
E-cat kit2は、持ちの一輪車のタイヤを交換するだけで電動化できる、後付け一輪車電動化キットの新型モデルです。
2020年6月に発売したE-cat kitの取り付けの簡単さや操作性の高さはそのままに、性能は大幅にアップグレードしており、IP54相当の防水防じん性能や最新のブラシレスモーターなど最新技術を搭載し軽量ハイパワーを実現しています。
マルチボルトアライアンスに参画する製品であり、HiKOKI マルチボルトバッテリー装着による36V動作に対応しています。
販売仕様は、基本セットとバッテリー1個増量セットの2仕様で販売します。充電器付属の有無は不明です。
- 基本セット バッテリーBSL36B18付属 希望小売価格145,000円(税抜)
- 基本セット バッテリーBSL36B18×2付属 希望小売価格162,000円(税抜)
製品仕様 (従来モデル比較)
製品名 | E-cat kit2 | E-cat kit |
---|---|---|
外観 | ||
タイヤ径 | 約365mm | 約320mm |
タイヤ取付幅 | 108mm | – |
耐荷重 | 100kg | 100kg |
走行速度 | 最高9km/h | 空荷状態:~13km/h 70kg積載:9km/h |
登坂力 | 25°程度 | 25°程度(荷重により変動) |
動作時間 | 2時間 | 約2時間強 |
防水保護等級 | IP54 | – |
バッテリー | HiKOKI マルチボルトバッテリー | E-cat用36Vバッテリー |
動作電圧 | 36V | 36V |
タイヤ | ノーパンクタイヤ3.25/30-8 | チューブタイヤ |
重量 | 約5kg | 約5kg |
本体価格 | 145,000円(税抜) | 152,900円(税込) |
販売年月 | 2023年08月 | 2020年10月 |
製品の特徴
「HiKOKI マルチボルトバッテリー対応の電動ネコ車」
E-cat kitの2世代目モデルとなるE-cat kit2は、マルチボルトアライアンスに参画しており、HiKOKI マルチボルトバッテリーに対応しています。
HiKOKIの18Vシリーズとマルチボルト36Vシリーズを同じバッテリーで使いまわしできるほか、同じくマルチボルトアライアンスに参画している製品とも同じバッテリーが使えるので、バッテリーや充電器が増えてしまう煩わしさを低減できます。
タイヤ交換だけで一輪車を電動化できる後付けのキット
E-cat kitは、タイヤを交換するだけで手持ちの一輪車が電動化できる、日本初の後付け一輪車電動化キットです。
手持ちのタイヤを取り外して、E-cat kitの電動タイヤとコントロールボックスを装着すれば運搬用一輪車の電動化を実現できるので、現場作業の生産性向上を手軽に実現できます。
ノーパンクタイヤを標準搭載
E-cat kit2ではノーパンクタイヤを標準搭載。荒い地面や鋭い枝葉の作業現場でもパンクの心配をすることなく、しっかりと作業できます。
防水防じん保護規格IP54に相当
防水防じん保護規格IP54に相当する性能を実現、急な雨天時でも安心して使用できます。
マキタ 充電式運搬車 CU180Dとの違い
電動工具バッテリーを装着できる充電式の運搬車としては、マキタ CU180Dが競合モデルになると予想されます。
製品として、取付キットと完成品の点では異なるものの、用途としては似たような使い方になると思われます。
製品仕様の面で最も異なるのは走行速度であり、E-cat kit2は最高9km/hの小走りくらいの速度を出せる仕様を持ちますが、マキタCU180Dは最高3.5km/hなのでゆっくり歩くくらいの速度となっています。この辺りは、ユーザーごとの使用感や必要とするスピードに左右されるので、普段の運搬車をどのように使っているか確認した方が良いのかもしれません。
価格的には、マキタ CU180Dの方が運搬部分を含む一式であるため安く見えるものの、バッテリー充電器が別売なので、その分を考慮すると、ネコ車が別売のE-cat kit2とバッテリー別売のマキタ CU180Dはだいたい同じくらいの初期費用になると考えられます。
どちらがおすすめかと言われると、結局のところユーザー次第のケースバイケースとなってしまいそうです。例えば、余らせているネコ車があり、それを転用できるのであればE-cat kit2によって低価格で電動ネコ車にできるとも言えますし、マキタ18VユーザーであればCU180Dを選べばバッテリー充電器を転用できるメリットがあります。
製品名 | E-cat kit2 | マキタ CU180D |
---|---|---|
外観 | ||
タイヤ径 | 約365mm | – |
タイヤ取付幅 | 108mm | – |
耐荷重 | 100kg | 130kg |
走行速度 | 最高9km/h | 前進:3.5km/h, 1.5km/h 後進:1.0km/h |
登坂力 | 25°程度 | 12度 |
ブレーキ | ? | 〇 |
LEDライト | × | 〇 |
動作時間 | 2時間 | 2時間 |
防水保護等級 | IP54 | – |
バッテリー | HiKOKI マルチボルトバッテリー | マキタ18Vバッテリー |
動作電圧 | 36V | 18V |
タイヤ | ノーパンクタイヤ3.25/30-8 | – |
重量 | 約5kg | パイプフレーム装着時:45kg バケット装着時:40kg |
本体価格 | 145,000円(税抜) | バケットセット品:136,400円(税別) |
販売年月 | 2023年08月 | 2017年03月 |
ハードウェアスタートアップが大手のプラットフォームを活用した意欲作
E-cat kit2は、工機HDが展開するマルチボルトアライアンスに参画する製品であり、その存在はマルチボルトアライアンスのページ上で前々から予告されていた製品でした。発売の正式リリースは6月13日に行われましたが、代理店向けの受注開始は8月から、実際の出荷は8月31日からとアナウンスされています。
ちなみに、旧モデルのE-cat kitは在庫処分のようなセールを行っており、HiKOKIバッテリー等を気にしない方であれば、お得に電動ネコ車を導入できるチャンスとなっています。
今回、HiKOKIマルチボルトバッテリーの対応が大きな特徴となっているわけですが、個人的な推測としてその背景には技術的な事情が強く影響したものと予想しています。
そこそこの性能のバッテリーパックであれば中国設計品の完成品バッテリーパックの調達によって解決できますが、高性能セルを採用する信頼性の高いバッテリーパックとなると話は変わってきて、リチウムイオンセルの調達や品質等が課題になります。自社開発となると設計リソースの配分や品質管理等も難しくなるため、マルチボルトアライアンスへの参画によって諸問題の解決を図ったものと予想しています。
ちなみにマルチボルトアライアンスへの参画によって、既存のHiKOKIユーザーからCuboRexに流れてくるケースも期待されているとは思うのですが、現在のHiKOKIはそこまで園芸機器に強いメーカーではなく、園芸機器の販路も日工タナカ時代と比べれば相当弱くなっているイメージなので、どちらかと言えばE-cat kit2を切っ掛けにHiKOKの園芸製品に手を出すユーザーの方が多そうです。とは言え、HiKOKIが強みを持つ建機関連ユーザーの需要に合致すれば話は変わってくる可能性もあります。
今回マルチボルトバッテリー対応モデルとなったことで製品仕様が変わったためか、前作E-Cat Kitの定価152,900円(税込)に対して、今作E-Cat Kitが定価 159,500円(税込)と若干の値上がりとなっています。しかしながら、モータ性能の向上やノーパンクタイヤの搭載、急速充電対応等の性能向上を考えれば、価格上昇以上の価値を搭載しているとも言えそうです。
製品仕様で気になるのはブレーキ機能の有無なのですが、従来モデルのE-cat kitでは別売後付けのブレーキキットがあったものの、E-cat kit2には今のところブレーキ機能の有無や後付けブレーキ対応の情報が無いため、今後の情報待ちとなります。
価格設定の点で気になるところと言えば、基本セットとバッテリー1個増量セットの希望小売価格の差額が単品販売のBSL36B18Xバッテリーの市場実勢価格よりも若干安くなっているように見えるので、HiKOKIバッテリーが再び価格崩壊のような状態にならないか少し心配になっています。